第1試合 早稲田大学 27-21 明治大学 マッチレポート

関東大学対抗戦後も成長を続けてきた早稲田大学が、前半は明治大学にリードを許しながらも後半の2T2Gで逆転、今月4日の対抗戦では敗れた相手に勝利した。新年1月2日の準決勝では、慶應義塾大学を破った関西の雄、京都産業大学と対戦する。

 

27-21と早稲田リードで迎えた77分(後半37分)過ぎ。明治は敵陣22m内のラインアウトから、最後のアタックを敢行する。ライン際でボールを受けた明治の主将、WTB石田吉平が、この試合でも再三見せていた、相手の目の前から一瞬にして消えるかのような鋭いステップで切り込む。ラックになったところへ、早稲田の主将、FL相良昌彦が駆け付けジャッカルに入る。試合後に「やるべきことを全員でやるというチームのモットーを体現できた」と振り返ったこのプレーでラックからこぼれ出たボールを、副将CTB吉村紘が蹴り出して試合を終えた。

 

早稲田は相良主将が約1カ月ぶりの実戦復帰。また、3回戦(対東洋大学戦)ではベンチスタートだったLO前田知暉と伊藤大祐がSOで先発した。大田尾竜彦監督から「ミスもするがビッグプレーがある。相手に脅威を与えられる」と評された伊藤が、スピーディなテンポのアタックを引き出し、11分にはWTB松下怜央が最初のトライを奪った(ゴール成功)。

対する明治は20分、ゴール前のラインアウトモールから出したボールを展開。相手ディフェンスに外側を塞がれていたところでCTB齊藤誉哉が内を突き、やや手薄だった内側のディフェンスを強行突破してトライ(ゴール成功)。7-7の同点に戻した。

その後、早稲田は好調の吉村が45m超のPGを2本連続で決めて再び先行するが、明治も前半終了間際にラインアウトモールを押し込んだ後、HO松下潤一郎がボールを持ち出してゴールまでの約10mを走破。ゴールも決まって明治の逆転(13-14)で前半を終えた。

早稲田は3回戦に続いて後半からHO佐藤健次を投入。前半はやや不安定だったセットプレーが改善され、57分には敵陣左中間スクラムでNO8村田陣悟のサイドアタックからチャンスを作る。ラックサイドへ走り込んだWTB松下がSH宮尾昌典のショートパスを受け、この日2本目のトライで再逆転(ゴールも成功して20-14)。更にその直後、明治のキックオフリスタートから、結果的に決勝点となるプレーが生まれる。3回戦でもインターセプトからトライを奪った宮尾が、明治SO池戸将太郎のパスを奪って疾走。追いすがる相手ディフェンダーを巧みに振り切り、リードを広げるトライ(ゴール成功で27-14)。

一方このままでは終われない明治もFWが奮起。3回続けて得たPK全てでスクラムを選択。その3回目のスクラムを猛プッシュ、ついにペナルティトライを奪った(27-21)。その後も再々逆転を狙って攻めるも、反則やミスで得点には至らず、冒頭の幕切れを迎えた。

 

この両者は直近4年シーズン、関東大学対抗戦での勝者が全国大学選手権では敗者となってきた。2018年度は対抗戦で早稲田が勝利、選手権(準決勝)では明治が勝利。19年度はその逆(選手権は決勝での対戦。早稲田が優勝)。20年度は選手権での対戦はなかったが、昨年度は対抗戦で早稲田が勝利、選手権では今年度同様、準々決勝で対戦し明治が勝利していた。


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第1試合 記者会見レポート

▼明治大学共同記者会見

神鳥裕之監督

「難しい試合になることは分かっていたのですが、悔しい結果となって残念です。今年のチームは(石田)吉平中心に本当に良いチームだったので勝たせてあげたかったというのが、自分の正直な気持ちです。自分自身の力不足を感じ残念です。この悔しい気持ちを次の世代の3年生以下がしっかり引き継いで、来年こそ必ず強い明治を作って、また戦いたい」

 

 ―明治のスクラムで上手くいっていないところはあったのでしょうか?

