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レポート:第6回ラグビー・エンパワメント・プロジェクト

昨年8月から活動を続けてきた第3期ラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)。
最後の研修の舞台となったのは、福岡市にあるJAPAN BASE。休部したコカ・コーラレッドスパークスの施設を日本協会が継承、日本代表の強化拠点及び地域のスポーツ交流拠点として昨年5月から利用を開始した施設です。

12月16日、全国各地から集まった参加者18名は、施設見学から研修をスタート。JAPAN BASE事業推進室総務グループ普及担当リーダーの星野幸喜さんに館内を案内してもらいました。

夕食を済ませると、同地で合宿を張っていた男子セブンズ日本代表との交流会。林大成選手ら複数の選手が忙しいスケジュールの合間を縫って協力してくださり、参加者によるインタビュータイム。普段は接する機会のないトップアスリートに、自分たちの質問をぶつけられる貴重な機会になりました。続けて、同代表のアナリストを務める中島正太氏の講義。こちらも将来、ラグビーに関わる仕事に就きたい参加者にとって、実際に世界で活躍するスタッフの話は、大きな刺激となりました。

初日の最後は、サポートスタッフとして参加した過年度のREP修了生が、このプロジェクトに参加したことでどんな成長を得たか、自らの経験を後輩たちに伝えました。

一夜明けると4班に分かれてのグループワーク。テーマは、JAPAN BASEの施設をどうやって活用していくか、40分の中で話し合いました。自分たちが実際に見学・宿泊した施設とあって、どのグループも活発な意見が交わされました。話し合いの後は、各グループ5分で発表。施設をジム感覚で地元の人も使えるようにする、花火大会が観られる穴場スポットとして知名度を高める、高校生が運営するラグビーフェスティバルの開催、元プロ選手を招いての練習会など、様々なアイデアが発表されました。

その後は全員でのタグラグビー。REPが始まって以来、初めての「実技」です。福岡市内は強い寒波に見舞われ、気温は6度。スタッフは室内での実施も検討しましたが、参加者たちは迷わず屋外を選択。経験者がテキパキとグループ分けして、未経験者にルールを説明。元気よく外へと飛び出しました。JAPAN BASEのグラウンドは青々とした天然芝。時折雪が舞う寒さの中、歓声が響きました。選手、未経験者の壁を超え、3期生として一つになった貴重な時間となりました。

昼食を済ませた後は、最後の研修。「未来を創る、未来のわたし」のテーマで3分のスピーチを行いました。
参加者はラグビーとの出会いもREPへの参加のきっかけも様々。将来の夢も大学日本一や教員、海外での日本語教師、ラグビーのコーチと多岐にわたり、「自分の夢が明確になった」「将来の選択肢が増えた」とそれぞれに意義を語りました。
8月から月1~2回のペースで研修。授業と部活の合間を縫った忙しい日々でしたが、参加者たちはすでに成長を実感していました。

最後は、普及育成委員会教育部門長の中村愛さんから一人ずつ修了証を手渡され、今年度の活動が終了しました。中村さんは「エンパワメントの意味は、自らの力を自分で引き出すということ。今日の私は昨日までの私の積み重ねです。ここで学んだことを、社会でも活用してください」とメッセージを送りました。

選手、スタッフ、ファン。ひとくくりに「ラグビーが好き」といっても立場は様々で、違う環境にいる人たちと交流する機会はなかなかありません。その中でREPは、すべての垣根を取り払い、同世代と「ラグビーが好き」だけで繋がれる貴重なコミュニティです。

過年度の修了生も、サポートスタッフとして関わったり、また、一緒にラグビー観戦をしたり、繋がりはその後も続いています。すでに今期の修了生も、数名が昨年の12月23~25日に都内で開催された全国ジュニア大会にお手伝いとして参加しました。
ラグビーの世界が広がることは、ひいては自分自身の選択肢を増やすことに繋がります。もちろん、ラグビーに関する仕事に就きたい生徒だけでなく、「同世代ともっとラグビーについて話をしたい」のも、十分な志望動機です。来年度の募集は4月以降を予定しています。ぜひ、日本協会のWebサイトやX(旧Twitter)でご確認ください。

[参加者コメント]
■JAPAN BASE
「存在自体は知っていたものの、どんな施設があるのかわからなかったので、とても興味深かった」
「とても設備が整っていて、選手育成の場としていい施設だと感じました。コミュニティーセンターでは、福岡県の伝統芸術とラグビーを組み合わせたコースターなど、地域貢献もしていると思いました」

■男子セブンズ日本代表との交流会
「インタビューをすることで、その選手のラグビーに対する姿勢が見えてきて、とても勉強になることが多かった」
「直接インタビューできて、自分のインタビューが少し上達したのを知ることができた」

■アナリスト講義
「今まで知ってはいたけど深くは知らないまま自分はやらないかなぁ…と思っていたけど、自分が得意なことを生かせる場と知って、新たに一つ可能性が増えた」
「フワッとしか理解していなかった分、短い時間で詳しく教えてもらいこれからの選択の幅が広がった」

■JAPAN BASE活用企画
「それぞれの班で個性が出ていて、やるのも聞くのも楽しかった。それに自分だけでは出てこなかった活用方法を知ることは視野の広がりに繋がった」
「JAPANBASEの存在意義であったり、目的、目標、どうしたら利益を出せるのかを考えた時、なにかを運営するってこんなに難しいことなんだなと痛感した」

(森本優子)