11月30日、今期のラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)の第5回となるオンライン講習会が開催されました。今回の講師は株式会社ロゴスコーポレーション副社長の柴田晋吾さん。
同社はファミリー層をターゲットにしたアウトドアブランド。メイプルリーフのロゴマークを見れば、多くの人が「ああ、あの」と思い当たるでしょう。会社は柴田さんの曽祖父が1928年に創業、父親が本格的にキャンプ用品の開発に取り組み始めました。「外と人をつなぐ」をコンセプトに、1分で火が熾せる炭や簡単に組み立てられるテント、マイナス16℃の保冷剤など、アウトドアを家族で気軽に楽しめる商品を開発・販売。花園近鉄ライナーズとコラボして、花園ラグビー場にテントを張ってキャンプを楽しむなど、ラグビーを絡めたイベントも開催しています。
柴田さんは1983年生まれの41歳。中学時代は「体育の成績は2か3」でしたが、同志社香里高校に入学後、友人に誘われてラグビーを始め、そのままラグビーを続けて同志社大学に進学。「1回だけAチームの練習に参加して、上のチームのレベルが分かりました」。ラグビーは大学卒業まで続けました。
大学卒業後は吉本興業に入社。ダウンタウン浜田雅功さん、東野幸治さんなどのマネージャーを務め、2万人を動員するイベントを企画・プロデュースした後、2010年にロゴスコーポレーションに入社。同時に大学院でビジネスを学び直しました。現在は本業に加えて様々な企業セミナーで講義をするなど活躍されています。
この日のテーマは「アウトプットスキルと学習・実践」。ラグビーを通して培った経験、そして副社長として会社を牽引する立場からのお話でした。
「このプロジェクトに参加している皆さんは、将来リーダーとして社会を引っ張っていく人でしょう。リーダーに必要な要素は二つ。決めることと伝えること」
アウトプット=伝えること。ではその際に重要なことは何か。柴田さんの話はとてもシンプル。関西弁の親しみやすい口調も加わり、参加者は話にひきこまれていきます。
伝えるためにはスキルが必要と柴田さん。「言葉、絵、様々な方法があり、身振り手振りも大切です」。ゆっくり話すこと、相手の目を見ること…。なぜそこまでして伝えることが重要なのか。「伝わらなければ、言っていないのと同じ。何度も何度も言います」
講義の後、参加者から質問が相次ぎました。リーダーでない場合のサポートの仕方や、つい厳しい口調になってしまうなど、参加者の抱える悩みに、柴田さんは丁寧にアドバイス。「ラグビーをしていて今に活きていることは」という問いには「ラグビーが一人ではできないように、仕事もひとりではできません。皆を巻き込んで前に進むことを学びました」
柴田さん曰く「アウトプットスキルは恋愛と同じ」。告白する、文章で想いを丁寧に伝える、花を贈る、相手のことを大切に考える…。ストレートなメッセージは多くの参加者の心に残ったに違いありません。
第2部は、「REPでこれまで心に残ったこと」というテーマで、参加者が柴田さんに1分間のプレゼンテーションを行いました。
過去の研修の様々な場面が語られました。第1回集合研修のサクラフィフティーンのチームマネージャーの講義、第4回のJICA石本さんの講義と、その後のインドネシアの高校生たちとの交流…。それぞれの回が参加者の心に残っていました。
柴田さんは一人ひとりの話に熱心に耳を傾け、その場で親身あふれる感想を返します。発信するためには、相手としっかり向き合うことが大事。これも「アウトプットは恋愛と同じ」という柴田さんの説に当てはまります。話す際の目線や話し方の速度、オンラインの際の姿勢などもアドバイス。些細な気遣いで、より効果的に伝えられることもこの日の学びでした。
最後に柴田さんからのアドバイスがありました。
「君たちが学校で習っている先生が、一番のプロ。アウトプットの方法は身近なところから学ぶことができます」
12月中旬に行われる最終講義に活かせることを多く吸収できた時間となりました。
◎参加者の声
<講義について>
・ 「自分のプレゼンに対して、事前に練習をしておく必要があるのと、早口にならないようにしなければいけないというアドバイスをしてくださって、なかなか個人でアドバイスを頂ける機会はないので、とても貴重な時間だったと感じます」
・ 「相手とコミュニケーションを取る時に、自分は伝えたのにどうしてわかってくれないんだろうと思ってしまうことがあるので、今回の講義はすごく自分の中に響いた。相手に思いが伝わるように工夫することが大切だと学んだ」
・ 「僕はアウトプットすることがまだ少し苦手なんですが、今回の講義で意識することやコツを聞いて、これからのアウトプットスキル向上に向けて頑張ろうと思いました」
<プレゼンテーション>
・ 「実際に、誰かの前で表現しなければ分からないことを知ることが出来て良かったです。伝える前の練習の大切さを実感しました」
・ 「フィードバックを柴田さんから聞くことが出来、自分では見えない所まで伝えて下さったのは、本当に嬉しかったです。また、パワポを用意してきた仲間もいて、伝え方は十人十色だと思いました」
・ 「それぞれの方法で好きなように話して良いとアドバイスをもらい、自分なりにうまく話す事ができたと思う。緊張をほぐしてもらえて、緊張したけどいつもはしない経験ができて楽しかった」
(森本優子)