「フィジカルバトル」を強調するPR畠山主将。3週間前の教訓を生かし、80分間圧倒する試合を目指す photo by RJP Kenji Demura
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DFでしっかり前に出てプレッシャーをかけてゲインを切らせないこともポイントになりそうだ photo by RJP Kenji Demura
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4月18日の韓国とのアウェー戦(56-30=仁川・南洞アジアード・ラグビー競技場)、5月2日の対香港代表とのホームゲーム(41-0=東京・秩父宮ラグビー場)と、ここまで2戦2勝の日本代表にとって、今秋に控えるラグビーワールドカップ(RWC)イングランド大会を見据えた上で再び意味のある「1%の成長」が求められる試合となる。
「ワールドカップに向けての必要なチーム力という意味では、初戦の韓国戦は20%。香港戦で21%に上がった」
ワールドカップイヤー最初の国内でのテストマッチに集まった約9000人のファンの前で香港を零封した後、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチはそんなふうにチームの現状を説明した。
前半終了間際までリードを許すなど「シャープではなかった」(同HC)初戦に比べて、「対南アフリカ戦」を想定しながら計7トライを奪った香港戦のパフォーマンスはチームがいい方向に進んでいることがうかがえるものだった。
「アタックに関しては意図を感じた。ダイレクトとワイドを判断よく使い分けていた」
ジョーンズHC自身、バリエーションを感じさせたアタックに関しては高い評価を与えたが、それでも成長度合いは1%。
もちろん、「(韓国との第2戦でも)さらに1%上げていきたい」と語るとおり、日々の着実な成長こそRWC2015での8強入りにつながるという信念からくる「1%の成長」ということになる。
仮想・南アフリカが強調された香港戦では、「アタッキングのバリエーションをつけること。セットピースを避けること。エネルギッシュにプレーすること」が、試合のテーマだったのに比べ、今回の韓国との再戦で強調されるのは「フィジカルバトル」(PR畠山健介キャプテン)。
3週間前のアウェー戦ではフィジカルな韓国代表に対して、一人ひとりが前に出られず苦戦。
「入りのところでディフェンスが高かった。ゲインをちょっとずつ切られたことが相手に勢いを与えた」(LO 伊藤鐘史バイスキャプテン)
アジアレベルでフィジカルバトルを制することができなければ、ワールドカップで戦う強豪と互角以上の試合をすることが不可能であることは周知の事実。
LO伊藤バイスキャプテンの述懐どおり、試合の入りにフィジカルで優位に立てなかったことで韓国に勢いを与えたことも明らかであり、「最初の20分間をハードに。フィジカルにプレーしてディフェンスでもしっかり前に出て、その時点で韓国にやる気をなくさせるような試合展開に持ち込む」(FLアイブス ジャスティン)ことができるかがポイントとなる。
途中出場した香港戦でのプレーが評価されて先発復帰するWTB藤田。高校時代を過ごした福岡で成長した姿を見せたい photo by RJP Kenji Demura
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地元・福岡で11ヶ月ぶりの代表復帰となるWTB福岡。宮崎合宿で見せたキレのある走りで復活トライを奪えるか photo by RJP Kenji Demura
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WTB福岡は地元で11ヶ月ぶりの代表復帰へ
女子代表「日本―カザフスタン」戦は11時KO
九州、そして福岡で行われるテストマッチとしては13年4月20日の対フィリピン代表戦(アジア五カ国)以来2年ぶり。
その2年前のフィリピン戦で衝撃の代表デビューを飾ったのが、地元・福岡出身のWTB福岡堅樹。
よほど地元に縁があるのか、昨年6月のアメリカ戦以来、代表でプレーしていなかった福岡だが、2年ぶりとなる福岡でのテストマッチで約11ヶ月ぶりとなる代表復帰を果たすべく先発メンバー入りした。
「デビュー戦でも福岡だったし、今度も地元での復帰戦でチャンスを生かしたい。ブラインドからの参加など仕事をしっかりすること。トライはもちろん取らないといけない」
後半9分に、WTB小野澤宏時と入れ替わるかたちで途中出場して2トライを奪った2年前を上回るような活躍を見せられるか注目される。
一方、右WTBにも福岡にゆかりのある藤田慶和が入る。
香港戦で途中出場して「エネルギッシュだった。ボールを自分からもらいに行っていたし、ポジティブなプレーぶりだった」(ジョーンズHC)と高い評価を受けるなど、成長した姿を九州のファンの前で披露したいところだ。
「スタメンから出て、しっかり自分の役割を果たしたい。外から相手がどんなディフェンスをしてくるかのコール。そして、いろんなところにボールもらいにいって、チャンスに取り切る。
前より冷静にプレーできるようになっていると思うので、まずはしっかり落ち着いてプレーしたい」
FW勢でも、左PRにはやはり九州出身で13年秋のスペイン戦以来の先発となる平島久照が復帰。
また、FW陣では韓国との初戦(後半35分から)、香港戦(後半23分から)と共に短い時間の出場ながら2キャップを獲得したLO宇佐美和彦が初先発。
「ラインアウトのジャンプやブレイクダウンでのクリーンアウト。目の前の一つひとつのプレーをしっかりやらないといけない。長い時間走り続けて、いいプレーをして、何とかワールドカップメンバーとして生き残っていく」(宇佐美)
2年ぶりの福岡でのテストマッチに相応しく、ゆかりのあるメンバーも多く顔を揃えた日本代表が今度こそ韓国とのフィジカルバトルを制して、九州のファンを喜ばせるかたちでさらなるステップアップを印象づけたいところ。
尚、当日11時から同会場で「女子アジアラグビーチャンピオンシップ」の女子日本代表(サクラフィフティーン)対女子カザフスタン代表戦も行われる予定。
女子日本代表にとっては、13年9月に「女子ラグビーワールドカップ2014アジア地区予選」の決勝戦で敗れ、ワールドカップへの道を絶たれた因縁の相手との対戦だけに、こちらも見逃せない試合となる。
試合前とは思えない厳しいトレーニングが続く中、ジョーンズHCが求める1%の成長を印象づける意義ある試合にしたい photo by RJP Kenji Demura
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初先発となるLO宇佐美(中央上)はラインアウトや密集での仕事でアピールしてW杯への生き残りを狙う photo by RJP Kenji Demura
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