マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

帝京大学 102-5 朝日大学
【セカンドステージ 2013年12月8日(日) /東京都・秩父宮ラグビー場】
関東大学対抗戦を全勝で優勝し、前人未踏の5連覇に挑む大学選手権、更にその先の日本選手権を視野に入れた<王者 帝京大学>に、大学選手権2大会連続2回目の出場を果たしファーストステージを勝ち抜いた<東海北陸・中国四国地区の覇者 朝日大学>がどこまで戦うかが見所の一戦。
天候は晴れ、肌寒く感じるが、無風で絶好のラグビー日和。
帝京大学の先発メンバーは、大学対抗戦の時から大きく変更している。対する関東では馴染みのない朝日大学の先発メンバーは、幾分FWのサイズが小さい。トンガ出身の外国人の活躍が楽しみ。

第一試合の東海大学と明治大学の激戦のあと、朝日大学キックオフで試合開始。
ファーストスクラムから帝京大学が激しくプッシュ。

(帝京大学)
5分、ペナルティーから素早くゴール前に持ち込み、1番竹井勝彦がファーストトライ。

朝日大学ゴール前に帝京大学FWが殺到。朝日大学の懸命のディフェンスで帝京大学FWはインゴールにグラウンディングできず。5メートルスクラムを2度ほど繰り返す。

(帝京大学)
18分 ゴール前での朝日大学のペナルティーでスクラム選択し、10番朴成許が朝日大学のディフェンスを引きずりトライ。
26分 ラインアウトから帝京大学FWはモールで約8メートル持ち込み、集団で朝日大学ゴール前へ。5番今村哲央がトライ。
31分 15番川久保龍太郎が朝日大学BKのラインを突破し、12番野田滉貴につなぎトライ。
34分 朝日大学FWのモールのコラプシングでアドバンテージ。8番河口駿がそのままトライ。
37分 8番河口、コーナーフラッグぎりぎりに飛び込みトライ。
42分 タイムキーパー制でフォーンが鳴るが、帝京大学が攻め続け12番野田トライ。

前半終了 帝京大学45-0朝日大学

後半開始

(帝京大学)

2分 連続してラックを制し、速攻で左右に展開し、帝京大学14番村澤大洋がトライ。
≪朝日大学≫
4分 朝日大学ナイスタックルからボールを奪い、BKに展開。内側に5番シオネ・バイラヌがフォローしトライ。

(帝京大学)
9分  朝日大学サイドから展開し、15番から11番宮崎詠基につなぎトライ。
13分 ラインアウトから13番黒木隆平が抜け出し、15番川久保→11番宮崎につなぎトライ。
16分 ラインアウトから帝京大学BKが抜け出し、3番浅堀航平トライ。
21分 10番朴がキックパスを朝日大学のインゴールへ。23番木崎翼が押さえトライ。
26分 朝日大学のペナルティーから素早くボールを回し4番金嶺志がゴールに飛び込みトライ。
32分 朝日大学のゴール前ペナルティーから素早く攻め、19番服部航介が中央にトライ。
35分 朝日大学のゴール前、タックルを二人はずし、11番宮崎がトライ。
38分 朝日大学が自陣前オフサイドのペナルティーでスクラム選択し、8番河口トライ。
40分 タイムアップのフォーンが鳴るが、モール・ラックを連取し朝日大学がゴール前で粘りの攻撃を見せるも、帝京大学のキックパスがタッチインゴールを割りノーサイド。
後半 帝京大学 57-5朝日大学
合計 帝京大学102-5朝日大学

帝京大学の選手層の厚さと強さが改めて強調された一戦であった。

(関東ラグビー協会 山崎 泰弘)
試合写真 試合写真 試合写真 試合写真

 

photo by RJP Kenji Demura
会見リポート
 

監督・キャプテン
帝京大学の岩出監督と竹井ゲームキャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督

「全国の初戦として、次にしっかり積み上げたいと臨みました。メンバー的には少し若い選手が多かったので、少し甘くなるかなと想像していました。朝日大学さんのしっかり向かってくる姿勢は勉強になったと思います。ボールコントロールできていれば及第点でしたが、今日の相手の特徴、レフリーの特徴、若さ故の判断不足がありました。しかし、一生懸命やっていたので、次週からのメンバーに良い勢いを渡せると思います」

──中村キャプテンは出場しなかったが?

