RWC2015プールB展望
日本の対戦国徹底解剖<南アフリカ編>

「世界で一番パワフル。大きくて、速くて、アグレッシブ」(ジョーンズ日本代表HC)


1995年の地元大会、そして2007年のフランス大会。

過去2度のラグビーワールドカップ(RWC)を制してきた南アフリカ代表スプリングボクス。
開幕前時点でワールドラグビー世界ランキングでも3位につけていることからも明らかなとおり、今大会でも優勝候補の一角に挙げられている。

今年の南半球4ヶ国対抗(ラグビー・チャンピオンシップ=RC)では、史上初めてアルゼンチンにも敗れるなど3戦3敗で4位となったが、これも南アフリカにとってはそう悪くない現象であると言えるかもしれない。
前回、世界の頂点に立った07年大会時も、その年のトライネーションズ(南半球3ヶ国対抗=現RC)では最下位に沈んでいた。
「ワールドカップ前の試合というのは、結果ではなく、ワールドカップに向けてどういう準備をするかが重要」というのは07年当時、アドバイザーとして南アフリカ代表に加わっていたエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ。
そのジョーンズHCは南アフリカというチームを「世界で一番パワフル。大きくて、速くて、アグレッシブ」と評価する。

まるで、隙のないチームにも思えるが、実際、南アフリカ代表ハイネケ・マイヤー監督が大会初戦で対戦する日本に対峙させるのはスプリングボクス史上最多キャップ数の集団(先発15人のトータルキャップ数は880。ひとり平均に直すと58.7)。
「ワールドカップで優勝するチームは先発15人の総キャップ数が600前後。1人平均40キャップ程度」というのもジョーンズ日本代表HCの分析だが、その条件を悠々クリアするのが今回の南アフリカ代表だ。
隙のなさという意味では、過去に日本代表が戦ってきたチームの中でも最強と言っていいだろう。

“ビースト”の異名を持つアフリカンブラックのPRテンダイ・ムタワリラ(68キャップ)と、共に大学で医学を学んだインテリでもあるHOビスマルク(73キャップ)&PRヤニーのデュプレッシー(64キャップ)兄弟が並ぶ好対照なFW第1列の強さは当然ながら世界有数。
22歳のLOルードベイク・デヤーヘル(12キャップ)は唯一と言ってもいい若手だが身長206センチの巨漢。ペアを組むのは南アフリカ最多キャップホルダーである“鉄人”ビクター・マットフィールド(123キャップ)。
南アフリカの強さの象徴とも言えるFW前5人を紹介しただけでも、「世界で一番パワフル。大きくて、アグレッシブ」であることは容易に想像がつくはずだ。

BK陣にもCTBジャン・デビリアス主将、WTBブライアン・ハバナという、共に100キャップ以上を誇るお馴染みのメンバーが並び、「速い」という点でもジョーンズHCの分析どおりであることをうかがわせる。

また、SHフーリー・デュプレアはリザーブからのスタートとなるが、NO8スカルク・バーガーは先発(共にサントリー)。
日本を知り尽くす選手もしっかりメンバー入りしている。

細かく紹介すればするほど隙がないとしか思えない南アフリカ。

「フィジカルに戦った上でスマートなラグビーをしていく」のが、史上初めて南アフリカと対戦することになる日本代表の基本的な戦い方となる。

日本としては、アルゼンチンが金星を挙げた時のように、「南アフリカのディフェンスに穴をつくって、そのスペースをアタックしていく」(同HC)、スピーディで常識外れとも思えるようなアタック方法が必要になるかもしれない。

text by Kenij Demura

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前回は豪州に敗れベスト8止まり。WTBハバナなどベテランも健在で3度目のRWC制覇を狙う
photo by Kenji Demura