フォーカスしてきたディフェンスの安定をベースに
ジャパンフレアー炸裂させてコアチーム返り咲きへ
4月6〜8日、香港でHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ(以下、ワールドシリーズ) 2018-2019 コアチーム予選大会が行われる。
同大会に参加するのは日本も含めて計12チーム。
ダミアン・カラウナヘッドコーチ率いる男子セブンズ日本代表はジョージア、チリ(以上、6日)、ウガンダとのプール戦を経て、準々決勝(以上、7日)、準決勝、決勝(以上、8日)と勝ち上がって頂点にたち、1シーズンでのコアチーム復帰を目指す。
1年ぶりに戻ってきた世界最高と言っていい7人制ラグビーの祭典、香港セブンズ。
昨年はコアチームとしてメイントーナメントであるワールドシリーズ香港大会に参加。
香港大会ではローカルイベントとして残る”シールド”決勝(13位決定戦)でウェールズを破って、盾とカップを掲げ、シャンパンファイトまでしたゲンのいい場所でもある。
その香港大会での13位、そしてシドニー大会でのチャンレンジトロフィー準決勝進出(11位)など、善戦する大会もあったものの、最終的には昨季ワールドシリーズに参戦した15のコアチームの中で最下位となり、再び予選大会に回ることになった日本。
開幕まで3ヵ月に迫ったラグビーワールドカップセブンズ2018、そして、2年後に控える東京オリンピックを見据えても、予選を制して1年でのコアチームへの返り咲きが絶対的な使命である”マストウィン”トーナメントとなる。
2016年11月にカラウナHCが就任以来、それまでの意図的にブレイクダウンを多くつくっていくスタイルに加えて、オフロードパスを多用しながらクリエイティブなアタック力を高めてきた男子セブンズ日本代表。
「とにかく、ボールをしっかり動かす。ワールドシリーズの中でも日本は一番パスをするチーム。我々が目指すスタイルのプレーをするためには、大きなサイズのチームである必要はない。自分たちがコンタクトエリアでコントロールすることは難しいので、できるならコンタクトはしないでおく。その代わり、我々はアジリティでは優位に立てる。自分たちでゲームをコントロールできて、細部まで思い通りにプレーできたなら、どんなチームからも素晴らしいトライも奪える」(同HC)
ジャパンフレアー”と言ってもいいスタイルを追求してきた日本だが、前述のとおり昨季はシドニーでカナダ(昨季総合8位)、香港でウェールズ(同10位)を破るアップセットを成し遂げたりしたものの、結局、シーズン総合順位で最下位に甘んじて1シーズンでコアチームから降格。
カラウナHCの言葉通り、どんな相手からも素晴らしいトライを取る能力はあるものの、いったん相手にボールを渡すとなかなか止められずにトライまで持っていかれるパターンで失点を重ねるケース多く、ディフェンスが大きな課題であることは明らかだ。
東京オリンピックへの強化のためには最重要大会
日本が戦うプールEは「一番厳しい」(小澤主将)
もちろん、選手たちにもその自覚はある。
「しっかり準備してきたし。自分たちの力さえ出せれば、負けることはない」
今回の予選を勝ち抜き、来季のコアチームへの復帰に関して自信を見せる小澤大キャプテンも厳しい予選を勝ち抜くための一番のポイントはディフェンスという認識でいる。
「アタック能力は心配していない。ディエンスだけ。そこをしっかり。デカくて、フィジカルが強い相手に対して、日本人は小さいので、しっかり2人で止めて、早くリロード。そういうところで上回っていかないといけない」
小澤キャプテンは日本がジョージア、チリ、ウガンダと対戦するプールEについて「一番厳しい」と印象を語る。
確かに、1年前の昇格大会ではチリは日本にとってアジアの好敵手である香港に圧勝するなど、ベスト4入り。ウガンダも8強入りを果たしている。
それでも、チームが照準を合わせているのは、あくまでも初戦のジョージア戦。
「デカくて、フィジカルが強い」(小澤キャプテン)
相手に、フォーカスしてきたディフェンス力を安定させた上で、ジャパンフレアー溢れるアタックでトライを重ねる。初戦から欧州の強豪大型チームに対して自分たちのスタイルを貫いたプレーを出し切った上で勢いに乗り、南米のチリ、アフリカのウガンダという異なるタイプのチームを退けて、いいかたちで上位8チームによるトーナメントとなるノックアウトステージ(準々決勝→準決勝→決勝)へ進みたいところ。
同ステージでは、昨季あと1歩で昇格を逃したドイツ(決勝戦で7ー12でスペインに惜敗)、欧州6カ国対抗の雄アイルランド、昨年10月のアジアセブンズシリーズ2017スリランカ大会決勝で苦杯を喫したアジアのライバル、地元・香港なども日本を倒してのコアチーム入りを狙っている。
「ひとつしか枠がないというのはものすごいプレッシャー。こういう経験なかなかできない。変な緊張ではなく、いい緊張に変えて、やっていきたい」(小澤キャプテン)
東京オリンピックに向けた強化という意味では、絶対に負けられない、「1点差でも勝つ」(同キャプテン)泥臭さも求められる大会となる。