2005年から始まりました「レフリーアカデミー」は、今年度新たに4名のレフリーを迎えて下記6名で活動をスタートしました。
「国際舞台で活躍するレフリーの輩出」をターゲットに、若手レフリーを集中的に強化育成し、多くの経験を積ませながら出来るだけ早いタイミングで国内のトップレベルに引き上げていきたいと考えています。
今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い致します。
■2025年度レフリーアカデミー
継続 池田韻(東京都) 延原梨輝翔(京都府)
新規 清水鳴哲(東京都) 田代未空(福岡県) 東村侑真(京都府) 村田優作(福岡県)
(写真左から、東村侑真、延原梨輝翔、田代未空、池田韻、村田優作、清水鳴哲)
今回、最初の活動としてサニックスワールドラグビーユース交流大会2025に参加し、ピッチ内外で貴重な経験を積むことが出来ました。
以下、アカデミーレフリーのコメントです。
■2025年度アカデミーレフリー コメント
池田韻
担当:SGSフィルトンカレッジ(イングランド)vsジェングオ ハイスクール(中華台北)
今回、海外同士の15人制ラグビーの試合でレフリーを担当し、大変貴重な経験となりました。試合中は英語でのコミュニケーションが中心でしたが、両チームがポジティブにコミュニケーションをとってくれたおかげで、困る場面はありませんでした。試合はスコアに差は出たものの、体格で勝るイングランドがボールを大きく動かすアタックを行うのに対し、台湾が粘り強く規律あるディフェンスを続けた姿が印象的で、両チームが持ち味を発揮した締まった試合でした。この試合を担当できたことを嬉しく思います。また、試合後にはチームの方がわざわざ私の元に来てレフリングを褒めてくださり、その言葉が自信にもつながりました。
これまで何度かこの大会に参加してきましたが、15人制の試合を担当するのは今回が初めてでした。7人制とは違い、試合中にも選手と英語で会話する場面が多く、ここまで試合の中で英語を使ったのはフィジー留学以来だと思います。あらためて、この大会が選手だけでなく、レフリーにとっても貴重な場であることを実感しました。私と同い年のこの大会が今も続いていることに感謝するとともに、今後も末長く続いていくことを心から願っています。
延原梨輝翔
担当:ラトゥカダヴレヴスクール(フィジー)vsバーカーカレッジ(オーストラリア)
立ち上がりからフィジーのフィジカルの強さとテンポの速いアタックが印象的で、フィジーが終始ゲームを支配する展開になりました。オーストラリアも粘り強く守っていましたが、フィジーの勢いに押されてしまって、なかなかリズムをつかめていなかったように思います。
フィジーにはイエローカードを3枚出しました。危険なプレーによるものが2枚、シニカルな反則が1枚で、どれも試合の流れを決める場面ではありましたが、安全面と公平さを考慮し、冷静に判断することが出来ました。強度の高い試合の中で、試合を止めすぎずにコントロールする難しさとやりがいをあらためて感じました。
サニックス大会では、海外のレフリーや、各国の選手たちのプレースタイルや、文化の違いを肌で感じられる貴重な機会で、多くの学びがありました。
今回の経験を、今後のレフリー活動に活かし、さらに成長していけるよう努めてまいります。
「SANIX WORLD RUGBY YOUTH TOURNAMENT 2025」の開催に際し、ご尽力いただいた関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
清水鳴哲
担当:ラトゥカダヴレヴスクール(フィジー)vs京都成章高等学校
担当ゲームの大会2日目は、開会式でGeorge Watson’s Collegeのバグパイプの音色が会場に響き渡り、独特の高揚感に包まれた中でスタートしました。
試合は、京都成章がポゼッションと正確なキックで試合を優位に進める一方、フィジーがフィジカルと個人技で試合の流れを一変させてしまう展開となりました。終盤にフィジーが逆転を果たし、ノーサイドの瞬間には互いの健闘を称え合う、まさにラグビーの魅力が詰まった一戦となりました。
レフリーとしては、選手が最大限の力を発揮できる環境を作り、正しいプレーを促すことを心がけましたが、ラグビー観の違いや的確な意思疎通の難しさなど、課題を残しました。
