カナダ戦後半の内容を80分続けて前哨戦勝利を
11年ぶりの米でのアウェー戦で進化を証明する

14日(日本時間15日)、北米遠征中の日本代表がIRBパシフィック・ネーションズカップ(PNC)2015第2戦、アメリカ代表とのテストマッチを戦う。
前週バンクーバー郊外のバーナービーでカナダ代表に逆転勝ちした日本代表は、来秋のラグビ―ワールドカップ(RWC)2015イングランド大会での対戦が決まっているアメリカ・イーグルスとの前哨戦もものにして、テストマッチ連勝記録を9に伸ばした上で、21日に控えるリポビタンD チャレンジカップ2014のイタリア戦に備えるつもりだ。

(text by Kenji Demura)

今季初登場となるWTB福岡。バンクーバーでの練習ではキレのある走りを見せていた
photo by RJP Kenji Demura
セットプレーでの仕事ぶりも評価されて先発出場となったLO伊藤
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「ロープに追い込まれたボクサーのようだった」
ハーフタイムまでに3トライを奪われて16点のビハインドを背負ったカナダ戦前半の戦いを、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチはそんな表現で振り返った。
「ワールドカップで同じことをすれば致命傷。わざわざ後半25点を取って逆転する試合にする必要はない」(同HC)

RWCの前哨戦でもあるアメリカ戦は、当然ながらカナダ戦の後半で見せた内容を立ち上がりから80分間続けることを目指す一戦となる。
「まずは最初のDFで頑張る」
FLリーチ マイケルキャプテンはアメリカ戦でのキーポイントをそんなふうに語る。
カナダ戦の前半。日本のDFは「コンタクトで負けて簡単にゲインラインを与え過ぎた。スクラムでも押されていたので、常に背後から追いかけるかたちになった」(リー・ジョーンズDFコーチ)というコンタクトエリアでの劣勢がすべての悪循環につながるかたちで破綻した。
「コミュニケーションをしっかりとること。スペーシングをよくするという部分は意識して取り組んだ」(SO立川理道)という成果が出て、立ち上がりからDFで我慢できるかがひとつのポイントになる。

カナダ戦では試合途中でCTB田村と共にポジショニングを変えて、いいアタックを生み出したSO立川
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WTB福岡が今季初先発

メンバー的にはカナダ戦からはLO伊藤鐘史とWTB福岡堅樹が新たに先発入り。
カナダ戦で途中出場し、「入ってからのセットプレーに関しては凄い手応えがあった」と語っていた伊藤。
ジョーンズHCは「ショージ(伊藤)はフレッシュな状態。たくさんのエネルギーを試合開始とともに投入してくれるはず」と、前半から主導権を握るため、インパクトあるプレーに期待する。
「やはり先発だと意識が変わる部分はある。スタートの場合はデータが重要になるので、今週はアメリカのビデオをよく見た。今回はホームだし、去年、秩父宮で対戦した時の1・5倍くらいの力が出るだろう。アメリカが地元の声援を力に変えられないようなプレーをする。すなわち、ボールをキープし続けること。セットプレーでプレッシャーかけることも重要になる」(伊藤)

一方、カナダ戦で反撃の狼煙を上げるかたちになった後半開始早々のトライの際に右肩を痛めた藤田慶和に代わってWTBに入ることになる福岡は15人制でのプレー自体約4ヵ月ぶり。
「しばらく離れているので、ゲームフィットネスは問題あるかもしれないが、ひざは怖さもなく、状態は悪くない。自分の強みであるスピードで勝負してチームの得点につながるようにしたいのと、課題であるボールタッチの回数を増やしたい」と抱負を語る。

対アメリカ戦ではこのところ4連勝している日本代表だが、それはすべて日本国内でのホームゲームだった。
2003年の27-69や、1996年の5-74など、アウェー戦では大敗した歴史もある。

ジョーンズHCは「ロサンゼルスでの試合は勝とうが負けようがワールドカップに関係ない」と、今回の対戦結果は直接的には来秋のRWC本番での対戦には関係しないことを強調。
ただし、RWC過去2大会で引き分けたカナダに対して、昨年のホームゲームに続き、アウェー戦でも勝ち切った後だけに、敵地でアメリカにもいい内容で勝利すれば本番で心理的に優位に立てるのは間違いないだろう。
「カナダ戦は今年、僕らと同じようなレベルのチームとやるのは初めてで、一番僕らのレベルが上がったのがわかる試合だと思っていた。はじめ苦しんだけど我慢して点数取って逆転できたのは成長した証拠かなと思う」
HO堀江翔太バイスキャプテンがそう代弁した、宿敵カナダ戦勝利の後の試合だけに、勝負に勝つだけではなく、さらなるチームとしての成長が感じられる内容のあるパフォーマンスが求められる。

アメリカ戦に勝てばテストマッチ連勝記録を9に伸ばすことになる日本代表
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