U20、オーバーエイジ共に成長を証明する戦いを
再びフルメンバーでトンガAとの3位決定戦に臨む
21日、フィジーのスバで「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ(WRPC)2016」最終戦が行われる。
U20日本代表候補メンバーに6人のオーバーエイジ枠を加えたメンバー構成で同大会に臨んでいるジュニア・ジャパンは初戦のトンガA戦では28-6で快勝したものの、続くフィジー・ウォリアーズ(14—44)、サモアA(22—42)には連敗。
最終節では3位決定戦でトンガAと再戦する。
初戦以上の内容での対トンガA戦勝利が期待されるジュニア・ジャパン
photo by Kenji Demura
純然たるU20メンバーで臨んだ昨年の同大会と異なり、4月に開幕するアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)なども睨み、日本代表強化にも直結する成果が求められるかたちとなった今年のWRPC。
6月に行われるワールドラグビーU20チャンピオンシップをメインターゲットとするU20日本代表のヘッドコーチである一方で、今季はARCで日本代表ヘッドコーチ代行を務めることになる中竹竜二ジュニア・ジャパンヘッドコーチは、初戦、2戦に関してはFL金正奎ツアーキャプテンをはじめとするオーバーエイジ枠選手もフル起用。
その一方で、3戦目は先発からオーバーエイジ枠選手を外した構成のU20チームを強豪サモアAに対峙させた。
サモアA戦ではゲームキャプテンも務めたFL古川。4戦連続での先発出場となる
photo by Kenji Demura
「完全に自分の色を出せたというとそうではないが、コンタクト、ブレイクダウン、通用する部分はたくさんあったし、自信になった。フィジカルの部分では課題がある。相手の方が重いので、どう対応するかをもっと勉強しないと。年下に対してキャプテンをするのはユースの経験ではなかった。難しいが、いい経験をさせてもらっている」
1、2戦ではゲームキャプテンも務めたFL金はそんな風にここまでの戦いでの個人としての手応えを語る。
一方、第3戦でゲームキャプテンに指名されたFL古川聖人はU20チームとして戦って得た手応えに関して以下のように総括した。
「自分たちのやってきたアタック、ディフェンスは通用するのがわかった。ディフェンスでは早いセット、早い出足で相手にプレッシャーかける。アタックでは、ハードワークして走りきる。
(サモアAに対しては)前半は自分たちが引いてしまって、自分たちのラグビーができなかった。後半はゴーフォーワードの部分は出せた。そこは世界に通用する部分。一人ひとりにとっていい経験になったと思うし、マインドが切り替わった」
サモアA戦では攻守に前に出るプレーが光ったCTB前田。日本代表を狙うCTB石橋とコンビを組む
photo by Kenji Demura
「年の差はあるが、しっかりコミュニケーションが取れ、チームになってきている」(FL金キャプテン)
トンガAとの再戦となる最終戦。
ジュニア・ジャパンはFL金がゲームキャプテンに復帰する他、PR知念雄、HO橋本大吾、LO小瀧尚弘、SO中村亮土、CTB石橋拓也のオーバーエイジ枠の選手たちが先発。
再びフルメンバーでWRPCとしての有終の美を飾ることを目指す。
「この大会に関しては軸足はU20に置いている。オーバーエイジの選手もいるが、彼らにもU20の戦術でやってもらっている」(中竹HC)
具体的には、「日本のU20がベスト8に入るためには、ちゃんとキックを使って、きちんと敵陣に入り、チャンスをものにするというラグビー」(同HC)をベースにチームとして成長した姿を披露して、初戦以上の内容でトンガA戦勝利を狙う。
サモアA戦で2トライを奪ったNO8井上も再び先発。3戦目はWTBだった竹山はFBでの起用に
photo by Kenji Demura
実質的なU20チームとして戦ったサモアA戦後、中竹HCが高く評価していたのは前述どおりゲームキャプテンを務めてチームを引っ張ったFL古川、フル出場してFWの核となるプレーを80分間続けたLO藤田達成、2トライを奪ったNO8井上遼、攻守に出足鋭いプレーでミッドフィールドを締めたCTB前田土芽、途中出場ながら思い切ってボールを前に運んでチャンスメイクしたWTB安田卓平といった選手たちだったが、いずれも最終戦で先発メンバー入り。
厳しい戦いの中で確実に成長を遂げていることをシニアメンバーと共にプレーしながら証明したいところだ。
「年の差はあるが、しっかりコミュニケーションが取れて、いい練習ができているし、どんどんいいチームになってきている」と、金キャプテンが手応えを語るとおり、ひとつのチームとしての有終の美を飾るパフォーマンスを期待したい。
text by Kenji Demura
FL金主将、SO中村など実績十分のオーバーエイジ枠選手もフル稼動しての有終の美を狙う
photo by Kenji Demura