女子 ニュース&トピックス

レポート:第3回ラグビー・エンパワメント・プロジェクト

ラグビーの次世代リーダーを育成する2022年度ラグビー・エンパワメント・プロジェクトの第3回の講義が9月17日に開催され17名が参加ました。
今回はDiversity&Inclusion「多様性、海外との働き方」がテーマです。

最初にお話したのは、日本協会国際部門で働く斎藤千紘さん。海外対応の窓口として通訳やワールドラグビーが発表する文章の翻訳、来日するVIPの対応、海外移籍選手の登録手続きなどを担当しています。

学生時代から、将来は英語を使った仕事につきたかった斎藤さん。高校を卒業後、豪州に留学し、クインズランド大で通訳・翻訳の修士課程を修めました。帰国後はテレビ局の報道部門に勤務、フランス人のご主人と国際結婚し、2年間マルセイユに住んだ経験もお持ちです。転機となったのは、お子さんの誕生。正職員としてキャリアを積みたいと2018年に日本協会の求人に応募。2人のお子さんの育児をしながらフルタイムの仕事をこなすため、実家の近くに住み、職場の環境を整えるなど様々な努力を重ね、現在に至っています。参加者からは子育てとキャリアの両立、国際結婚に関しての質問が相次ぎました。

「全て受け身で仕事をするのではなく、自分から発信して、より良くしていく姿勢を真似ていきたい」「自分から動いて働きやすい環境を作っていくところがすごい。互いの負担を理解して、相手を尊重していくことが大切だとわかりました」。

斎藤さんからは「好きな海外アーチストの歌詞で英語を覚えました」と、英語習得のアドバイスも。「国際結婚をされて、難しいことも多い中、自分のしたいことをみつけチャレンジ精神を忘れずにトライし続けられることがすごい」「私も斎藤さんのように主体的に行動できる女性になりたい」と、参加者は常に前向きに進む姿勢に刺激を受けたようでした。

続いて講義をしたのは、大会運営部門担当部長の松尾エイミさん。これまで日本協会が受け入れた30の国と地域からのチームへのチームサービスを受け持っています。昨年10月までは東京オリンピック・パラリンピック組織委員会に出向していました。チームサービスとは、「来日チームが試合日にベストパフォーマンスをするためのおもてなし」(松尾さん)。ホテル内のミーティングルーム、フィジオルームなどの準備や、日々の練習に帯同。靴を脱いだり、コロナ禍の昨今であれば、マスクをするなど、日本独特の文化をチームに説明し、納得してもらうことも重要な仕事です。

松尾さんが伝えたのは「言葉の力」。社会人でもチームワークが求められ、周りをまとめるには、いかに自分の発する言葉で周りを動かせるかがポイントと、ラグビーの中でのキャプテントークと合わせてお話をされました。参加者からのオリンピックのプレッシャーをどう乗り越えたのかという質問には「尊敬できる仲間や上司がいて、信念があれば立ち向かえる」。

参加者も、大きなミッションを成し遂げた姿勢に共感。「オリンピックという大きな大会のリーダーとして、たくさんの人をまとめた姿がすごくかっこいい。リーダーシップのお話やコミュニケーションのお話はすごくためになりました」「一番印象的だったのは、ポジティブな言葉で物事を達成するというお話。これまで考えなかった言葉の力を考えるきっかけになりました」と、刺激を受けた様子。

また、タトゥーへの対応など、日本と海外との文化の違いに関しての話には「日本にあるルールや決まりは守らねばならない一方、海外にはその地域の文化的な背景がある。秩序と尊重のバランスは実に難しい課題だと感じた」と、文化の違いに目を向けるきっかけにもなりました。

「東京オリンピックでのラグビーの文化を伝えたというお話を聞いて、ラグビーの精神は生活においても大切な精神なのだと改めて実感」「私も海外の人と関わっていて、自分が接する時に困っていたことも、松尾さんは少しでもわかってもらえるように工夫するという考えを聞き、自分もそうしようと考えられた」と、松尾さんの体験を身近なこととして受け止めていました。

この日は参加17人中15人が発言。回を重ねるごとに、講師への質問が活発になってきました。お二人に共通していた英語の重要性、仕事としてのラグビーへの関わり方など、将来の選択肢として、明確な羅針盤となったようです。
(森本 優子)