photo by RJP Kenji Demura
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「ハーフタイムに指示したのはまずはテンポを上げようということ。そして、ブラインドサイドを攻めていこうとも伝えた。相手の大きな選手が追いついてくることができないように、ミッドフィールドまで順目に攻めてそれからブラインドへと考えるように指示した」
前半、スクラムで立て続けてペナルティを取られたことなども響いてスコットランドに主導権を握られ、3―11で迎えた後半。
ハーフタイムでのスコット・ワイズマンテルヘッドコーチ代行の指示そのままに、日本は一気にテンポを上げた。
2分。自陣22m付近で得たPKから速攻開始。
WTB廣瀬俊朗キャプテンのビッグゲインの後、敵陣22m付近でボールを受け取ったWTB福岡が一気に加速。
「ビデオとか見ても、トイ面がそれほどスピードあるタイプではなかったので外で勝負しようと思っていた」という思惑どおりにスコットランドDFを置き去りにする快走で、マレーフィールドのインゴールを駆け抜けた。
FB五郎丸歩のゴールも決まり、点差は一気に1点差に。
6分にスコットランドにトライ(ゴール)を返され、再び点差を開かれたものの、11分に今度は敵ボールのターンオーバーから9→10→12→13ときれいにつないで、FB五郎丸がトライラインに迫った後、再びWTB福岡がトライ(FB五郎丸ゴール成功)。
再び1点差に世界9位のスコットランドを追い詰めた。
前半なかなか思うようにいかなかったスクラムで組み勝って相手ボールを奪った後のトライだっただけに、一気に日本ペースになるかとも思われたが、戦う前から日本への警戒感を表明することが多かったスコットランドも1点差に迫られてもパニックに陥ることはなかった。
「日本が夏にウェールズを倒した、とてもタフな相手であることは予想していたし、実際そうだった。セットがしっかりしていているし、ボールキープができてフェイズを重ねた時には危険なアタックをしてきた。素晴らしいトライもとられたが、十分に準備していたので、試合の多くの時間帯で対応はできたのは我々とって良かった」(スコットランド代表FLケリー・ブラウン主将)
福岡の最初のトライの時もそうだったが、2個目のトライの後もすぐにスコットランドがトライを返して、試合をコントロールすることに成功する。
14分に敵陣に攻め込んだスコットランドに対して、日本は自陣深くで得たフリーキックからタッチキック。
ここまでは「アタックすることを重視する」(ワイズマンテルHC代行)というゲームプランを忠実に遂行していた日本代表だったが、エリアを取って相手にボールを渡すことを選択。
「しっかりスタンドに蹴り込むべきだった」というFB五郎丸のキックは距離こそ出たものの、クイックスローインからスコットランド速攻を仕掛けて、そのままトライラインを割られた。
追い上げてはすぐ引き離される展開が続いた後、20分にはNO8ホラニ龍コリニアシがシンビン退場。
前半のスクラムでの反則にしろ、シンビンにしろ、不運な面があったのは否めないが、「スコットランドはニュージーランドよりもしっかりコンタクトしてきたので、疲労度としては今日の方が上」(廣瀬主将)という状況で、終盤14人で戦わざるを得なくなった日本は23分、28分、37分とトライを重ねられ、最終的には25点にまで差を広げられた。
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「スクラムのターンオーバーは自信に」(PR三上)
「シンビンの後、テンポとゲームコントロールを失った。そういう場面では、もっとスローテンポにして、試合をコントロールするという選択肢もあった。それでも、ポジティブな点がたくさんあったのも確か。いいアタックができたし、ボールを動かすこともできた」
ワイズマンテルHC代行は、25点差での敗戦にも内容は悪くなかったと総括。
前半スクラムでペナルティを取られた点も、マルク・ダルマゾスポッコーチは、「いま取られている反則は気にする必要はない。スクラムは着実に良くなっている」と胸を張る。
「日本は他の国にはないくらい低く組んでいるが、それ自体は反則ではない。今日もしっかり組めた時には相手ボールを奪うこともできた。スクラムがどんどん良くなっていることは疑いない。レフリーが日本のスクラムに慣れてくれば、ペナルティもなくなるはずだ」。
PR三上正貴も「前半、僕だけで行った場面もあったのが、後半はみんなでしっかり組めて、ターンオーバーできたのは自信になる」と、スクラムの進化に自信を滲ませる。
「今日勝てなかったのは、細かいミスが出たり、コミュニケーションの部分で小さな問題があったりしたから。それは個人個人のスキルアップやコミュニケーションをしっかりとることで直せる部分。シンビンもレフリーとのコミュニケーションで直せる」
南半球のスーパーラグビー、ITMカップで厳しい戦いを続けるSH田中史朗も、ポジティブになれる敗戦であることを強調。
9年前にスコットランドとのアウェー戦に出場し100点ゲームで負けた経験を持つ、チーム最年長LO大野均は「(途中出場だったため)ジャパンが1点差に追い上げた時はベンチで見ていても鳥肌が立った。スコットランド相手に互角の試合ができるようになったのは感慨深いものがある。みんな2年後に勝つイメージを持てたと思う」と、このまま成長を続ければ、2年後のラグビ―ワールドカップで再戦した際には(日本がアジア予選を勝ち抜けば、プール戦はスコットランドと同じ組となる)、25点差をひっくり返すことに自信あり。
結果は出せなかったものの、「世界中のどのチームでもここで勝つのは難しい」(岩渕健輔ゼネラルマネジャー)という場所=マレーフィールドでスコットランドを追い詰めたに日本代表。
グロスター(12日、グロスター)、ロシア代表(15日、コルウィンベイ)、スペイン代表(23日、マドリード)と続く、リポビタンDツアー2013の残り3試合では、内容同様、結果も求められることになる。
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