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既にファイナルステージへの進出を決めていた帝京大学にとっては、準決勝へ向けチームの結束力を図りたいとか、試したいサインプレーを実践するゲームであったのかもしれない。相手の問題ではなく、自分達のプレーに徹することも、帝京のこの試合での命題だったのだろう。

そして、中央は6連覇中の帝京にどれだけ自分達の力が通用するのかを、聖地秩父宮ラグビー場で発揮する場であったに違いない。関東大学リーグ戦では、東海と流通経済に敗戦し、FWの大きな相手にどれだけ身体を張れるかも大きな課題だったのかもしれない。

しかし、試合展開は帝京の一方的なものになってしまった。

105-0、これが最終の試合結果であった。 帝京のトライ数は全部で17本。前半は、1分坂手、4分金田、17分石垣、21分イラウア、26分竹山、30分金、33分竹山、36分竹山、後半に入ると、42分竹山、46分竹山、54分荒井、56分堀越、61分イラウア、65分竹山、67分尾崎、69分尾崎、73分堀越、となっている。 1年生としては別格のWTB竹山選手の6トライは、圧巻だった。

トライの間隔が一番長く空いたのが13分と、いかに帝京が試合を通して攻め続けたかが分かる。 試合後のスタッツを見ると、帝京のペナルティはなんと0だった。 これも、トライ量産の大きな要因だったのだろう。

また、タックルミスも帝京に2に対して、中央は27とあり、帝京のディフェンスへの意識も高かった。 リザーブの選手が入ってきても、自分達のラグビーをやり続けられるだけの分厚い選手層を誇っている。

ゲームの細かい戦況に触れると、中央は試合開始3分に、BKの中心選手のリーグ戦ベスト15のCTB笠原選手の負傷退場が大きく響いたのかもしれない。  それにしても、この試合で相手陣22メートルラインに入れたのは、唯一前半20分の攻撃だけだった。

中央は来年度のシーズンに向けて、これから立て直しを図ることになるが、この試合を糧に、来期はサイズの大きな相手とも堂々と戦えるチームになることを期待したい。

さて帝京は、この日の試合を観る限り、7連覇への死角が見当たらない。  試合後の金田副将のインタビューにもあったが、対抗戦で筑波大に敗れて、改めて選手達が覚醒したのか、試合を通して攻め続ける姿勢が、選手の意識として身に付いたのかもしれない。

(文責:久米司)