2023年7月31日 東大阪市花園ラグビー場
リポビタンDチャレンジカップ2023
パシフィックネーションズシリーズ
日本代表 21-16 トンガ代表

日本代表
ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ
――試合を振り返って。
「今日の試合のスタートは良かったと思います。自分たちのディフェンスは強固なものになっていました。トンガ代表とのフィジカル差の部分をしっかり埋めることができたことに関してはチームのことを誇りに思っています。ディフェンスで体の小さい選手が大きな選手を止めるのはなかなか難しいタスクだと思いますが、それを継続してできたことが良かったと思っています。その中でも雑なミスなどでチャンスを逃してしまったこともありましたし、もちろん、コンディションのところでボールが滑ったこともあったと思いますが、スキルのところは非常に良かった部分もあったと思っています。
ハーフタイムが終わって、後半の入りは良くないスタートをしてしまいましたが、最終的に勝てたことは本当に自分としては誇りに思います。マツ(松島幸太朗)が最後に立ち上がってあのタックルをしたり、ロックの(アマト・)ファカタヴァがずっと最後まで動き続けたりしたことは本当に今後につながると思いますし、チームの勝利に対して、自分は誇りに思っています」
――今日はターンオーバーからキックを使ってトライをしたり、セットプレーからいいパスワークでウイングがトライを取ったりしましたが、トライについてはもっと取りたかったですか?
「自分たちは常にラグビーの仕方としてベストを目指さないといけないと思っています。ただ、選手たちに期待をすればするほど、選手たちは結果を追いかけてしまい、それがプレッシャーになってしまう部分はあると思います。コーチ陣としては、しっかりとラグビーワールドカップでパフォーマンスを出してもらうためのいまはプロセスの一つだと思います。
最初にニュージーランド(All Blacks XV)と2試合がありました。自分たちとしては準備をしてきたつもりでしたけど、合宿を経て本当にクオリティーの高いチームと戦った。その次の週のサモア代表との試合では残念な結果になってしまった。リーチ マイケルのレッドカードで、チームが自信を失ってしまった部分があったので、今週、自分たちはプレッシャーをなくしていく、お互いのためにみんながプレーをしていかないといけなかった。チームの中でもバランスを取りながら、オンでもオフでもチームとしての自信をどうやって上げていくかということについて考えてきました。ただ、まだ自分たちの課題はあると思っています。本当に最後のトライ(のピンチ)のところで止めることができたことは良かった。もしかしたら、あそこで負けていたかもしれないので、そういった意味では課題は多くあると思っています」
――長田智希を先発で起用し、あるいは復帰したベン・ガンター、テビタ・タタフもそれ持ち味を出したと思うが、評価については?
「まず長田選手に関しては本当に将来性のある選手として起用しました。All Blacks XVとの試合、サモア代表との試合で彼はもしかしたらベストではなかったかもしれませんが、今回の試合に出るに相応しい選手だということで先発起用しました。体はそこまで大きくないですがフィットネスもありますし、彼はすごくスマートな選手だと思っています。テビタ(・タタフ)と(ベン・)ガンターに関しては、今回もそうですけど、これからフィジカルの部分は必要になってくると思いますので、ワールドカップでもフィジカルの必要性があるということで彼らを使っています。けがの部分で、試合に出ることが遅れましたけど、今日の試合ですごく自分としてはいいサインが見えたと思っています。
来週またセレクションとしてラグビーワールドカップメンバーのスコッドを選んでいく中で、本当にたくさんいい選手がいることはすごく難しい部分はありますが、その中からしっかりとラグビーワールドカップに向けてベストの選手を選んでいける、それぐらい選手がたくさんいることが分かったと思っています」
日本代表
姫野 和樹 ゲームキャプテン
「本当にジェイミー(ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ)と同じで、いい部分もありました。今週、キャプテンとしてはプロセスにフォーカスして自分たちのラグビーをしっかりと楽しむことを意識していました。それがグラウンドの中で出た部分もたくさんありましたし、そこのメンタリティーのところはすごく良かったと思います。ただ、本当に後半の入りは自分たちの課題でもあります。自分たちで主導権を与えてしまったので、そこは今後、直していかないといけない部分だと思います」
――ラグビーを楽しむという点について、試合で負けていた中で、グラウンド内外で心掛けたことは?
