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日本人マッチオフィシャル担当!~Asia Rugby Emirates Men’s Championship 2025~

表題の大会について日本人マッチオフィシャルが担当しましたので、ご報告いたします。
本大会は日本を除くアジアトップ4のチームが総当たりで試合を行う大会フォーマットになっています。なお、2025年はラグビーワールドカップ2027オーストラリア大会のアジア予選を兼ねており、優勝国は自動的に出場権を獲得する非常に重要な大会でした。
https://www.world.rugby/media-zone/advisory/925934

■日本人マッチオフィシャル担当試合
<Week 1> UAE代表 v 香港代表
・試合日時: 2025年06月14日(土)19:30 K.O.
・試合会場: The Sevens Stadium(https://www.thesevensstadium.com
・マッチオフィシャル:
≪レフリー≫
古瀬 健樹(日本協会)
≪アシスタントレフリー≫
山内 昂輝(日本協会)

桑井 亜乃(日本協会)
≪TMO≫
川原 佑 (日本協会)

本大会の初戦となりました。試合会場のThe Sevens Stadiumはセブンズワールドシリーズでも使用されるスタジアムであり、メインスタジアム以外にも7面のピッチを要する大きなスポーツファシリティです。メインスタジアムは仮設シートを加えると4,1500人を収容することができるアジアでも大きな国際大会が開催されるラグビースタジアムの一つです。

日中のドバイの気温は45度近くまで上がり、キックオフ時間19:30でも、35度を超える過酷な環境でした。試合は国内と比べるとスピードは早くなく、スキルも高くない印象でしたが、コリジョンのインテンシティは高く、日本とは違ったマネジメントの重要性を認識する試合でした。試合は香港代表が勝利し、幸先良いスタートを切りました。日本人マッチオフィシャルでラグビーワールドカップ最終予選の初戦を担当することができ、非常に光栄でした。試合も良いパフォーマンスを発揮することができました。

<Week 2> 香港代表 v スリランカ代表
・試合日時: 2025年06月22日(日)16:30 K.O.
・試合会場:  Kai Tak Youth Sports Park(https://www.kaitaksportspark.com.hk
・マッチオフィシャル
≪レフリー≫
Jaco de Wit
(UAE協会)
≪アシスタントレフリー≫
山内 昂輝
(日本協会)
Top Dechdanai (タイ協会)
≪TMO≫
川原 佑(日本協会)

試合会場のKai Tak Sports Parkは総合スポーツ施設として、ショッピングモールやホテル、公園、スタジアムを整備し、香港のスポーツハブとしての役割を目指して2018年に着工し、今年2025年に完成した施設です。香港セブンズも今年からこのエリアにあるメインアリーナで開催されています。

試合は香港代表が終始ゲームを支配し、大差でスリランカ代表に勝利しました。マッチオフィシャルは前週の試合とは異なり、UAE協会所属のレフリーやタイ協会所属のレフリーとマッチオフィシャルを組みました。1名以外は英語を母国語としないマッチオフィシャルでしたが、試合前のミーティングや試合中に良いコミュニケーションをとって、試合を進めることができました。TMOはマッチオフィシャルだけでなく、映像をコントロールするオペレーターとのコミュニケーションも英語が必須となります。アジア大会など国際大会ではレフリングスキルの高さもそうですが、コミュニケーションスキルも併せて求められます。

<Week 3> 韓国代表 v 香港代表
・試合日時: 2025年07月05日(土)15:00 K.O.
・試合会場: Incheon Namdong Asiad Rugby Field
     (https://en.rugby-japan.jp/guide/map/detail/1631/
・マッチオフィシャル
≪レフリー≫
手束 伊吹(日本協会)

≪アシスタントレフリー≫
山内 昂輝(日本協会)

平川 哲也(日本協会)
≪TMO≫
川原 佑 (日本協会)

韓国代表は1勝1敗、香港代表は2勝で臨んだ最終戦は、ともに優勝の可能性がある大一番の試合でした。この試合の会場となったIncheon Namdong Asiad Rugby Fieldは、過去のラグビー国際大会でも使用され、日本代表も何度も試合をしたことのある馴染みのあるスタジアムです。日本でいう秩父宮ラグビー場のような存在です。

ラグビーワールドカップオーストラリア大会2027を決める重要な一戦に日本人マッチオフィシャルチームがアポイントメントされました。注目度が高く、両チームともに気迫のこもった感情的な試合でしたが、落ち着いてゲームをコントロールすることができました。レッドカードによる退場者も出ましたが、香港代表が試合を優位に進めて勝利を手にしました。この結果、香港代表がAsia Rugby Emirates Men’s Championship 2025の優勝を決め、初めてのラグビーワールドカップ出場権を獲得しました。また、準優勝のUAEが最終予選トーナメントプレーオフの出場権を獲得し、ラグビーワールドカップへのチャンスを残しています。

今大会はラグビーワールドカップ出場を決める重要な大会でしたが、多くの試合を日本人マッチオフィシャルが担当できたことを光栄に思います。このような機会に恵まれたのは、担当したマッチオフィシャルだけではなく、過去これまでアジアの中で高いパフォーマンスを発揮してきた日本人マッチオフィシャルへの評価と信頼の積み重ねだと思います。これからもアジアの第一線で高いパフォーマンスを発揮するとともに、アジア各国のマッチオフィシャルとの交流を通じて、切磋琢磨してまいります。

最後になりましたが、本大会への派遣にあたりご支援いただきました皆様へ感謝申し上げます。