王者揺るぎなし! 歴史塗り替える大勝で帝京大6連覇
筑波大から奪7トライ。次なる標的はトップリーグ勢

 

1月10日、東京・味の素スタジアムで全国大学ラグビーフットボール選手権大会ファイナルステージ決勝戦が行われ、帝京大学が7トライを奪って、筑波大には1トライしか与えない完璧な試合運びを見せて50-7で完勝。
大学選手権決勝戦としては、史上最多得点、史上最多得失点差を塗り替えて、6連覇を達成した。

text by Kenji Demura

第50回 全国大学選手権大会
「筑波大の特徴である粘りのディフェンスでロースコアの試合にならないように、セットプレーとブレイクダウンに焦点を当てて、そこに激しさと運動量を加えて相手のエネルギーを奪っていく」
6年連続での大学日本一を目指す常勝軍団を作り上げた岩出雅之監督が語った帝京大のゲームプランが、初の大学選手権決勝の舞台となった味の素スタジアムのピッチ上で具現化されるまでに、そう多くの時間は必要ではなかった。

前半7分の敵陣22m内での筑波大ボールのスクラムを帝京大FWが押し込むと、こぼれたボールは「スクラムの前にFWの顔を見て、絶対押すと確信して、相手のNO8にプレッシャーをかけることに集中していた」という帝京大SH流大主将の前へ。
「僕は押さえただけでFWのトライ」という同主将の先制トライで早くも流れをつかんだ王者・帝京大は、その後も21分にFB森谷圭介、25分にWTB磯田泰成と、「いろいろなオプションの中でコミュニケーションを取りながらで空いたスペースにボールを運んでいく」(岩出監督)というFWとBKが一体になった今季の帝京大を象徴するような連続攻撃でハーフタイムまでに3トライ、3ゴールで21-0。

前述どおり、間違いなくロースコアの戦いに持ち込みたかった筑波大に対して、現実的には前半だけで勝負を決めた。

試合写真

50ー7で筑波大を破った帝京大が大学選手権6連覇を達成。大学では敵なしの常勝軍団は日本選手権で打倒トップリーグを目指す

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

後半14分、勝負を完全に終わらせるトライを決める帝京大WTB尾崎。対面の筑波大WTB福岡を圧倒し続けるなど王者の強さの象徴ともなった

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

スピードを生かしてWTB磯田は3トライ。帝京大の7トライはすべてBKによるものだったが、FWが圧倒したからこそ生まれた

photo by RJP Kenji Demura
後半に入ると、7分に今度は筑波大が敵陣深くでの相手ボールスクラムから相手のミスでボールを奪い、大きく左に振ってエースWTB福岡堅樹が1トライを返して追い上げたが、王者は全く慌てない。
12分に冷静な判断でSO松田力也がPGを狙って加点した後、14分には「本当に勝負が決まった」と岩出監督が感じたというWTB尾崎晟也が対面の筑波大WTB福岡を振り切る象徴的なトライが飛び出し(ゴール成功)、31-7。
「帝京大のブレイクダウンに対応できなかった」(古川拓生監督)という筑波大に対して、攻撃の手を緩めない帝京大がさらに27分、35分、39分とトライを重ねて、トータルスコアは50-7。

「今日は心から大学選手権決勝を楽しんだ。理想はトップリーグのチームに勝つチーム。そのために1年間やってきている。1年、1年の積み重ねでV1やV2の時ともレベルは違う」(岩出監督)

日本選手権でのトップリーグチームとの対戦にも過去にはないほどアップセットの可能性を感じさせるほどの強さを見せて、帝京大が6年連続で大学の頂点を極めた。

試合写真

後半35分には途中出場のFB重がトライ。「相手を潰してくれる」(岩出監督)というリザーブ陣のレベルの高さも帝京大の強さを支える

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

筑波大のトライは後半7分にWTB福岡が奪った1本のみ。セットプレーとブレイクダウンで圧倒されて、ロースコアの勝負に持ち込めなかった

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

50得点、43点差での勝利共に、大学選手権決勝での史上最多記録も塗り替えた帝京大。「2割くらい休んでしまった」(岩出監督)を修正して日本選手権へ

photo by RJP Kenji Demura