SR組も戻り、現状での最強布陣で臨む
PNC 最難関相手とのフィジカルバトル

 

カナダ東部夏時間の29日(日本時間30日)、トロントでワールドラグビー パシフィック・ネーションズカップ(PNC)、日本—フィジー戦が行われる。

第1戦にカナダに20—6で快勝したものの、第2戦のアメリカ戦では若手中心メンバーで18—23で逆転負け。

アメリカ西海岸からカナダ東海岸へ移動し、中4日で戦うことになるフィジー戦では、FLリーチ マイケルキャプテン、SH田中史朗など、スーパーラグビー(SR)組も新たに加わり、「現時点で最強」(エディー・ジョーンズヘッドコーチ)という布陣でフィジーに対峙する。

1昨秋のルーマニア戦(写真)以来の復帰戦となるFLリーチ主将。「ブレイクダウン勝負」を強調する

昨秋のルーマニア戦(写真)以来の復帰戦となるFLリーチ主将。「ブレイクダウン勝負」を強調する
photo by Kenji Demura

頼れる男たちが戻ってきた。
FLリーチキャプテンは昨秋の欧州遠征のルーマニア戦、NO8ツイ ヘンドリックは同ジョージア戦、SH田中にいたっては昨年6月のイタリア戦以来の日本代表でのプレーとなる。
「コンビネーションを高めるような練習をする時間がない。彼らがどういうパフォーマンスをするかは選手だけの責任ではない。チームの責任でもある」(ジョーンズHC)

前記3人が加わってのチーム練習はトロントに移動して2日後の27日と、前日練習の28日の2回のみ。
前日練習は時間としては短いものだったこともあり、「いきなりミラクルは期待できない」(同HC)状況であることも確かだ。

しかも、相手は同HCが「PNCで一番強い」と認めるフィジー。

「大事なのはゲインラインをしっかり越えていくこと。フミのいいところは相手ディフェンスにリカバーさせない部分。回りが彼の動きを読んでいく必要がある」
過度な期待はしないとしつつも、ジョーンズHCは自ら「フミは世界最高のアタッキングSHのひとり」と評価するSH田中がキーマンであることを隠さない。

田中自身は「チームとして戦っていくことを意識したい。しっかりスペースを見て、そのスペースにFWなりBKなりを走り込ませる。まずはスペースを見る部分をしっかり意識してプレーしていきたい。
自分の判断でチームを引っ張っていって、一番強いであろうというジャパンを見せられれば」と抱負を語る。

FW第3列として復帰する2人も自らの特徴あるプレーでのチームへの貢献をそれぞれイメージしている。
「ブレイクダウンで速く前に出ないとジャパンのラグビーできない。ブレイクダウンだけは負けたくない」(FLリーチ主将)

「まずは良いボールキャリー。基本的なことをしっかりやっていきたい」
(NO8ツイ)

2前日練習(写真)を含めて2度のチーム練習のみで先発メンバー入りのSH田中だが、ジョーンズHCの期待は大きい

前日練習(写真)を含めて2度のチーム練習のみで先発メンバー入りのSH田中だが、ジョーンズHCの期待は大きい
photo by Kenji Demura

「ワールドカップもこういうスケジュールで戦うのでいい準備になる」(SO立川)

「フィジーはアンストラクチャーにしようとしてくるだろう。セブンズのような試合に持ち込みたいはず。それに対して、自分たちは15人制のプレーを続けること。ワイドに展開したいフィジーに対して、近場を攻めていくようにしたい。ワイドに攻めてきた時のDFの対応も重要になる」

ジョーンズHCは全体的なフィジー戦のイメージをそんなふうに語る。
同じアイランダーということで、RWCで当たるサモア戦を想定している部分もある。

「アイランダーに対してどう戦うかということはほとんど変わらない。アンストラクチャーに強いので、ノータッチをあまり蹴らないで、タッチキック蹴る時にはしっかりタッチ出すとか、うまく戦いたい」と、サモアと戦う場合との相似点を語るのはSO立川理道。

アメリカ戦ではプレーしなかったFB五郎丸歩もアイランダーとの戦いではキックの正確性が重要になることを強調する。
「キックのコントロールは田村と僕に課せられている。相手はアンストラクチャーからのアタックでは世界一。できるだけリスクを減らすような場所に蹴っていく」

FWとしてもタッチキックを多くして、セットプレーの回数を増やすことは自分たちのペースで戦うために必要なことである認識は共通する。
「自陣ではしっかりタッチに出して、セットプレーを多くする。アンストラクチャーをなるべく減らすこと」と語るのは肩の負傷のため、今回のフィジー戦がPNCでの初のプレーとなるLO伊藤鐘史。
その一方で、「いきなりフィジカルな相手だが、ファーストコンタクトのところが大事になる」とも。

1番が稲垣啓太、3番が山下裕史という先発PRに関しても、「スタートからスクラムで激しく行く」ための布陣だと、ジョーンズHCは説明する。「その後、試合展開によってはハタケ(畠山)の方がゲームタイムが長くなるかも」とも。

「相手は強いし、大きいので、とりあえずセットを安定させる。あとは日本らしく走りまくりたい」(HO堀江翔太)

 

アメリカ西海岸からカナダ東海岸へ移動しながら、中4日という厳しい条件で行われるPNC3戦目の対フィジー。
「ワールドカップもこういうスケジュールで戦うのでいい準備になる。ワールドカップでは、もっと相手が強い。南アとかスコットランドにこの感じでの対戦になる。そこは逃げずに、しっかりやっていきたい」(SO立川)

RWC開幕まで約50日に迫った状況で行われる一戦は、世界8強入りを目指す日本代表にとって大きな意味を持つ一戦となることは間違いなさそうだ。

text by Kenji Demura

3昨秋のジョージア戦以来の代表復帰となるNO8ツイにはボールキャリーの部分で特徴を出すことが求められる

昨秋のジョージア戦以来の代表復帰となるNO8ツイにはボールキャリーの部分で特徴を出すことが求められる
photo by Kenji Demura

4キックを使ったゲームコントロールの部分ではCTB田村もキーマンになりそうだ

キックを使ったゲームコントロールの部分ではCTB田村もキーマンになりそうだ
photo by Kenji Demura