photo by RJP Kenji Demura
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歴史を塗り替える瞬間は後半10分にやってきた。
同5分にWTB山田章仁のトライの後のゴールキックを決めて、通算得点で広瀬氏に並んでいた五郎丸副将は、再び韓国ゴールを陥れた山田からボールを受け取ると、いつも通りにゆっくりとボールをセット。
ゴール正面からのキックだったこともあり、「ボールを置く、後ろに下がる、止まっている時、蹴った後という4つを意識している」というルーティンを確認しながらも、通常よりは時間をかけずにボールをゴールポストに蹴り込んだ。
「廣瀬は本物のワールドクラスのキッカーだった。その記録を破るのはとても素晴らしい偉業。3年前よりもパワフルになった。いい判断ができる。ランなのか、パスなのか、キックなのか。素晴らしいリーダーでもある」
エディー・ジョーンズヘッドコーチも絶賛を惜しまないBKリーダーは、奇しくも9年前に19歳で初めて日本代表に呼ばれた時に一緒にプレーした廣瀬氏の大記録を9年かけて追い越し、キャップ対象試合での日本代表最多得点記録保持者となった。
試合後、「次世代の選手に抜かれない凄い記録残して引退していきたい」と語った五郎丸バイスキャプテンだが、その一方で達成感は「まったくない」とも。
いきなり2本のコンバージョンを連続して外すなど、「パフォーマンスが良くなかった」こともあるが、記録はあくまでも通過点であり、最大の目標はRWC2015に置かれているから。
「今週の練習でもずっと良くなかった。最初の2本を外したのはそれが出た。体が疲れていて、キックのフォームがうまくいかなかった。それでも試合の中で修正できたのは良かった。体重をしっかり前に持っていくことができた。
(記録は)W杯への通過点だと思っている。まずは15年に集中していきたい。
もっとレベル上げて、W杯でパーセンテージ上げて、チームに貢献したい。世界トップ10目指して、準々決勝に行きたい」
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終盤のコミュニケーションには課題も
「本当は国立で日本のファンの前で達成できれば良かった」とも語った五郎丸バイスキャプテンだが、RWC2015年予選も兼ねた今季のA5N最初の2試合で日本代表が計35トライを上げる圧勝ぶりを続けたこともあって、A5N第3節のアウェー戦での大記録更新となった。
その韓国とのアウェー戦、FLリーチ マイケルキャプテンが「入りは良かった」と振り返ったとおり、ホームでの日本戦には特別な思いを持って臨んでくることの多い韓国を立ち上がりから圧倒。
3分にモールでLO真壁伸弥、9分にスクラムを押し込んでからNO8ホラニ龍コリニアシと、18分に再びモールからFLリーチキャプテンと、まずはしっかりFW陣が仕事をするかたちで「最初の20分間で韓国をスマッシュする」(ジョーンズHC)というゲームプランどおりに、序盤で流れをつかんだ。
23分には五郎丸バイスキャプテンがPGで得点を重ねる手堅い試合運びも見せた後、32、36分にはWTB山田が連続トライ。
これも、今週豪州から戻って先発出場したHO堀江翔太バイスキャプテンが「FWでどんどん崩して、WTBで取るというのは、FWが中で仕事していた証拠」と振り返ったとおり、内側での激しいプレーによって外側にスペースができたがゆえのトライでもあった。
後半にも2トライを奪い、五郎丸バイスキャプテンの新記録達成をアシストするかたちともなったWTB山田も「自分のトライはFWがしっかりプレーしてくれたおかげ。BKはもっとリンクしてプレーできるようにがんばりたい」と、前8人の仕事ぶりに感謝していた。
大記録の達成でひと安心したわけではないだろうが、山田の4トライ目の後で五郎丸バイスキャプテンが通算424点目を記録した後半10分のコンバージョン以降、日本のスコアボードはピタリと動かなくなる。
「ハーフタイムの時点で試合には勝っていた。最初の20分で試合を勝つということを目標にしていたが、それはできた。それに関してはハッピー。
ハッピーではないのは、後半のパフォーマンス。集中力が落ちた。何人かがハイタックルしたり、もっと高いレベルの試合をするために、修正しないといけない」(ジョーンズHC)
それまでの50分間とは違って、それぞれがバラバラに動くような場面も見られるようになり、同21分には韓国FWに近場を崩された後、WTBに大外を破られてトライを許してしまう。
「細かいコミュニケーションの部分で良くないところがあった。少しの隙間で韓国でもトライまで持っていかれた。もっと強い相手なら、もっと取られる」(CTB立川理道)
最終的に、韓国に許した失点はこの5点のみで、後半33分にスクラムトライで締めた日本が62-5で勝利。
終盤の失速に関して、リーチキャプテンは
「チームとして一番良くなっているのはコミュニケーションの部分だが、疲れてくると、まだみんな静かになってしまうところがある」と、もっともっと苦しい時間帯でコミュニケーションの質を上げていく必要性を強調する。
歴史的にも厳しい戦いの多かった韓国でのアウェー戦を乗り切った日本代表は、引き分け以上でRWC2015出場を決められるという状況で、香港との国立でのラストバトルを迎えることになった。
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