5年ぶりの大学選手権準決勝の舞台へと勝ち上がってきた関東大学対抗戦A 1位(本大会は2位枠での出場)、セカンドステージ3位の明治大学。一方、2年連続の準決勝進出で2度目の決勝進出を狙う関東大学リーグ戦王者、セカンドステージ2位の東海大学、お互いにセカンドステージは失点も少なく突破力を持つFWと決定力のあるBKを持つカラーが似ているチーム同士の対戦となった。2016年の晴れやかな新春を迎え、秩父宮ラグビー場に訪れた17,474人の大観衆の中、明治大FB田村煕のキックオフで前半がスタートした。

開始直後から明治大は積極的にボールを展開、BKが大きくゲインして徐々に東海陣へ攻め込んで行く。前半9分、22m中央付近のラックから右に展開、WTB成田秀平が相手ディフェンスのタックルを外して右中間に先制トライ(ゴール失敗)で5-0とするが、この一連のプレーでチームの要でもあるFB田村煕が負傷交代となるアクシデントに見舞われてしまう。

明治大の出足に良さに自分達のリズムに乗れなかった東海大も徐々にペースを取り戻し、モール攻撃から明治陣へ攻め込み連続攻撃を仕掛けて行く。13分、22m付近のラックから左に展開、50m 5秒8の快足WTB石井魁が相手のタックルをかわして左中間にトライ。SO野口大輔のゴールも決まり5-7と逆転する。

明治大も18分、東海陣22m内で東海大がBKへ展開、パスミスしたこぼれ球を田村煕の負傷交代で入った齊藤剛希が拾ってつなぎ、右サイドを抜けたCTB梶村祐介が右中間にトライ。SO堀米航平がゴールを成功させ12-7と再逆転する。更に23分、WTBからFBに回った成田の好突進から大きくゲイン、ゴール前のラックから左に大きく展開、パスがつながり最後はWTB紀伊皓太がゴール中央に廻り込んでトライ。SO堀米のゴールも決まり19-7と差を広げる。

東海大は明治陣ゴール前まで何度か攻め込むチャンスを見せるも、いずれも明治大のプレッシャーを浴びてノックオンで逸機。守備でも堅いところを見せた明治大が12点リードのまま前半が終了した。

後半も開始直後から両チームともボールを大きく展開、ブレイクダウンでの激しいボールの争奪戦が続き一進一退の攻防が続く。得点が動いたのは後半6分、東海大は明治陣10m付近でターンオーバーしたボールを左に持ち出したSH湯本睦が相手ディフェンスのギャップを突いてゴール中央にトライ。SO野口大のゴールで19-14と迫る。14分には、No.8のアタアタ・モエアキオラに代わり、昨年の夏合宿で左膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、これが大学公式戦初出場となる1年生のテビタ・タタフを投入、攻撃力を上げる。

20分過ぎから前半からボールを大きく展開してきた明治大の動きが徐々に鈍りだす。すると28分、明治大ゴール前ラインアウトをモールにして押し込み、途中出場のNo.8テビタ・タタフが左スミに押し込んでトライ。難しい角度からのコンバージョンゴールをSO野口大がゴールを決め19-21と逆転。更に33分、明治陣22m中央付近のラックから、No.8タタフがラック右サイドの空いたスペースを抜け出しゴール中央に連続トライ(ゴール成功)、19-28と突放す。

17年ぶりの決勝進出を諦めない明治大も最後まで東海陣へ攻め込むが、東海大も必死のディフェンスで試合はそのままノーサード、後半明治大の攻撃を0点に抑えた東海大が逆転勝利とし、6年ぶりの決勝進出となり悲願の初優勝に王手を掛けた。

(橋本 光一)


■明治大学

○丹羽政彦監督

「お疲れ様です。結果、こういう形になってしまって、中村主将以下4年生が頑張っていたシーズンで、決勝戦まで導けなかった私の責任です。前半はある程度、想定内のプレーでしたが、後半はセットピースでコントロールできず、我慢してアタックもできず、ペナルティを食らってしまいました。我々のペース試合を進めていたので、もう少し戦い方を整理してあげられたら良かったと思います」

---田村選手の怪我が痛かったが?