「試合を通してセットプレー、特にスクラムでは優位に働いていた面もありました。後半半ば位の60分前後のスクラムのところで反則を取られるようなケースもありましたが、そこで立て直して認定トライの機会も作れたので、ゲームを通して何かエラーが起きていた訳ではありません。ここは素直に、早稲田さんの準備や凄さがありました。そこを凌駕するチームを作らないといけないと思っています」

 

―フロントローの交替のタイミングや理由は?

「コーチ陣とも、そろそろ替えるタイミングかなと話をしていました。決してスクラムがやられている訳ではなく、解釈の違いや、お互いの上手くいかない部分による味方の反則という捉え方によるものです」

 

―対抗戦の早明戦で勝ってから3週間での再戦については?

「強い相手ですので、やりづらさはありました。しかし、これは仕方がなく、今回の順位の中で戦ったスケジュールでしたので、我々としては最善の準備をして臨むだけでした。前回と同じ相手というやりづらさはありました」

 

 ―特に相手が早稲田との再戦であったことは影響しましたか?

「相手どうこうというよりも、自分達のラグビーをというメッセージをチームの中でしていました。しかし、相手は特別なチームであることは間違いなく、このような対戦を連続で戦う難しさは我々だけではなく相手にもあることです。またそのようなチーム相手に連続して勝ち上がることで成長できると捉えると、今回の再戦は一長一短があります」

 

 石田吉平キャプテン

「このような競った試合で勝ち切れなかったのは全て自分の責任であり、試合の最後まで、自分がもっと上手く明治を引っ張っていけたら違う結果になっていたと思います。今回は『良い試合』と言われても意味はないので、次の明治はしっかり日本一を目指して欲しい」

 

 ―今日の試合のテーマとその出来栄えは?

「今日のテーマはどこまでハングリーになれるかという『ハングリースピリッツ』と、チームテーマとして『トラスト』を掲げ、しっかり『信じる』ことをずっとやっていました。しかし、後半になり、自分達が思うようにいかず対応できませんでした。最後の『トラスト』のところで『信じろ』と言ったのですが、自分が試合を終わらしたので、自分の責任かなと感じています」

 

―どのような考えで、試合を終わらせたとされるプレーをしたのでしょうか?

「考えとかはなく、自分の体の思うままに行きました」

 

―ゲーム中、チーム内に何か焦るようなところがあったのでしょうか?

「思うようにいかない時間が続いて、『トラスト』を信じていたのですが、ひとり一人のバラバラな気持ちを統一できなかった自分に責任があるなと思っています」

 

―何がバラバラにさせていたのでしょうか?

「多分、緊張、プレッシャー、不安がありましたが、慣れていかねばならないものです。会場に飲み込まれていたのもありました」

 

―大舞台に慣れていたのでは?

「沢山の様々なプレッシャーがある中、自分達が集中することに統一できませんでした」

 

―最後のプレーでなかなか起き上がれなかったときの気持ちは?

「4年間がフラッシュバックしてきた感じでした。悔しさもありますが、明治として4年間やってきた中で申し訳ないという気持ちと、もうできないという寂しさと悔しさが入り混じって、一気に頭の中に入ってきた感じです」

 

―最後、相良選手とどのような言葉を交わしたのでしょうか?

「『ありがとう』と言われたので、優勝を託しましたし、お互い切磋琢磨した仲なので、『後は任した』という話をしました」


▼早稲田大学共同記者会見

大田尾竜彦監督

「今日の試合は最初の50分しっかり我慢して、そこからギアを上げて頑張って、最後は絶対22mの中の勝負になるので、そこに集中してやり切ろうという話をして、選手達をグラウンドに送りました。本当に良く頑張ってくれました。今日登録された23人だけではなく部員150人で、対抗戦が終わった後から成長して来れたことが、今日の試合に繋がったかなと思います。凄く嬉しい勝利です」

 

―9月から言われていた『チームの伸びしろ』については?

「自分達がやろうとしているゲーム作りをするときのコミットメント、実行力がかなり出来てきました。4年生中心のチーム力がこの3週間で加わってきました。まだまだ伸びしろがあり、今は7割位の状態まで来ているのかなと思っています」

 

―足りない3割とは?

