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コーチング部門オンライン講習会を終えて

 2021年度のB級・A級・S級コーチ講習会の開催がすべて終わった。講習会を運営したコーチング部門事務局としての今の正直な気持ちは、達成感と疲労感でいっぱいだ。

 新型コロナウィルスは当たり前の生活を一変させ、私達は先の見えない中どのようにして事業を進めていくか苦戦を強いられた。コーチング部門で第一に考えたことは「指導者の学びの機会を失くさないこと」だった。2019年の資格制度の改定後、講習会のカリキュラムや運営方法を整備し、より質の高い内容をデリバリーできるようになり、毎年多くの指導者が受講を希望している。学びを求めている指導者が多い現状で、新型コロナウィルスで講習会を止める訳にはいかなかった。

 では、どうやってこの困難を乗り越えたのか。2020年に新型コロナウィルスが猛威を振るうまでは集合型で行っていた資格講習会だったが、これを機に、オンライン講習会に切り替えた。コロナ前ではオンラインで講習会を行うことなど考えてもみなかった。オンラインは未知の世界であり、マニュアルも前例もないなか、「Zoom?」「ブレイクアウトルーム?」「チャットで意見を述べる?」から始まり、オンライン講習のカリキュラム作成、事前課題・実技動画提出システム(※1)や運営方法を構築するのに悪戦苦闘した。

 「シンプルに」。それがオンライン講習会をスムーズに運営するための私達の合言葉だった。今では「オンライン」が日常に浸透しつつあるが、それでもITに不慣れな人はまだまだ沢山いる。「受講はしたいが、オンラインが難しそうで受講を迷う」なんてことは本末転倒だ。そんなことにならないようにZoomの最低限の機能「ブレイクアウトルーム」「チャット」だけを使って「シンプル」にカリキュラムを組み立て、そして新しいことをする前には必ず丁寧に説明をする。ここの説明はとても大事だ。

 講義前のアイスブレイクで軽く「チャット」機能を経験させる。受講者は一度経験すると安心するようで、その後はどんどん「チャット」機能で意見を述べてくれるようになる。こちらからも急かさず「ゆっくりで」「単語だけでもいい」などと優しい声掛けを心掛けることがポイントだ。

 次に心掛けたのは「受講者ファースト・双方向」。2次元の中ではどうしても一方通行になりがちになるので、エデュケーター(講師)は伝えなければいけないポイントを押さえ、できるだけ受講者に考えてもらい、受講者同士で意見交換をし、発表する機会を作ることを心掛けた。受講後のアンケートでは「講師の話だけを聞くだけかと思っていたが、こんなに発言をしたり、他の受講者と意見交換するとは思わなかった」という意見を多く見かけた。これは集合型よりもオンライン講習会の利点である。

 ただ、どうしても「受講者同士の交流」という点では、集合型に勝るものはない。それを少しでも解消するべく「交流タイム」という時間を作った。1部屋4~5人くらいにブレイクアウトルームを設定し、7分でブレイクアウトルームを組み替えることを4回~5回行う。受講者の組み合わせがその度に変わることで、話す機会を設けるというものだ。ブレイクアウトルームからメインルームに帰ってくる受講者は笑顔を見せていたので、この時間を楽しく過ごしてくれていたのではないだろうか。また、集合型では連絡先や名刺の交換をしているが、オンラインではその代わりに本人に承諾を得て、メールリストを作成して共有することもおこなった。

 このような工夫により、2021年度のB級コーチは3日間×5会場、A級コーチは4日間×4会場、S級コーチは4回のオンライン講習会を行い、300人の受講者が無事に受講を終えることができた。「受講して良かった」「習熟レベルではなく、気づき、学びのきっかけになればよいとのことで大変勇気づけられた。」「周りの行動を気にせず集中できた。」「周りの受講生の方とのワークが学びであり、様々な考えや思考を知ることが出来ました。休憩時間での雑談さえも知識や経験、考えを共有してもらい、全ての時間が学びでした。正直、オンラインであそこまで充実した内容とは開催前は思っておりませんでした。」などの声をもらい、運営側としては泣けるほど嬉しい。努力が報われたという気持ちだ。

いまだ新型コロナウィルスで先が読めないが、できないと下を向くのではなく、知恵を絞り、できることを前向きに進んでいく。来年度(2022年度)に向けて、より良い講習会をするべくチャレンジし、学びを求めている指導者の皆さんと共に知の探究をしていきたい。

※1:事前課題のレポートと与えられた条件で撮影した実技動画を専用ページのフォームから送信して提出するシステム

コーチング部門オンライン講習会
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