「特に攻める方が痛かったです。攻めてスローフォワードなど、取り急ぎと言うか、戦術として逆を行ってしまったところがありました。きっちり準備してきたが、田村選手が外に出て、選手が、皆、自分のところで何とかしようとしてしまいました。何回かフェイズを重ねて、良い場面もあったのですが」

○中村駿太キャプテン

「結果として負けたが、うちより東海大学さんが強かったと思います。エリアマネジメントとセットピースで後手を踏んでしまいました。こうなった以上、東海大学さんに優勝してもらいたいと思います」

---どこが届かなかった点か?

「ペナルティのところです。勝負どころのラインアウト、セットピースの差です」

---スクラムは押していたが?

「うちも東海大学さんのスクラムは強いと認識していました。相手の3番の平野君を抑えに行こうとしましたが、うまく後半はできたと思います」

---田村選手が退場して4年生は?

「明治のキーマンを欠いてしまったのは手痛かったですが、齊藤剛希がしっかり穴を埋めてくれ ました。決勝へ行って、田村をもう一度出してやりたいと思っていました」

---相手のモール対策は?

「明治として、エリアの何種類かを考えていました。最後に中盤からリモールされたところが良くありませんでした」

---ペナルティを取られた場面は?

「リードしていたが、点差を詰められ、この状況を変えたいと、一人一人が思ってしまったところでペナルティを取られたと思います」

明治

■東海大学

○木村季由監督

「本日はありがとうございました。今日のゲームは、先週から良い流れで、お互いに強みを出して、小手先でなく、ほぼ一緒のがっぷり四つになると考えていました。前半、バタバタしたところがありましたが、ハーフタイムにしっかり修正して持ち味を出せたと思います。課題も残るが、明治大学さんの前へ出て行こうという姿勢を学んで決勝戦に臨みたいと思います」

---決勝戦への意気込みは?

「ここまで来れば、後は集大成しかありません。どこが相手でも、日本一になるのが目標です。そこで、自分たちのプレーを100パーセント出すしかありません。まずは力を出し切らせてやりたいと思います」

○藤田貴大キャプテン

「本日はありがとうございます。本日の試合は、明治大学さんと僕たちは共にFWに自信をもっているので、真っ向勝負と臨みました。前半、明治大学さんは前でプレーして来ると思っていたら、裏のプレーをされてきました。立ち上がり、緊張もあったと思います。以後流れをもって行かれました。後半は自分たちの良い流れを出せたが、反省して決勝戦に臨みたいと思います」

---ブレイクダウンは?

「自分たちのミスでした。前半、20分位、敵陣でラグビーしようと言い続けました。ブレイクダウンはファイトする者が多い方が勝つのがスタンダードです。結果、良い方向に傾いてくれたのは、自分たちの成長かなと思います」

---モールの意思統一は?

「トライを獲り切ったモールは、明治大学さんのゴール前で大きく行って、前へずらして押し込もうと。ギリギリでした。皆が上手く我慢して、明治大学さんのプレッシャーを受けましたが、東海大学の強みは塊で、トライを決めたのも塊で前に出られたからだと思います」

---トライを立て続けに獲られた場面は?

「正直、僕はとても焦っていました(苦笑)。チームの雰囲気が悪かったです。FWとBKリーダーが声をかけてくれて、スタンドをしっかり見ると、僕らを応援してくれる奴があんなにいるぞと言いました」

---決勝戦への意気込みは?

「去年の準決勝で後半34分まで勝っていて逆転されて、そこから僕らの時間は止まっていました。ようやく、動き出した状態です。結果がすべてなので、結果を出せるよう、やって来たことしか出せないので、しっかり準備して臨みたいと思います」

東海