「状況の見極めとか、最後残り3分で敵陣にいて3点が欲しい、若しくは最悪ドロップアウトでも良いとか、22mのセットプレーであれば良いなどの、状況判断がもう少しかなと思います。前半のゲームを作るときも、例えば、このフェーズはとり切りたいというときなどの状況判断はもう少しです」

 

―SH宮尾昌典選手については?

「彼が元々力のある選手であることは間違いないものの、19~20歳でどうしても自分自身の目標を見失ったり、今の立ち位置について満足する訳ではないですが、それがプレーに表れたりしました。(先発から)外した後彼と話をし、彼はそこから良く復調しました」

 

―今日は、思い描いた通りの試合展開でしたか?

「勝つのであれば、この形かなというのがありました。先ほどのスクラムのペナルティのところも、味方のワーストシナリオは、後半20分位から、明治ボールのスクラムで我々がペナルティを犯して22mに入られ、セットプレーを繰り返しやられるのが一番嫌でした。このため、井元(正大)選手や野中(健吾)選手を後半に持ってきたことが上手くいきました」

 

―負けてから3週間の同じ対戦カードの準備は難しかったですか?

「東洋大戦からきつくて、選手もかなり傷んでいましたし、相手の実力も凄く本物でしたので、そこでチームが一つにまとまりました。先週の4年生の早明戦で4年生が物凄く良いパフォーマンスをしました。対抗戦が終わって皆が必死にがむしゃらにやってきたイメージが強く、ここまで綺麗にデザインした3週間というよりも一週一週という感じのイメージでした」

 

―(厳しかった)相良昌彦主将の変化については?

「彼は春、結構厳しいことを言っていました。本人の中で去年の負けから得たものが練習中の物凄い厳しさや、緊張感を持って体現してくれていました。そういう時期が必要なときもありますが、そうではないものも、チーム作りにはあることに気づいてくれたと思います。相良選手のそのようなふるまいから、ケガをしてシーズン出られないが自分の仕事を果たしているLO鏡鈴之介選手(副将)などや、リーダー陣にまとまりが出ている印象です」

 

―大学選手権の準々決勝で早明戦を年内に2年続けていることについて?

「何とも言えません。厳しい戦いを2年続けました。何が正解かもわかりませんが、できれば年を越してから明治さんとやるのが良いなとも思いますが、与えられた中でやるしかないなとしか言えません」

 

―去年、叶わなかった年を越せることについては?

「嬉しいというのが率直な感想です。この時期になるとぐんぐんチームが成長し、昨年もそうですが、もう一週もう一週という欲が凄く出てきます。去年は志半ばで負けて達成できませんでした。タレントとしては去年の方がいるとは思いますが、今年はチームワークで凄く伸びているチームを、少なくとももう一週見られることは本当に嬉しいことです」

 

―SO伊藤大祐選手を先発起用することでチームに出た変化は?

「彼をどこで使うかという問題があります。ミスもすればビッグプレーもする彼ですが、対戦校に与えるプレッシャーが違うと思います。今日はFB小泉怜史選手を最初に出したかったので、伊藤選手が10番に入ることで、キャッチ・ラン・パスなどラグビーのスピードが速くなることが、彼の一番の魅力であり力です」

 

―今日のゲームのテーマは?

「今日のテーマは『ONE VISION, ONE TEAM』でした。80分の間に必ず苦しいいろんなことが明治さん相手であれば間違いなく起きるので、『その都度その都度で一つのことを皆で描き、一つのチームになっていくことが大事』と話をしました」

 

相良昌彦キャプテン

「今日、明治と試合するのは、去年と同じ準々決勝で当たって負け、去年の4年生の思いや、先週あった4年生の早明戦で負けてしまった同期の4年生の分のリベンジをしようという話をして試合に臨みました。結果は、去年負けていたスクラムや接点で成長した部分が見られたので、今日の勝利は凄く収穫の多い試合でした」

 

―最後のジャッカルは相良選手によるものでしたが、そのときの狙いとノーサイドになった瞬間の気持ちは?