「僕は今週、一貫して自分たちのプロセス、自分たちの一つひとつのプレーにフォーカスしていました。グラウンド外では今週は“トンガウイーク”ということで、(トンガ出身の)“トンガボーイズ”たちがバーベキューを先導してくれたり、グラウンド外ですごくチームの絆をタイトにしてくれたりするイベントをやってくれたので、それがすごく試合の中でも出たと思うし、最後のマツ(松島幸太朗)もそうですけど、最後のディフェンスところもチームの絆というものを感じたシーンだなと思います」
――後半の開始直前に、タックル練習をしていたが経緯と狙いは?
「自分たちの課題として後半10分のところが、少し良くない部分があるので、後半、いいスタートを切れるように体の準備、メンタルの準備をして後半に入りたいという意図がありました」

トンガ代表
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「非常にエンターテインメント性の高い試合であったことを願います。ファンの方々にとってそうであったと思いたいです。いろいろな特性が表れた試合で、特に後半はそうでした。毎回、毎回、試合ごとに自分たちはうまくなっています。この調子でラグビーワールドカップを迎えたいです」
――昨日もオンラインでキャプテンには聞きましたが、世界中から集まった選手を熟成させている段階だがいまの完成度については?
「我々はまだまだ道のりは遠く感じてはいます。現在は60~70%ぐらいの仕上がり具合です。でも、自分たちがいま向かっている道のりは決して間違っていないです。6~7人けがで欠けていて、それがフロントラインの選手たちですが、まだまだこれから彼らの合流というものがあります」
――日本代表も新しい選手を使ったり、戦術のところも試したりしているが、日本代表がラグビーワールドカップで成功するために、決勝トーナメントに行くためにはどんな要素が必要だと思うか?
「あくまでも個人的な意見ですが、3~4年前の日本代表はもっと強かったと思います。現状の日本代表はけが人が多く、非常にハードなトレーニングを積んでいる状況だと思います。でもまだこれから、疑いの余地もなくまだまだ良くなっていくチームであると思います。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチもトニー・ブラウン アシスタントコーチも自分はよく知っていて非常にいいコーチであると思います。4年前を振り返るとトンガは40点差か50点差で日本に負けていたと思うのですが、それでも2019年に日本が世界に与えたインパクトは非常に大きかったです。今日、日本代表が勝てて良かったと思います。もし今日、負けていたら(2023シーズン)4敗になっていました。とてもいい自信につながったと思いますし、勢いがこれで出たと思います」
――今回ラグビーワールドカップの規定が変わり、以前、オールブラックス(ニュージーランド代表)やワラビーズ(オーストラリア代表)でプレーしていた選手をトンガ代表の仲間に入れられるようになった。今後、世界のラグビー界がどうなってくか、そのルール変更についてどう思いますか?
「非常にポジティブな変化を与えてくれました。これによってトンガのチームが劇的に変化したと思います。選手たちもプロフェッショナルなマインドセット、あとは態度、姿勢の部分、そこも変わってきました。世界でも一番、恩恵をもたらされているのがトンガ、サモア、フィジーの国々だと思います。ただ、我々が一つだけ、もっとやっていきたいのは、もっと共に時間を過ごすことをしていきたいということ。もっと共に時間を過ごすことができれば変わってくると思います」
――今までで一番ディシプリンもフィットネスも高くていい試合をしたと思うが、このチームがそのように変わるきっかけや、トウタイ・ケフ ヘッドコーチが意識して取り組んでいることは?
「すごくシンプルなことですが、ベストな選手がいま、プレーしてくれている、あとはプロの気持ちを持った選手がやってくれているというところが一番の変化です。ただ、そういう選手が集まってきているんですが、90%の選手がヨーロッパでプレーしているので、本当にこの暑さはなかなか大変です。ヨーロッパはまだ寒い状況です。だけど、その中でもみんな暑さにうまく対応してくれていると思います。我々はディシプリンが上がったこと、あと、フィットネスが上がったこと、そこもあるのですが、欲を言えばもっとプレータイムが欲しい。もっと一緒にトレーニングしていきたい。そういった時間をもっと増やしていきたいと思います」
トンガ代表
ソナタネ・タクルア ゲームキャプテン
「非常にポジティブな試合であったとは思います。特に後半、自陣でプレーすることも多かったんですが、そこは修正できたと思います。日本代表のディフェンスが非常に前に上がってきたところで我々は後ろに行かされてしまい、あとはトライチャンスも2回ほど失ってしまいました」
――今日は試合中にボックスキックをバックスリーの前のほうに狙っていた理由は?
「もともと、我々が持っていたゲームプランです。バックスリーの辺りにプレッシャーを掛ける、そしてフィフティ・フィフティのボールを得るというもともとのプランでした。後半はうまくやれていたと思うのですが、ここがさらにできていればスコアボード(の結果)が逆転していたと思います」