終了間際の3分間で14点を挙げた筑波大が大逆転勝ち
大学選手権6連覇を目指す帝京大は慶大を寄せ付けず

2日、東京・秩父宮ラグビー場で第51回全国大学ラグビーフットボール選手権大会ファイナルステージ準決勝2試合が行われ、大学選手権5連覇中の帝京大学と、初の大学王者を目指す筑波大学が決勝進出を決めた。
決勝戦は10日、東京・味の素スタジアムで行われる(14:30キックオフ)。

text by Kenji Demura

第50回 全国大学選手権大会
筑波大学 17-16 東海大学

共に、シーズン終盤になって、特にFW陣がポテンシャルどおりの働きを見せ始めてベスト4を勝ち取った同士の対戦となった第1試合は、残り6分で2トライ、2ゴールを決めた筑波大が13点差をひっくり返す劇的な逆転勝ちで、2年ぶりとなる決勝戦へと駒を進めた。

「東海大学さんの接点とセットプレーでの圧力は厳しいものがあった」
筑波大の古川拓生監督が試合後そう振り返ったとおり、試合の大部分を支配したのは東海大。
スクラムで圧倒し、相手ボールのラインアウトにプレッシャーをかけ続け、ブレイクダウンで前に出る力でも優勢。
FW陣の頑張りで余裕を持ったBK陣は「お互いにディフェンス力があるので、スコアの方法として取り入れた」(CTB林大成主将)というDGをFB野口竜司が前半9分を皮切りに計3回完璧に決めた他、前半31分には“DGダミー”から大外に展開してWTB近藤英人がトライ(ゴール)。

後半27分のFB野口の3本目のDGの時点で16-3と東海大のリードは13点となったが、「最後まで集中力を切らさずプレーしていくことを目標としている。残り10分で相手の足が止まった感じがした」(FL水上彰太ゲームキャプテン)という筑波大がここから大反撃。

後半34分に敵陣での相手のミスで得たPKから攻めてNO8山本浩輝がトライ。
FB山下一がゴールキックを決めたキックオフからボールを大きく動かして、最後はPR橋本大吾が東海大ゴール中央に飛び込み、正面からのゴールを再びFB山下が慎重に決めて、わずか3分間で13点差をひっくり返し、そのまま1点差で逃げ切った。

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後半36分にトライを決める筑波大PR橋本。終了6前から2トライ2ゴールを奪って東海大に逆転勝ちをした筑波大が2年ぶりの決勝へ駒を進めた

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FW戦で優位に立ち、FB野口の3DGなどで優勢に試合を進めた東海大だったが、終盤のミスも響いて悔しい逆転負を喫した

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帝京大学 53-10 慶應義塾大学

 

関東大学対抗戦グループ同士の対戦となった第2試合は、地力に勝る帝京大学が前半、「ブレイクダウンとスクラムに気合いを感じた」(岩出雅之監督)という慶應義塾大の激しいプレーに苦しみながらも、計9トライを重ねて大勝。前人未到の大学選手権6連覇に王手をかけた。

「(これまでの試合ではキック処理は)いつもカウンターアタックをしてきたので、キック処理でのキックスキルを取り入れるとどういうイメージになるのか」(岩出監督)
キッキングゲームを得意とする慶應義塾大相手ということもあって、これまでとは違った戦術を試しながらの試合となったことも影響してスロースターターとなった感もあった帝京大だが、前半14分にまさしくキック処理からWTB磯田泰成、FB重一生、SO松田力也など、才能溢れるBK陣が確実にゲインを重ねた後、CTB金田瑛司が先制トライ。
「(前半は)自分たちのひ弱なところが出た」(SH流大主将)とはいうものの、ハーフタイムまでに4トライ。
「厳しく、激しく、自分たちの強みを出していこう」(岩出監督)という指示を受けた後半は、よりダイレクトに前に出るプレーが多くなり、5トライを重ねて計53得点。

「フェイズを重ねてトライを取るのは難しい。ラインアウトからのモール。ディフェンスで粘ってのターンオーバー。ハイボールのコンテストというところを得点イメージとしていた」(和田康二監督)という慶應義塾大だったが、ディフェンスで粘れず接戦に持ち込めなかった。

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前半は慶大の激しさに苦しんだ面もあった帝京大だが、後半はWTB磯田の2本など計5トライ。6年連続での大学王者へ王手をかけた

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スクラムやブレイクダウンでは健闘も見せた慶大だったが、肝心のディフェンスで帝京大を止めきれず計9トライを重ねられた

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