この経験を糧に、さらに信頼されるレフリーを目指します。
最後になりますが、SANIX WORLD RUGBY YOUTH TOURNAMENT 2025という素晴らしい大会にレフリーとして参加できたことを大変光栄に思います。大会関係者の皆様、チームの皆様、日頃ご指導いただいているCMOの皆様、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
田代未空
担当:ラトゥカダヴレヴスクール(フィジー)vs桐蔭学園高等学校
サニックスワールドユース交流大会2025に参加させていただきありがとうございました。今大会ではフィジーvs桐蔭学園の試合を担当しました。フィジーの選手は高い身体能力と独特のテンポがあり、予測が難しく感じました。外国人レフリーとマッチオフィシャルを組むことにコミュニケーションの不安もありましたが、意思疎通は問題なく、安心しました。レフリーがどのような基準で判断し、異なる特徴を持つ選手たちをどうマネジメントしているのか学ぶことができ、非常に勉強になりました。昨年までは選手としてこの大会に出場していましたが、今回はレフリーとして参加し、違う立場から大会を経験することで、新たな気づきと役割の重要性を実感しました。この貴重な経験を糧に、今後さらにレベルアップしていきたいです。
東村侑真
担当:ジェングオ ハイスクール(中華台北)vsペゼハイスクール(韓国)
大会最終日の5月5日(月)、男子15人制の15・16位決定戦、ジェングオ ハイスクール対ベゼ ハイスクールのレフリーを担当しました。ここまで全敗同士の一戦であり、「この試合だけは絶対に勝って終わりたい」という意地とプライドが、フィールド上で真正面からぶつかり合いました。
両チームは特徴の似た者同士で、試合はFWを中心とした肉弾戦になりました。ゴール前では幾度となくピック&ゴーが繰り返され、身体と身体がぶつかる鈍く重い音が響いていました。ボールキャリー・タックルに選手それぞれの強い思いが込められており、最終スコアは2点差の接戦となりました。
両チームとも英語が伝わりにくく、マネジメントは難しいものでした。それでも選手たちは、プレーで懸命に思いを伝えてくれました。言葉を超えたラグビーの本質を、肌で感じた瞬間でした。
試合後には両チームとマッチオフィシャルで記念撮影を行いました。激しい攻防の末に互いを讃え合う姿には、まさにノーサイドの精神が表れていました。
私にとって今回が初めてのサニックスワールドユース大会でしたが、海外チームやレフリーとの交流を通じて、国境を越えたかけがえのない出会いと多くの学びがありました。ラグビーというスポーツの持つ力を、心の底から実感した貴重な経験となりました。ここサニックスで得た経験を、今後のレフリー活動にしっかりと活かしていきます。
「SANIX WORLD RUGBY YOUTH TOURNAMENT 2025」の開催に際し、ご尽力いただいた関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
村田優作
担当:桐蔭学園高等学校vsハミルトンボーイズハイスクール(ニュージーランド)
この試合は、春の選抜王者である桐蔭学園と本大会最多優勝を誇るHamilton Boysという今大会屈指の好カードで、会場には多くの観客が詰めかけました。
試合は互いに一歩も譲らぬ一進一退の攻防で、前半を19-19の同点で折り返すと、後半は両チームともに粘り強いディフェンスを見せ、スコアは動かないまま30分が経過しました。緊張感が高まる中、ラストワンプレーでHamilton Boysがトライを挙げ、見事な勝利を収めました。
選手たちが60分間全力で戦ってくれた一方で、私個人としては、マネジメントの面で課題が残るゲームとなりました。言語もそうですが、日本のチームとはラグビー観にもギャップがあり、試合の状況に応じた対応が不十分だったと感じています。
それでもこのような素晴らしい試合を担当できたことは、レフリーとしても、1人のラグビーファンとしても大変光栄であり、非常に貴重な経験になりました。
この経験を糧にして今後のレフリー活動に一層励んでいきたいと思います。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上