「今年のチームのテーマは『誰でもできることを全力でやろう』『千分の一へのこだわり』『TOUGH CHOICE』です。このテーマは、抜かれそうになったら全員で帰ろう、誰か抜け出したら全員でサポートしようということです。自分がライン際まで帰ってジャッカルできたことは、そのテーマを体現できたので凄く良かったと思っています。ノーサイドの後は、去年の先輩たちや4年生の顔が浮かびました」

 

―この3週間でチームが一番成長したところはどの辺りですか?

「疲れているとき、劣勢のときに、チームがバラバラになってしまうことが年間通しての課題でした。私が抜けていた1ヵ月間で、吉村(紘)選手中心に4年生が一つになって、引っ張るキャラではない人も声を出すようになったなど、チームにまとまりが出てきたのが一番の成長かなと思います」

 

―今日は厳しい位置でもPGを狙っていくのがチーム方針でしたか?

「全員では共有はせずに、ゲームリーダーとの事前のミーティングで『刻んでいけるところは刻んでいこう』という話はしていました」

 

―後半、2本スクラムでペナルティを貰って、逆転トライにつながったときの相手スクラムへの感触は

「フロントローではないのであまりわかりませんが、1年間スクラムに時間をかけてやってきたことが出て、FWで勝負できるチームであったと感じています」

 

―後半最初のトライに繋がったフリーキックからスクラムを選択された理由は?

「トーナメントに入っていく中で、色んなオプションを持つのは当然だと思う中で、あの位置での最善の選択でした」

 

―試合終了直後に称え合っていた相手の石田主将とはどのような話を?

「以前から交流があったので、『次、頑張れよ』『優勝してくれ』『次のステージでまた会おう』と言ってくれましたので、それを力にしていくつもりです。私からは『優勝してくる』と言いました」

 

―長い間試合に出られなかったことについて、今どのように感じていますか?

「夏まで怪我をせずにずっとやって来られたのですが、シーズンに入ってから上手くいかず、逆にチームを一歩引いて見ていた期間が、自分にとってプラスになっています。自分は『とにかくやれ、厳しくやれば良い』という考えでしたが、それが正解な人間が全員ではないと感じて、ひとり一人接し方を変えてみました。チームを俯瞰して見ることができ、良かったです」



第2試合 帝京大学 50-0 同志社大学 マッチレポート

 関西大学リーグ最終戦の天理大戦を47-19で勝利し大学選手権の出場権を得て、翌週の大学選手権初戦では福岡工業大を62-17で退け、勢いに乗る同志社大学が、関東大学対抗戦を全勝で2連覇を決め、今シーズンの大学チームでは最も実力があると評価される帝京大学に挑戦する。フォワードの先発8人の平均体重が帝京大110kg対同志社大97kgとフィジカル面で圧倒的に劣勢な同志社大学フィフティーンが気持ちをどれだけ一つにまとめて帝京大学を苦しめるかが注目だ。


 前半、帝京大がボールを持って敵陣に攻め込む時間は多いのだが、同志社大のディフェンスが良く、帝京大はオフサイドなどの反則や小さなミスが出てなかなか得点できない。しかし、前半10分、同志社大ボールのラインアウトで帝京大がボールを獲得すると帝京大バックスはフェイズを重ねて敵陣に攻め込む。22mの内側でのラックから出たボールをもらったSO高本幹也が右サイドに走り込み同志社大ディフェンスを1人ステップでかわし、2人目に捕まるがオフロードで右にフリップパスを出す。これに良く反応していたFL青木恵斗がボールを受けると同志社大のタックルを1人2人と跳ね飛ばしてインゴールに飛び込んだ。高本のゴールも決まり7-0と帝京大が先取点を決めた。


 1本取られた同志社大だがその後もディフェンスをよく我慢し続け帝京大に追加点を許さない。しかし、23分、SO高本が大きなキックを敵陣に蹴り込むと同志社大バックスがこれをノックオン。22m内側で得たスクラムで帝京大フォワードがこのスクラムをプッシュ、有利なかたちでスクラムから出たボールを手にしたSO高本が左サイドに走り込みディフェンスを引きつけると内側にフォローしてきたNo.8奥井章仁にオフロードパスをつないで奥井がインゴールに飛び込んだ(ゴール成功14-0)。


