2023年7月15日 えがお健康スタジアム

リポビタンDチャレンジカップ2023

日本代表 27-41 All Blacks XV



日本代表

ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ


――この2試合、ウイングは同じ二人を起用しました。彼らの攻守における評価と彼らがラグビーワールドカップでも起用できる見通しが立ったのかどうかを教えてください。


「コンビネーションという意味ではいま、けがをしている選手たちが何人かいます。木田晴斗も何週間かけがをしていてセレクションに入っていません。シオサイア・フィフィタも浦安の合宿でけがをしてからセレクションに入っていません。現状、(ウイングが)二人しかいないのでフィジアン(フィジー出身)の二人がセレクションに入っています。ほかの選手たちもフィットしていればそこに入ってくることもあります。松島(幸太朗)に関してはフルバックで見てみたいというところで(起用しました)。彼がウイングをできることはすでに分かっていました。前回のラグビーワールドカップでもウイングでプレーしていますから。選手たちの状況によっては、今後のセレクションはフィットしている選手たちがいれば変わってくるのではないかと思っています」


――テレビのインタビューでは「ミスが多かった」と話していたが、それが起こってしまった要因と改善についてはどう考えていますか?


「今日、自分としてフォーカスしていきたい部分は、自分たちのラグビーというものを作り上げて表現できることが分かったということです。All Blacks XVは、ターンオーバーから得点につなげることが非常にうまいチームです。そういったチャンスを与えてしまえば、相手が攻める機会が多くなります。ただ、自分たちのラグビーができた部分がありますので、今日起こったようなミスをなくすことができれば、テストマッチで勝てると思っています。


コンビネーションも試しているところですので、ミスはなくしていく必要があります。ノックオンのミスについて、姫野(和樹)に聞いてもらえば分かると思いますが、どうしてノックオンしてしまったのかというのは本人に聞いても分からないと思います。誰もノックオンをしたくてしている選手はいないと思います。自分から言えることは、試合の重要な場面においてしっかりと集中していくこと。フォーカスしていくという部分は改善していけるんじゃないかと思っています。


付け加えて言うと、コーチとしてミスはもちろん、なくしていかなければいけないと思いますが、自分たちがやらなければいけないことは止めてほしくない。もちろん、ミスはなくしていかないといけない。これは間違いないことです。ただ、自分たちとしてはジャパンのラグビーをしていくということ。自分たちが成長していく中で自信をつけていってもらいたいと思っていますので、自分たちらしいラグビーというものはしっかりとキープしたままラグビーを続けていくことで、ラグビーワールドカップで勝てるチームになれると思っています」


――後半の戦いを評価されていると思いますが、その点について。また、流大選手の評価について教えてください。


「おっしゃるように後半のパフォーマンスは良くなったというふうに思っています。ただ、自分たちとしてはミスをしてしまい、そこから相手にボールを渡してしまって、トライを取られてしまうことにつながってしまいました。ただ、選手たちがボールを動かしてアタックをしてトライを取りに行く部分の意志、やる気というものはすごくあったと思います。ただ、クオリティーの高い相手に一つのミスをしてしまうと自分たちは罰を受けることになってしまうということです。


チーム全体としてもそうですし、姫野もほかの選手たちもそうですが、自分としては今日出場した選手たちを誇りに思います。後半についてはしっかりと良いラグビーをして(合計)3トライを取れたことについては誇りに思いますし、自分としては選手たちを信頼しています。ここからは日々、改善をしていってチームを作り上げていくことが重要だと思っています。(流については)良いインパクトでした」


――姫野選手は日本代表で初めてのゲームキャプテンを務めましたが、どういったことを感じましたか?


「彼はすごく良いリードをしてくれました。いまのチームでもラグビーワールドカップに出たことのある選手、経験のある選手たちがいます。そういった選手たちがこのレベルで勝っていくためには何が必要なのかを本当に理解してきたと思います。All Blacks XVのようなクオリティーの高いチームと戦っていくためには何が必要なのかが分かってきたと思います。選手たちの経験、知識も必要ですし、そういった部分も改善していかなければいけないと思います。姫野については今日、良い仕事をしてくれたと思っています。彼だけでなく、リーダー陣がチームを盛り上げて、チーム作りをしてくれたと思います。ただ、自分が日本に来てからもそうなんですが、物事を始めたときはスロースタートになることが多い。チームを作り上げるにはある程度、時間がかかるものだと思っていますので、少しずつ、チームが高まっていくことが重要だと思っています」


――ラグビーワールドカップの本大会で姫野選手がキャプテンを務める可能性について。その可能性がどれくらいのパーセンテージであるのかを教えてください。


「難しいね(笑)。逆に質問したいんですが、それではキャプテンには何が必要だというふうに思いますか?姫野もそうですし、坂手淳史も流も自分もそうですが、実際にキャプテンには何が必要なのかというのは常に考えています。一番、大事なのはベストプレーヤーでいなければいけないということです。まず、自分のパフォーマンスによってグラウンドでチームをリードしていかなければいけない。それがキャプテンには重要なことだと思います。それによってほかの選手たちに良い影響を与えていくこと。そういう部分について姫野には素質があると思います。それについてはこれから彼自身も変わらないと思いますし、自分のパフォーマンスを妥協せずに出しつつ、ほかの仕事もしっかりやっていくことがキャプテンには重要だと思っています。これから誰がキャプテンを務めていくのかということについてもここから3週間、大きな試合がありますのでしっかり見ていきたいと思います」


