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レポート:第5回ラグビー・エンパワメント・プロジェクト

11月18日、今年度のREP(ラグビー・エンパワメントプロジェクト)のハイライトとなるインタビュー研修がオンラインで行われました。
テーマは「世界を広げる」。参加者は前もってオプション講義で英文での質問の作り方や、取材する際のマナーを学ぶなど、入念な準備を重ねてきました。

今回のインタビュイーは男女2人ずつ。元南アフリカ女子代表キャプテンンのCebisa Kulaさん、8月にフランスで開かれたジュニアの大会「ヘリテージカップ」の企画運営を担当したHervé Françoisさん。この秋、開催された男子ワールドカップでレフリーを務めたオーストラリア協会のNIC BerrYさん、そして同じくオーストラリア協会に所属し、9月に日本で開催された女子日本代表対フィジー代表TMOを務めたRACHEL HORTONさん。世界のラグビー界で活躍する面々が揃いました。

インタビュー時間は30分。参加者たちはインタビュイーごとのグループに分かれ、まずはミーティング。司会役を決め質問が重複しないように各自の内容を伝えたり、どんな流れで行くのかなどを話し合いました。それぞれが「笑顔やで」「インタビュー中は相槌を打つんだよね」など、オプション講義で学んだポイントを確認しあいます。「自分はこれを聞くから、次はこれ聞いて」。これまで同じ立場で講義を受けていた参加者たちに、次第に横の繋がりも生まれていきます。最後は「なんとかなるよ!」。

度胸を決めたところで、インタビューがスタート。まずはそれぞれの自己紹介から始まりました。インタビュイーのバックグラウンドは様々。質問に対し、相槌をはさむ余地もないほど答えてくれる方もいれば、自分が答えると、すぐに参加者に質問を投げ返してくれる方も。ラグビーの試合と同じく、参加者たちにはその場での対応が要求されます。
   

ワールドカップで日本代表とチリ代表の試合を吹いたNIC BERRYさんにはプレーヤーの立場から、今年度のルール改正に関する質問や、現役選手とレフリーの立場の違いなどについての質問が飛びました。

フランスで開催されたヘリテージカップには、日本からも女子チームが参加。ラグビー部門で見事優勝を遂げました。その大会を成功させたHERVEさんには、ラグビーと教育との繋がりを問う質問も。

予定の30分はあっという間に終了。その後は再びグループに分かれて、質問を振り返りました。どのグループもホッとしたのか、会話がはずみます。普段から英語の日常会話に慣れていた参加者もいましたが、実際に話してみると、その国独特の訛りを聞き取るのに苦労した様子。
「何言ってるか分からなかった」「自分の質問だけで精いっぱい」「もっとしっかり自己紹介すればよかった」などなど、反省は尽きません。

最後にオブザーバーとして、それぞれサポートに入っていた方々からのアドバイスをもらいました。NICさんのグループにオブザーバーとして入ったのは、オプション講義でインタビューの基本を教えてくださったSTEVEさん。「選手とレフリーの立場の違いをたずねた問いに、ご本人も“いい質問ですね”と言われていましたが、彼の答えを聞いていても、実際にいい質問だったと思いますよ」とお褒めの言葉が。
NICさんだけでなく他のインタビュイーも、参加者の質問に真摯に耳を傾けてくれました。

最後は各グループの代表者がこの日を振り返りました。

「聞き取れなかったことを、なあなあで済ませてしまった」「一人ひとりの役割をしっかり果たせた」「話す人のバランスをもっと考えられたら、よかった」。反省は多々ありましたが、グループでインタビューに挑戦したことで、仲間との繋がりも築くことができた時間となりました。

インタビュイーを引き受けてくださったのは、日本のラグビー関係者でもなかなか接する機会のない方ばかり。ラグビーで人生を築こうとする日本の高校生のために、快く時間を割いてくださいました。それも、ラグビーが大切にしているバリューの一つ。今回の参加者たちは、いつの日か「あのインタビューがスタートだった」と振り返る日が来るでしょう。そのときは、自分と同じような志を抱く若者に手を差し伸べることができるはずです。

ワールドラグビーが定めたラグビーの5つのコアバリューである「品位、情熱、結束、規律、尊厳」。そこにプラスして、第3期生が自ら設定した6つ目のコアバリューは「挑戦」。それは確かに達成されました。

ラストの研修は12月、福岡市にあるJAPAN BASEが舞台となります。8月に熊谷で行われた初回以来、再び全国から集合し、最後の学びと修了式を行います。

[参加者コメント]

「苦手な英語もチャレンジでき、笑顔を忘れずにすることが出来た!」
「思っていたよりも発音の違いで聞き取れない英語が沢山あり、苦戦しました。また、聞き取れなかったところを曖昧にしてしまったことが反省点としてありますが、グループ一人一人がインタビューを成立させることができたので良かったです」
「ワールドカップの関係者の方にずっと質問したいと思っていて、このプロジェクトでやりたかったことが叶ってとても嬉しいです。実際にワールドカップのフィールドに立った方にしかわからない貴重な話を聞くことができました」
「やっぱりインタビューを英語でするのは難しいと感じました。そして自分の英語力を知れた2時間でした。終わりにかけて、だんだんと緊張が解けていき、みんなで良い雰囲気を作ることができたと思います」

(森本優子)