マッチリポート 「第20回 全国クラブラグビーフットボール大会」
神奈川タマリバクラブ 20-19 ぎふ清流ラガーズ

【1回戦 2015年1月12日(月) /愛知・名古屋市瑞穂公園ラグビー場】

青空が広がる名古屋市瑞穂公園ラグビー場で、第22回全国クラブラグビーフットボール大会の1回戦が開催された。

3年ほど覇権から遠ざかり、今年こそ悲願の全国優勝を誓う神奈川タマリバクラブ(以下、タマリバ)と、地区大会で前回覇者の名古屋クラブを下し初の全国優勝を目指すぎふ清流ラガーズ(以下、ぎふ清流)。全国大会では初顔合わせとなる注目の一戦。

タマリバのキックオフで試合が始まる。序盤、両チームとも固さが見え、ミスが目立つ。連続攻撃を果敢に仕掛けるタマリバだが、地区予選以降の1ヵ月間タマリバに勝つためだけに研究と練習を重ねてきたぎふ清流のディフェンスに苦戦を強いられた。
ディフェンスから流れをつかんだぎふ清流が、タマリバ陣深くに攻め込み何度もタマリバのゴールラインを脅かす。しかしそこは強豪クラブの意地。ぎふ清流の猛攻を凌ぐとタマリバは先制のチャンスを呼び込む。17分ぎふ清流ゴール前のラインアウトからのモールから、FL高が先制トライをあげる(5-0)。

これでタマリバが流れを掴むように見えたが、ぎふ清流は一歩も引かない。追い風を味方に再度タマリバ陣に攻め込むと、24分ゴール前の混戦からPR近岡が力づくでトライを奪う(5-7)。
タマリバはセットプレーのミスが重なり、主導権が握れずぎふ清流に大きな隙を見せてしまう。するとぎふ清流は、続く29分タマリバゴール前のスクラムから連続攻撃でNo.8上西の見事な突破で再度ゴールラインを陥れた(5-14)。
反撃の糸口すら見えない状況でタマリバは前半を終え、昨年の悪夢が頭をよぎる。

後半、風上に立ったタマリバはキックを有効に使いぎふ清流陣まで攻め込むと、2分FB小林のPGで点差を詰めるが(8-14)、そこからぎふ清流が執拗な粘り強いディフェンスを見せると、両者一歩も譲らないこう着状態が続いた。20分を過ぎるとリードを許すタマリバに焦りが見え始め、プレーに精度が欠け始めると、ぎふ清流が一気に攻勢となった。
そして25分、タマリバ陣のラインアウトから我慢強くFWとBK一体となったアタックでフェイズを重ね、徐々にゴールに近づくと最後はLO川平が力でトライを奪う(8-19)。
勝負あったかに見えたが、しかしここからタマリバの勝利への執念に火が付いた。
直後のキックオフでぎふ清流にボールを奪われるが、そこから目の覚めるようなタックルの2連発。一気に相手に陣深くでマイボールスクラムのチャンスを得ると、30分にスクラムからNo.8井戸、SH西田、CTB佐野とつないでトライをあげ、逆転圏内にし勝利への望みをつなぐ(15-19)。

その後10分はまさに死闘となった。執念のタックルを見せるぎふ清流と、死に物狂いでボールを活かし続けるタマリバ。
最後は意地と意地のぶつかり合いとなったが、40分、途中交代で出場したCTB高村が逆サイドまで走りこむと絶妙なライン参加からボールを受け2人のタックルを交わして右隅に逆転のトラ
イ(20-19)。試合を決した。

まさに薄氷を踏む勝利だったタマリバ、次戦での建て直しに期待したい。一方のぎふ清流も自信につながる敗戦だったに違いない。
試合後のぎふ清流の選手たちの清々しい表情が印象的だった。

マン・オブ・ザ・マッチには、タマリバからは逆転トライをあげた高村が、ぎふ清流からは、巧みなゲームメイクで勝利まであと一歩のところまでチームを導いたSO松原がそれぞれ選出された。