 同志社大が良くディフェンスを続ける中、帝京大の取った2つのトライとも敵陣で得たセットプレーでフォワードがいいかたちで出したボールを、SO高本の好判断とそれにフォローした選手と息の合ったプレーで繋げたトライだった。

 帝京大は39分にもスクラムでフォワードがプッシュしていいボールを出すと、今度はバックラインを大きく左にCTB松山-SO高本-FB谷中と回し、最後はWTB高本とむが左コーナーに飛び込み、3つめのトライを取りハーフタイムとなった。

 得点は19-0と差がついたが、「帝京に勝つためにしっかり準備してきた」(梁本主将)という同志社大はファイティングスピリットをしっかり見せた戦いをして締まった試合となっており、後半に期待が繋がる。


 同志社大は後半もよくタックルを続けていたが、帝京大はフォワードのセットプレーでの強さを生かして得点を重ねた。後半3分には自陣でのラインアウトからFB谷中樹平らでフェイズを重ねてラックから出たボールをバックラインのようにFL青木から左の大外にフォローしたHO江良颯にパスをつなぎ江良がトライ、9分にはゴールライン前のラインアウトからモールを押し込み、江良がこの日2つめのトライ。23分にはフォワードがゴール前でモールをプッシュすると今度はバックスに回してSO高本がトライと得点差は36-0まで広がった。


 ここまで大きな得点差がついたが、37分には、帝京大バックラインで左に回しWTB高本とむが左隅にトライかと思われたところで良くバックアップした同志社大WTB大森広太郎が高本を止めるトライセービングタックルを決めるなど最後まで同志社大の集中力は切れていなかった。


 最終的には帝京大は計8トライ、スコアは50-0での完勝となったが、同志社大のプレッシャーで帝京大が「自分たちの規律が乱れてしまった」(松山千大主将)ため反則を取られるシーンも多く、帝京大にとって反則数16という結果は選手権での今後の試合で修正するべき大きな課題となった。

準決勝に駒を進めた帝京大は、正月1月2日に国立競技場で筑波大と対戦する。

(正野雄一郎)


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第2試合 記者会見レポート

▼同志社大学共同記者会見

宮本啓希監督

「本日はありがとうございました。50対0という結果になってしまったのですが、帝京大学さんに勝つという準備をしてきましたので、それをどれだけ出せるのかという所でした。やはり、前半は、チームでも、要所である一定のリズムで出させたら厳しいよと言っていたのですが、それをさせてしまったという所で、帝京さんの強い展開にさせてしまったと思いました。今日の試合については、最後後半、ペースを上げられてしまったのですが、このチームで最初に言ったファイティングスピリットという所が、彼らがバックスタンドに挨拶しに行った時に、50対0という結果にもかかわらず、あれだけ多くの拍手を頂けたことに繋がったのかなあと思います。本当に戦った選手、学生全員にお疲れ様と言いたいです」

 

ー帝京大学と戦うに当たって、どんなアドバイスを選手に?

「ラグビーの面もそうですが、やはり、このチームは去年の負けから始まった所をキーと言うか、大事な部分かなと思っているので、やはり、どんな状況でも戦えるかどうかが、対帝京さんとはすごく大事だと思っていましたので、そこを一番に言っていました。常に重要なのはファイティングスピリッツなので、どこまで出られるか、しんどい時に前へ出られるか、そこを言ってきました」

 

ーここまで立て直して来て、このチームが成長した部分は?

「やはり、新しいことをやりましたので。振り返ってみると、上手く行かなかった時は、ほとんど半信半疑で、いろんなやろうとする事を100%やり切らせてあげられなかったのかなと言う所が私の反省で。やはり、関西学院さんに負けて、その間の京産大さんまでの1週間がキーだったなと思います。あれだけ、後半でやられる負け方をして、メンタル的にかなり落ちましたけれども、そこで彼らが絶対諦めずに前に進んだ所が、このチームの一番成長する鍵になった1週間だったと思います」

 

ー帝京大学などのトップチームとの差は?その差を埋めるためには?

