経験豊富なRWC勢が先発に8人、初代表組は23人中13人

新生・日本代表の門出に相応しい顔触れで世界4強に対峙

 

3日、2日後にキックオフとなる『リポビタンDチャレンジカップ2016』アルゼンチン代表戦(11月5日、東京・秩父宮ラグビー場)の出場メンバーが発表された。

 

HO堀江翔太、CTB立川理道の両キャプテン(ゲームキャプテンは堀江)など、昨年のラグビーワールドカップを経験したメンバーが先発15人中8人を占める一方、アルゼンチン戦が日本代表デビューとなる新顔も登録メンバー23人中13人選ばれるなど、新生・日本代表の門出にふさわしいと言っていいメンバー構成でRWCベスト4の強豪に立ち向かうことになった。

 

直前合宿の練習場所であるサントリー府中スポーツセンターでのメンバー発表時のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、堀江・立川両キャプテン、LO梶川喬介、FL三村勇飛丸、FB松島幸太朗の報道陣とのやりとりを紹介する。

 

−−現在の心境は?

 

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(以下HC)

「このコーチングチームで初のテストマッチのメンバーを発表できることを光栄に思います。短い準備期間だったが、しっかりゲームプランを落とし込むことができたことには自信を持っています。メンバー自身も試合を楽しみにとてもエキサイティングな気持ちでいるはずです。

(アルゼンチン戦は)自分たちのベンチマークとなるような試合になる。新しい選手たちの活躍を楽しみにしていますし、日本代表としてのテストマッチ、スーパーラグビーの経験もある選手たちのリーダーシップにも期待しています

相手はとても体が大きく、FWの消耗が想定されるため、FWのリザーブを6人にして臨むことにしました」

 

堀江翔太キャプテン「1次合宿、2次合宿と準備してきたものをどれだけ出せるか。昨年までとは違うラグビーをしているが、どれだけ自分たちのものにできて、アルゼンチン相手に通用するのか、楽しみです」

 

立川理道キャプテン「ジェイミーの下での初めての試みですし、新しいメンバーもたくさんいて、そういうスタッフ、選手たちと一緒に戦えることはすごく楽しみなこと。アルゼンチンのような強豪と戦えることも貴重な体験。しっかり結果を出したい」

 

−−キーになるプレーは?

 

ジョセフHC「セットプレーは依然としてラグビーの試合では大きなパートを占めています。もちろん、我々としてはスクラムやラインアウトを避けるような戦いをしていくことも考えなければいけない。チャンスがあればボールを動かしたい。自分たちはそれほど体格がいいわけでなく、強みであるスピードを攻守ともに生かす展開に持ち込みたい」

 

堀江キャプテン「HOなのでセットプレーを安定させたい。そこがキーになると思います。特にアルゼンチンはスクラムに自信を持っている。まずは僕自身がスクラムでリードして、安定させられればいい戦いができるのではないかと思っています」

 

立川キャプテン「相手の大きなFWに対して、真っ向勝負で戦うのではなくて、スマートにキックも使いながら、相手が疲れてきたところでスペースにボールを運ぶような戦いをしていきたい」

 

−−初キャップとなる選手がたくさん含まれているが、2019年に向けて新しい選手を育てていきたいと考えてのメンバー選考なのか。

 

ジョセフHC「現状でのベストな選手たちを選んだつもりです。その中には22歳でとても将来有望な松橋(周平=FL/NO8)のようなとてもフレッシュな選手。その一方で、仲谷(聖史=PR)のようなベテランも。父親であり、落ち着いて、自信を持ってプレーできる。経験を重視した面もありますし、バランスも考えました」

 

−−スクラムが強いアルゼンチン対策は?

 

堀江キャプテン「アルゼンチンというよりは、自分たちがどういうスクラムを組むかを長谷川慎コーチと取り組んできて、それが試合でどこまでできるか。そこがしっかりできれば負けない。(スクラムの組み方は)7月スコットランド戦の時とは全然違います。8人全員で組む。各ポジションの役割があって、わかりやすいです」

 

−−アルゼンチンはBKにも攻撃力のある選手が多い。BKとしてはディフェンス重視でいきたいのか、アタックで見せたいのか。

 

立川キャプテン「アタックもDFもしっかりしたシステムがあるので、それをやり切りたい」

 

−−警戒している選手は。

 

立川キャプテン「9番と10番のふたりがしっかりコントロールしてくるし、自分たちでも走ってアタックしてくる」

 

−−メンバーを選んだ基準は?

 

ジョセフHC「まずは経験のある選手にチャンスを与えることにしました。どれだけ成長しているかを示してほしい。そして、もちろん新しい選手にチャンスも与えます。今度の試合は誰にとってもビッグマッチ。世界の強豪の一角であるアルゼンチンと戦えるのですから」

 

−−いまのチームの強みは?

 

堀江翔太キャプテン

「理解力が高い。これは日本人特有のような気がします。あとは試合に出て、フィジカルの部分でどれだけ見せられるか」

 

立川理道キャプテン

「スローガンの『ワンチーム』という意識で先頭に立てるメンバーばかり。アルゼンチンがアタックしてきてもワンチームで戦える」

 

−−仲谷選手のような体の大きくないプレーヤーを選んだのは低いタックルができる点を評価してか。

 

ジョセフHC「もちろん、タックルに低く入ることは必要で、ラックでも人数をかけなければいけない場面もあるでしょう。しっかり状況を読んで仕掛けるのか、仕掛けないのかの判断が重要になってくる」

 

−−合流が遅れた山田(章仁=WTB)を選んだ理由は。

 

ジョセフHC「今季のパナソニックでの最初の3試合も見ましたし、過去の彼の日本代表での活躍ぶりもチェックしています。素晴らしい選手で経験もある。期待に応えてくれるはずです」

 

−−初キャップの選手が多い。

 

堀江キャプテン「楽しんでプレーしてほしい。雰囲気に飲まれる可能性もあるが、ここまでのキャンプでやってきたアルゼンチンに対する準備をしっかり出せるように段取りできるようにしていきたい」

 

 

LO梶川喬介

「気負わずに、自分のプレーをしっかりやっていきたい。(監督からは)ワークレートを上げるように言われています。 ラインアウトでプレッシャーをかけたり、クリーンアウト、オーバーでいいボールを出したり、LOの仕事をしっかりしていくことが重要。(東芝の先輩である大野均選手から)『状況を楽しんでこいよ』とも言われているので、思う存分楽しみたい」

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FL三村勇飛丸

「非常に光栄なこと。いまの自分の100%の力を全て出しきらないと通用しない。持てる力を全て出して、日本代表として恥じないプレーをしたい。日本代表はラグビーを始めた頃からの憧れ。昨年のワールドカップも興奮して見ていた。そういう日本代表のメンバーに選ばれたのは非常に嬉しいこと。このチャンスはラストチャンスでもあると思っている。責任のあるプレーをしたい」

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FB松島幸太朗

「チーム一丸になって、自分たちがいま準備しているものをしっかり出していきたい。FBとしてスペースがあればきちんとアタックしていくという自分のスタイルを貫いていきたい。(新しい選手とのコンビネーションは)普段からコミュニケーションが取れているので、あとは試合で細かい部分を伝え合っていけば問題ない。ワールドカップをはじめ、自分がいままで経験してきたものをチームにどう落とし込んでいって、新しいメンバーとどう作り上げていくか。いまのところは順調にきていると思います」

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text by Kenji Demura