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レポート:第2回ラグビー・エンパワメント・プロジェクト

8月初旬にスタートした今季のラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)の第2回研修が8月19日、オンラインで開催されました。

最初の講師は日本協会普及育成委員会中学生部門に所属する三好はるえさん。現在は山梨県北杜市で中学校の教員をされています。三好さんとラグビーの接点はどこにあったのか。話は子供時代から始まりました。
小学校時代から運動好き。中学時代は病気でスポーツが出来ませんでしたが、高校で「皆が入っていない運動部」とハンドボールを選択。大学時代もハンドボール部に所属していました。ある日、友人と秩父宮ラグビー場に大学ラグビーの試合を観に行ったことで、運命が変わります。自分もラグビーをプレーしたいと思い、世田谷レディースに加入。平日は大学でハンドボール、週末は神奈川の実家に帰省してラグビーに打ち込む日々が始まりました。
学生時代にセブンズ日本代表として香港セブンズに出場。その後、ワールドカップ出場を目指すために、シドニー留学。2年間、働きながらワリンガクラブで楕円球を追いました。2002年には目標をかなえ、日本代表として第4回W杯に出場、オランダから勝利を挙げました。
その後、結婚、出産。5年後、ご主人の海外赴任に伴いメルボルンに滞在。そこで選手として復帰を果たします。2年後に帰国すると山梨に居を構え、7年前からは仕事を再開。国体チームの立ち上げや県の中高生の指導に忙しい日々を送っています。
昨年8月には46歳で国体予選に出場。長女もラグビー選手で昨年度の千葉県代表に選ばれており、現在は茨城県の大学でラグビーを続けています。将来は山梨県対茨城県で対戦するのが夢とのこと。仕事でも特別支援教諭免許取得を目指しています。
ラグビーと出会い、日本代表としてW杯出場を果たした三好さん。一つ一つ目標を立てクリアし、今も新しい目標を追いかける姿は参加者に刺激を与えました。

[参加者コメント]
「継続力がある方だなと感じました。また、何事にもいつも目標を持って取り組んでいることが印象的でした。小さな目標の積み重ねが大きな出来事につながることを学びました」
「次々に目標設定を組み立てていく事で、自分自身の貪欲さを持つ、形成することが出来る事について、考えることが出来、充実した講義であった」

 続いての講義のテーマは「スポーツと社会との関わり」。講師は三菱地所広報部マーケティング室室長・高田晋作さんです。三菱地所は現在、15人制男子日本代表のオフィシャルスポンサーを務めるほか、スポーツでの街づくりを目指し「丸の内15丁目プロジェクト」も展開しています。その仕掛け人が高田さんです。
慶大で主将としてラグビー部を日本一に導いた高田さんは大学を卒業後、NHKに就職しますが「エンドユーザーの顔が見える仕事がしたい」と三菱地所に転職。ベンチャー企業の支援施設の運営やオフィスビルのテナント営業を担当していました。2011年、8年後の2019年にW杯が日本で開催されることが決まり、「ラグビーと街づくりが直感的に頭の中で結びつきました」(高田さん)。
三菱地所の仕事は街づくりが基本。同社が進めていた東京駅前・丸の内の街づくりのための「人が集まる仕掛け」として、ラグビーがぴったりだったのです。
2018年に「丸の内15丁目プロジェクト」を立ち上げ。当時はまだ今のようなラグビーの盛り上がりはありませんでしたが、丸の内15丁目という架空の街を作り、そこにレストランや映画館、神社などを作ってそこでラグビーを楽しむ「ラグビーファンの“あったらいいな”を作りたかった」と高田さん。その後、2019日本開催のW杯で日本代表がベスト8入り。プロジェクトは大きな反響を呼び、大会終了後の12月に丸の内で開催された日本代表のパレードには、5万人もの人が集まりました。
フランスW杯開幕直前というタイムリーな時期でもあり、参加者からも様々な質問が飛びました。中には「そのプロジェクトは三菱地所の立場から、どのような収益がありますか」という鋭い質問も。高田さんからは「直接、金銭的な収益に繋がるものではなく、企業としての特色、丸の内の街の特色としてラグビーを活用するということ。それがひいては会社や、丸の内という街のブランディングに繋がります」という回答でした。また、2019年大会時のプロジェクト成功要因について聞かれ、「ラグビーの敷居を低くしたかったので、にわかファンを大事にしたことです」。
「丸の内15丁目プロジェクト」の詳細について今回、初めて知った参加者も多かったようです。高田さんの経験談から学ぶと同時に、プロジェクト自体への興味も深まった様子でした。

[参加者コメント]
「今回の講義で初めて丸の内15丁目プロジェクトの存在を知り、ラグビーはスポーツの一種だと考えていた私にとって、こんなにも多くの可能性があるんだと新たな魅力に気づけた」
「2019年の時は沢山イベントに参加させていただきました。神社もお参りしました。2023年はどのようなイベントが予定されているのかとても楽しみです。パネルや映像を使って選手の紹介をしてほしいです」
「にわかを一番大事にすると、聞いたときは少しビックリしたが、よくよく考えてみれば、まずそこから始まらないと、ラグビーファンは増えないなと感じました。もっと新しいアイデアでにわかをつくって欲しいです」

(森本優子)