「差は縮まっていると思います。昨シーズンはゲームやる前から負けていたという所もあり、そういう意味では、一番大事な戦うというマインドをもってゲームに入るという所が、対抗戦、リーグ戦相手であっても、どこであっても、そこが一番差の縮まった所です。ラグビーのスタイルの部分で言うと、新しく春からやってきましたけれど、しっかりとオプションをもった中で、ボールを動かして行く事によって、今日もスペースも作れましたし、1対1も取れましたし、そういった通用するなと思ったことも多々ありました。

一回のミス、一回スペースを与えた時に、1対1で止められたとしても、食い込まれてしまう。そのフィジカルの部分は、春からやって来ましたけれど、一番これから強化して行かなければならないと思います」

 

ー1年生も出していたが、育てる部分は?

「正直、育てるという事は考えていなかったです。育てると言うよりも、その時一番良いパフォーマンスの選手を出すということで。一番良い15人を、今日出したという事です。今のご質問で言えば、この経験が彼らにとって、今後プラスになる事は間違いないと思います」

 

ー後半、フリーキックからのサインプレーは?

「競ったゲームですと、もし10点差以上あったら、チャレンジしていこうと準備してきました。今日のゲーム展開ですと、モールがちょっと止まっている傾向もありましたので、今日は完全に選手が反応してくれました。やはり、22mの中に入ってボールを持ちたかったので」

 

ー来年度、鍛える部分は?

「フィジカル、セットプレーの部分です。フィジカルの部分では、去年よりだいぶウェイトの時間を増やしましたが、まだまだ足りていないと思いますので、練習時間は確実に増えるだろうと思います。11月からウェイトルームを新しくして頂き、充実したものがありますので、そこで、みっちり。もしかしたら、明日からやるかもしれません」

 

梁本旺義キャプテン

「本日はありがとうございました。僕たちは今日の試合に勝つために、ここまでやってきました。結果は負けてしまいましたが、準備をしてきても、グラウンドでパーフェクトな力を出せたかと言えば、やはりミスが多くて、相手に勢いを与えてしまった所が多かったので、それは帝京大学さんの力でもあるし、自分たちもまだまだ、強くならなくてはいけないと思いました。それが、この試合を終えて感じた事です」


ーモール攻撃の手応えは? 

「自分たちの強みのモールという所では、取り切れてはいないが、ずっとやれているというのは感じていました。やはり、スクラムなど、セットプレーの部分で相手のプレッシャーを与えられたシーンが多かったので、そういう部分はしっかりと、これからやらなければいけないと感じました」


ー去年の負けと、今年の負けの違いは?

「去年は、試合前から試合に対する入りがちょっと良くなかったのですが、今年は春から、部員全員160人が帝京大学さんに勝つという一つの方向に向かっていました。自分たちは春からしっかり、アタックの所を多くして取り組んで来たのですが、やはり、今回、スコアが取れなかったのは、帝京大学さんのディフェンスの強さでもあるし、トライをもっともっと取り切るという事、しっかりそこを成長していけるようにして行かないといけないと思います」

 

ー勝てていた部分は?

「今年は3回生以下、下級生が頑張ってくれて、支えられてここまで来られたので。試合が終わって非常に悔しい顔をしていましたが、下を向かないで前を向いて、しっかり良い顔をしていましたので、応援していきます」

 

ー後半、フリーキックからのサインプレーは?

「本当に同志社らしいサインプレーだと思います。そこでしっかりトライを目指すプレーとして、準備してきたものなので。観客を沸かせられるようなプレーでもあるので、実行しました」

 

ー最後、一歩届かなかった場面は?

「やはり、最後はミスで終わったという所が。ああいった押し込む、押し込むというしんどい場面で、帝京大学さんは我慢をする所でしっかりしてきましたし、自分たちも相手に足を掬われた時に、ボールを取り返しに来たのを感じました。しっかり、あそこまでボールを運んで来れたのは、自分たちがこれまでやってきたラグビーの力が通用していた部分なので。後は、もう一歩、もう二歩出て、しっかりトライを取れるように頑張ります」



▼帝京大学共同記者会見

相馬朋和監督

「本日は協会関係者の皆様、ファンの皆様、同志社大学の皆様、本当にありがとうございました。我々としましては、少し間が空いたゲームになってしまい、多くの反則をしてしまいました。その点が次のゲームへの修正するべき点となります。今日はありがとうございました」

 

ー改めて、準決勝の相手は筑波大学だが?