――長田智希選手やアマト・ファカタヴァ選手のような新しい選手も起用しましたが彼らの評価を教えてください。


「その二人について、本当に誇りに思います。二人とも違う状況の中でプレーしているということ。アマト(・ファカタヴァ)に関してはリコーブラックラムズ東京でブラインドサイドフランカーとしてプレーしていますが、(日本代表では)違うポジションをやらなければいけないというところでポテンシャルのある選手だと思っています。自分としては機敏に動ける選手が必要だと思っていますし、彼はそういうスピード、スキルを持っています。なので、選手としてもすごく良くなってきています。本当に未来のある選手だと思っています。彼の強さやパワフルさというのは素晴らしいと思っています。


長田については、これまでだったら中野将伍や中村亮土といった選手たちが務めてきたところの穴を埋めるということで彼が入ってきたと思っています。若い選手として今日はとても良かったと思っています。体はそこまで大きいほうではないですが、フィットネスもあるし、スキルも持っている。彼も未来のある選手だと思っています」


日本代表

姫野 和樹 ゲームキャプテン


――姫野選手は日本代表で初めてのキャプテンを務めましたが、どういったことを感じましたか?


「僕が思っているリーダーシップというのは情熱があって、チームに愛情を注ぐこと。その情熱というのはチームに伝播するし、隣の選手に火が着いて、その隣の選手にまた火が着いて、それがチームにとって大きな力になると思います。その火付け役が今週は自分だったと思うし、その情熱を自分の中で表現し続けました。そこに関してはできたかなと思っていますし、結果は残念でしたけど、このチームが進んでいくべき方向性が正しいというのは1週間をとおして感じました」


――ラグビーワールドカップの本大会で姫野選手がキャプテンを務める可能性について。ご自身はどれくらい想像しているのか。


「僕自身、イメージはそんなにないです。このチームには良いリーダーがたくさんいます。坂手さんやリーチ(マイケル)さん。その中で僕は今週、情熱というものがチームには必要だったので、そこをリードしてきました。自分の仕事を常に全うする。そのマインドしかありません」


All Blacks XV

レオン・マクドナルド ヘッドコーチ


――1週間前に良い勝ち方をして臨んだ今日の試合でしたが、どんなゲームプランで臨んだのでしょうか?


「1試合目と2試合目とではガラッと日本代表が変わってくるだろうというのは分かっていました。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチがチームを必ず強化してくることが分かっていたからです。ただ、それに伴って、こちらのほうでゲームプランを大きく変えることはしませんでした。シンプルに大きなチャレンジが目の前にあるということで気持ちを備える。それだけでした」


――今日の日本代表のアタックに対するAll Blacks XVの守備の出来はいかがだったでしょうか。また、日本代表は前回の対戦からどのように進化していましたか?


「特に後半、日本代表が速いボール回しを見せてきて、それを止めるのがこちらとしても大変でした。特にボールキャリーがすごく良くて、ラインを越えてきました。そこで日本代表のミスがなければ、おそらく最終的なスコアはもっと競ったものになったと思います。All Blacks XVとしても必然的に深く守らざるを得なくなる状況を強いられました」


All Blacks XV

ブラッド・ウェバー 選手


――後半、日本代表が選手交代をしてギアを上げてきましたが、日本代表の変化についてはどう感じていましたか?


「勢いがついている日本代表を止めるのは大変で、特にスピードに乗って走り込んできましたので、それを止めるのも大変でした。ラック周辺でも選手たちが何人もいましたので、そこの対応でも大変で、自分たちとしては大変な状況が続く形でした。その中で日本代表もトライを決めてきましたので、勢いがついているときの日本代表は本当に止めるのが大変なチームだなというのが率直な感想です。
そして、この高い湿度の中ではボールがとても滑ります。そういったやりにくさがある中、さらにタックルでも手ごわい相手でしたので日本代表は勢いに乗せると止めるのが本当に大変だなと。そういう思いです」


――日本代表の守備についてどう映っていたのか。また、それをどう崩そうと考えていたのでしょうか?


「特に前半についてはターンオーバーからしかけることがうまくいきました。それは個人レベルで突破できたということです。日本代表がオーガナイズされたディフェンスになってくると突破するのは難しいものでした。彼らのミスを突いて、何とかターンオーバーするしかないというような状況でした。そして、ディフェンスに関しては先週の試合から格段にレベルアップしていて、ラックも強化されていました。今日の試合、われわれとしては幅を使って攻めようという形で何とか突破をしていきました」