セカンドステージでこれまで2戦して、筑波大は1勝1敗、慶応大は2敗となり、両校とも1位になる可能性が無くなっての最終戦となった。9月に対戦した両校の対抗戦では慶応大が33-22で勝利しているが、筑波大は対抗戦の後半には、20-17と帝京大に3年ぶりの黒星をつけ実力を示している。どちらのチームにとってもこの1年の最終戦を、来シーズンへつながる試合でのいい形で終えたいところだ。4年生にとっては最終戦となるこの試合だが、慶応大の矢川智基主将は大東文化大戦でのケガで出場できず、SOには1年生の古田京が初のスタメンに入った。試合では、PR橋本大吾主将、WTB福岡堅樹ら筑波大4年生の主力が活躍し、意外なほどの大差で筑波大圧勝となった。

試合開始直後から、筑波大はWTB福岡に意識的にボールを回し突破を狙うが、慶応大BKもよくタックルしてボールをターンオーバーするなど簡単には筑波大にトライを許さない。一方、慶応大も、この日ゲームキャプテンを務める副将のNo.8徳永将のサイドアタックなどでゴール前に迫るが、筑波大もよくこれを止める。試合開始後15分までは緊張した展開が続いたが、最初に得点を挙げたのは筑波大だった。

前半15分、筑波大は敵陣でのラインアウトからのサイドアタックでSH木村貴人、FL目崎啓志が続けてラックを作ると、ラックからのボールをSO亀山宏大から、いいスピードでライン参加してきたFB本村直樹にパス。本村がラインブレイクすると、その左に走り込んできたWTB福岡にタイミングよくパスを通し、福岡がそのままトライ(ゴール失敗、5-0)。更に23分にもラインアウトからのラックからFWのサイドアタックでフェイズを重ね、ゴール前に迫ると、PR橋本がゴールポスト下に飛び込んだ。これはゴールラインにはわずかに届かなかったが、すぐにサポートに入ったLO中村大志がインゴールでボールを押さえてトライ。SO亀山宏大のゴールも入り、筑波大が早くも12-0とリードした。

前半にも慶応大が攻め込む場面はあったが、攻め込むとペナルティを犯し、逆に筑波大のチャンスになり、慶応大のタックルは低く突き刺さる伝統の「魂のタックル」とはならずに、タックルが高く甘くなり、筑波大にラインブレイクされる場面が多くなる。筑波大は本来、左WTBの福岡が時にはFBのポジションに入り、カウンターアタックの起点にもなる。27分にはWTB福岡のカウンターアタックで敵陣に入り、PKを得ると、ラインアウトからNo.8横山大輔が抜け、WTB山内俊輝がトライ(ゴール成功、19-0)。さらに前半終了直前には敵陣ゴール前でPKを得た筑波大はスクラムを選択。スクラムからのFWのサイドアタックで最後はPR橋本がインゴールに飛び込み(ゴール成功)、26-0のスコアでハーフタイムを迎え、筑波大がほぼ試合を決めてしまった。

後半に入っても、慶応大はディフェンスを修正できず、筑波大のアタックの勢いは止まらなかった。

後半3分、慶応大が敵陣に攻め込んだが、ラインアウトのノットストレートで筑波大のスクラムとなると、筑波大はその自陣でのスクラムから左ラインでアタック。ボールを受けたWTB福岡が左サイドを抜ける。敵陣に走り込んだ福岡は慶応大バックスの裏にパントキック。すると福岡が自らこのボールをキャッチしてそのままトライ(ゴール成功、33-0)。その直後の6分にも筑波大BKは左ラインへ回し、福岡がラインブレイクすると福岡のさらに左にフォローしてきた右WTB山内にパス、今度は福岡が山内のトライを演出した。W杯では出場機会が少なかった福岡だが、大学最後の試合では、W杯日本代表としてのトレーニングを積み重ねてきた成果を見せた試合となった。

結局、筑波大は、慶応大を後半29分のWTB金澤徹のトライ1つに抑え、前半4トライ、後半6トライの計10トライでの圧勝と、1年間の最後の試合を良い形で終えることができた。日本代表の福岡選手本人のこの日の活躍だけでなく、チーム全体が、W杯で大活躍をした日本代表にチームメイトを送り込んだことに刺激を受け、チームのレベルアップにつながったようだ。この日、他会場の結果で、プールCでは大東文化大が1位となりファイナルステージベスト4への進出が決まった。筑波大としてはセカンドステージ初戦の大東文化大戦での敗戦がもったいなかったと感じる結果になったが、この経験を是非、来季につなげて、さらにいいチームとなって戻ってきてほしい。

(正野雄一郎)