「今日は若い選手に経験を積ませると同時に、次の試合も見据えていました。キャプテンにはリザーブで学ぶことがあり、若い選手は打ち合わせで学ぶことがあります。コミュニケーションも合わせることができて良い経験になったかと思います」

──次戦は?

「年齢でなく、元気な選手が出ると思います。今日もジュニアの優勝メンバー主体でした。活きの良いのがいたのですが、怪我したりして、ラッキーで出られた選手もいます。今日、良かった選手は当然次の23名の中に入ってきます。全員にはチャンスはありませんが、本人の努力次第です」

○竹井勝彦ゲームキャプテン

「若いメンバーの中で、きっちり思い切りのある清々しいゲームにしようと言って臨みました。朝日大学さんのプレッシャーが多かったのですが、後半はミスを突くことができて、一つ一つ獲ってこの結果となりました。この経験で学んだことを若いメンバーがこれからの試合で発揮してほしいと思います」

──何が大変だったか?

「やはり気配りです。若い選手がいて、キャプテンにしていただいただけに、アプローチに気を配り、思い切ってプレーして貰えるようサポートしました」

──アピールしたい選手もいたのでは?

「帝京はAチームだけがAではありません。次につながるゲームをしようと、思い切ってミスしても良いからしっかりしたプレーをしようと言いました。やはり、相手のプレッシャーを受け、ミスも出ましたが、良いゲインも所々見えたので良かったと思います」

──弟さんとスタメンだったが?

「スタートから弟と組むのはジュニア以外は初めてです。こんな舞台で一緒に組めて感謝しています。スクラムの面では、弟とコミュニケーションが取れて、うまく修正できていました」

試合写真 試合写真 試合写真 試合写真

 

photo by RJP Kenji Demura
 

監督・キャプテン
朝日大学の吉川監督と磯谷キャプテン

朝日大学

○吉川充監督

「秩父宮で4連覇中の帝京さんと試合できてよかったなあという気持ちで一杯です。102対5という点差以上に我々の財産は大きかったと思います。手が届くところではないと思っていたものが、案外近くにあったと、ここに来て見えるものがありました」

──どういう部分を鍛えてきたのか?

「基本的なことだけです。力的には大きな差があるから、デコレートすることなく、ラインアウトを取る、しっかりタックルするということでした。しかし、前半、後半通してミスが多かったです。ここを体感できたことを生かしていきたいと思います」

──チームとしての成長は?

「乗り越えられなかった壁を乗り越えることができました。今年、2ndステージに行けば、チャンピオンチームのプールに行くと分かっていましたので、ぜひやりたいと思っていました。磯谷キャプテンを中心にチーム作りをしてきましたが、今年、2ndステージを3試合経験することによって、目標自体が変わってくると思います。学生主導の形になってきています」

○磯谷洸輔キャプテン

「大学1位の帝京さんと戦うことができて、僕自身もチームにとっても良い経験になったと思います。1位のコンタクトの強さ、ランのスピード、一つ一つ学ぶことができました。今日は、ディフェンスはもちろん、まずはボールを保持して継続して相手に渡さない、それができれば相手がトライするチャンスも減っていくと臨みました。これからの2ndステージで今日の経験を生かして、次に続けたいと思います」

──トライも獲ったが?

「1トライでも獲ろうと目標にしていたので、嬉しい気持ちはあります。やってやったという気持ちです。近場でFWがチームとしてボールを持ち続けられたので、通用できた部分もありました」

──地方リーグとどう違ったか?

「接点の強さを1stステージで感じました。体幹の強さ、コンタクトで負けないところです。ミーティングでチームの目標はシード権を取りに行くことと確認し、その意識は持っています」