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第55回日本ラグビーフットボール選手権大会兼TL優勝決定トーナメント 準決勝がヤンマースタジアム長居で1万人を超す観客が見守る中、2試合が行われた。

第2試合は、サントリーサンゴリアス(レッドカンファレンス1位)対ヤマハ発動機ジュビロ(ホワイトカンファレンス2位)。戦前は僅差が予想された試合だったが予想外の大差になってしまった。

試合開始からサントリーは、突破力のある№8ショーン・マクマーンとFLツイヘンドリックがディフェンスラインを突破し、SH流大、SOマット・ギタウらを中心に非常にリズムの良い攻撃を仕掛ける。5分のCTB村田大志のトライを皮切りに、14分にFB松島幸太朗、17分にはWTB江見翔太が次々にゴールを駆け抜け、22分にはここまで狙ったGKをすべて成功させたSOギタウ自らもトライを奪い28対0で前半を終了した。

後半に入ってもサントリーの勢いは止まらない。開始早々2分、6分にFB松島、CTB村田がトライを奪い42対0となり勝負あり。この後、ヤマハは後半開始から入替えで入ったCTBマレ・サウが18分にこの試合唯一のトライを返し、GKをFB五郎丸歩が決め7対42としたものの、26分にはサントリーCTB中村亮士がダメ押しのトライ、GKも決めて49対7でノーサイドとなった。

この試合はサントリーが終始、素晴らしいチームディフェンスからのリズム良い攻撃でゲームを進めた。後半は反則(PK)がヤマハの2に対して8と少し多い感じではあったが、攻撃的で前向きなディフェンスの結果であり、リズムが崩れることなくゲームを進めていた。ヤマハはこの試合、突破力のあるLOデューク・クリシュナン、CTBヴィリアミ・タヒトゥア、WTBゲラード・ファンデンヒーファーが欠場していたとはいえ、力を出し切れない試合内容となった。次戦の3位決定戦での奮起を期待する。


ヤマハ発動機ジュビロ

清宮克幸監督

「内容は見ての通りの完敗。どういうふうにして勝とうか考えてこの準決勝に向けた準備をしてきた。シナリオ通りに運べばヤマハが勝つ可能性もなくはないというふうに臨んできたが、そんなに甘いものではない。思った以上にプレッシャーを受けたし、勝てると思っていた局面でも勝てなかった。一年間を通して今日のヤマハの状態は谷の状態、谷の状態でセミファイナルを迎えてしまったことが我々スタッフの責任。一年間の内には選手たちが輝いていた時期もあったが、今日の選手たちは苦しそうな顔をして試合をしていたと思う。持っているものをすべて出し切って初めてぎりぎりチャンピオンを狙えるチームなので、今日のような内容ではサントリーやパナソニック相手にはこのような点差になってしまう」

堀江恭佑キャプテン

「今週、サントリーに勝つために準備をしてきた。後半勝負と考えていたが、前半に失点を重ねてしまい、セットプレーでも思うように形ができず、フィールド上でも特にFWの選手たちが苦しそうな状態だった。相手のサントリーには攻める時間を与えてしまうと厳しいと思った。このメンバーで今シーズン残り一試合に臨む責任があるので、あと一週間チームとしてどう過ごすのか考えたい」

 

―サントリーに対してどのように優位性を持って崩して行こうとしていたのか?

清宮克幸監督「80分間で勝つという意味では、マレ・サウをスタートで使わなかったことなどが後半勝負を想定した配置だった。前半は我慢して行こうと考えていた。ただ力をはっきりと把握しきれていない選手を使わざるを得なかったようなチーム事情で、そのようなシーズンにしてしまったことは後悔している。悔しい。」

 

―チームコンディションが谷の状態になったという理由は?

清宮克幸監督「ヤマハはヤマハ・スタイルという戦い方をずっとやってきていて、それぞれのプレーヤーにはそれぞれの役割がある。今回はエンジン役をやってきた外国人プレーヤーがことごとくケガをしてしまい、推進力のない形で車を走らせなければならなかった。車体は光っているが実はエンジンが積まれていなかったというのが今日の試合内容である。コンディショニングというよりもアクシデントであり致命的である」

 

サントリーサンゴリアス

沢木敬介監督

「今日は今シーズン一番というほどの良い前半の入り方ができ、先週一週間ヤマハに対して準備してきたことを良い形でコントロールすることができた。パナソニックの好調ぶりを見ていると簡単な試合にはならないと思うので、来週に向けて勝つための良い準備をしていきたい」

流大キャプテン

「監督のおっしゃる通り、本当にいい前半になった。試合を通しても選手同士で確認しあっていた通り高いレベルで試合ができて良かった。次のパナソニック戦に向けて良い準備をして、リーグ戦でのリベンジを果たしたい」

 

―今シーズン一番のでき、とはどんな点が期待通りだったのか?

沢木敬介監督「まずはセットピース。ヤマハに向けて準備してきたことで前半しっかり対応できた。あとはボールの動かし方、キックを蹴るタイミング、キックした後ボールを取り戻すまでの過程、それらを理解して選手たちがしっかりコミュニケーションをとりながら良いパフォーマンスだった。ラグビーなので状況ごとに変わってくるため正解はないが、様々な状況を良いコミュニケーションと良いデシジョン・メーキングで対応できていた」

 

―次のゲームに向けて一週間どんな準備をしようとしているか?

沢木敬介監督「サントリーはサントリーのスタイル、自分たちのやり方でパナソニックの穴を見つけて、パナソニックの弱みを突いていきたい。
流大キャプテン 戦術的なことはこれから分析するが、勝つメンタリティ、必ずチャンピオンになるという気持ちを確認して、昨年味わった感激をもう一度味わうため、12月21に負けた悔しさを思い出すなどのメンタリティを皆に植え付けていきたい」

 

―パナソニック戦に勝つためのポイントは?

沢木敬介監督 「教えません(笑)。一番はハングリーにチャレンジすること、そこが自分たちのカルチャーなので、去年チャンピオンだったことなど関係なしにチャレンジして行くこと」

流大キャプテン「自分たちのラグビースタイル、アグレッシブ・アタッキングラグビーをどれだけ貫けるのか、どれだけチャレンジできるか、チャレンジできた時には必ず勝つことができると信じて準備する。」

 

(文責:大阪府協会:灘 英世、石川 悟、丸井康充)