「ブレイクダウンでプレッシャーを掛けてくるチームですので、そこで、筑波大学さんにどう戦って行くのかというのは。そこに、集中して、しっかり良い準備をしたいと思います」

 

ー大学選手権と対抗戦との違いは?

「大学の指導者になって1年やそこらの人間が語るような事ではないかと思いますが、まず、注目度が高いという事はラグビーのレベルを上げる部分では一つ重要な事ではないかと思います。いつも、皆さんに注目していただきながら、ラグビーをしていくというのは、やはり、学生たちにとっても成長する糧になる要素であると思います。明治さん、早稲田さん、慶應義塾さん、伝統校の皆さんのラグビーにかける情熱や、その価値の大きさというものを、やはり、他の大学とは違うのかなというのは、肌で感じる部分ではあります。そういった皆さんに鍛えて頂いて、今の我々があると実感しています」

 

ー間隔が空いたシードについては?

「大変、難しい質問で、どう答えて良いか分かりませんし、正解も無いと思いますが、そこに差が出てしまうのがトーナメントではないのかなと思います。最初から決まっている事ですので、それに対して調整が上手くいったかどうかといった部分だと思います」

 

ー調整の難しさのために、練習の強度を上げたりしたのか?

「特に私がした事ではありませんが、ラグビー部の学生たちが自分たちに必要な事を彼らで掬い上げながら工夫した3週間でした。その部分では、我々にとって素晴らしい3週間を過ごしたのではないかなと思います」

 

 

松山千大キャプテン

「本日はありがとうございました。同志社大学さんのおかげで、タフなゲームができて、成長できたゲームになったと思います」

 

ー具体的には?

「まずは、同志社さんの勢いのあるアタックで自分たちの規律が乱れてしまった事が一つ、要因だと思っております。その中でも、しっかり、ゴールラインを割らせることなく、スコアを0で抑えた事は収穫できる部分だと思うので、もう一度、規律の部分をしっかりして、次のゲームに向かえたらと思います」

 

ー同志社の接点の圧力は?

「久しぶりのゲームという事で、そこの部分は。少し安定しなければならないと思っております」

 

ー去年は準決勝は少し苦戦したが?

「自分たちは大学選手権の経験をしているので、どこが相手でも、自分たちのラグビーを80分間やり続けるだけです。そこに、油断も隙も無いと思っております」

 

ー改めて、準決勝の相手は筑波大学だが?

「対抗戦でも、前半、苦しめられたりするなど、やはり、筑波大学さんは良いファイトをしてくるチームなので、そこでしっかり、ブレイクダウンの主導権を取りたいと思っております」

 

ー前半、ハンドリングエラーが多かったが?

「一つ言えるのは、対抗戦でもそういう事があったのですが、やはり選手権の中で今まで以上に気持ちも入って、早く楽になりたいと思ったプレーが熱くなった所もあったと思うので、そこはしっかり前半のうちから修正して、後半に繋げたいと思っております」

 

ー去年、関西リーグの京産大に苦しいゲームをしたと思うが?

「個人的に一つあるのは、やはり関西のチームというのは、昔から知っている仲間だったり高校時代の仲間だったりそういういつもと違う相手とやる時には、しっかり気持ちも入りますし、ちょっと感慨深い所もあります」

 

ー3週間の時間をどう準備したのか?

「最初の対抗戦が終わって、3週間後に試合となっていて、最初の方は、何と言って良いか、まだ時間がある、と過ごしてしまったのですが。このままではいけない、本当に中身に何が必要かといった部分、相手は何をするか分からない、だから自分たちは最後にできる事を準備しようと、しっかり皆に伝えて準備して来ました。何かをしたと言うよりは、一人一人のマインドの部分です。特に何かをやったわけではないのですが、コーチとのミーティングだったり、選手間だけのミーティングだったり、そういう時間を増やしていました」