夏合宿を迎えるに当たって、指導者や選手は以下のことを十分に配慮して臨むようにしましょう。特に指導者は、選手の安全確保を最優先しチーム・指導者の責任のもと、夏合宿を実施するようにしてください。

1.気温の高くなる時間帯での練習や試合を控えると同時に湿度にも十分注意を払う。

2.試合時間や練習時間および内容に十分配慮する(長時間連続する練習、試合の回避および1日の試合数の制限(1試合以内)、練習内容の変更等)。

3.疲労度や体調などに十分注意し、常に各自でコンディションチェックを行うよう心掛ける(心拍数、体温、体重、汗の出方等)。

4.暑さに十分馴れておく。

5.水分の補給を十分にし、適宜休息をとる。

6.直射日光に対する対策をとる(裸体の禁止、風通し、吸汗のよい服装、帽子の着用、日焼け止めクリームの使用等)。

7.合宿地での医療機関を確認する。

8.雷には細心の注意を払い、付近で落雷のあった場合はすぐに練習、試合を中止する。

9.グラウンド近くに日影があるかを確認し、なければ確保するよう努める。

10.人工芝では天然芝よりも表面温度が10度以上高くなるという報告や年齢による温度の感じ方に関する相違の報告もあるので十分注意を払う。

11.近年、スクールや中学生等の若年層、およびクラブでの重傷事故の増加が報告されているので当該関係者は十分注意を払う。

 

熱中症を予防するために

各地で梅雨に関するニュースが盛んに流されております。熱中症はご存じのように、梅雨の晴れ間の急に暑くなったときによく起っています。次の「熱中症予防について」をしっかり熟読し夏合宿前の練習や夏合宿に備えてください。

また夏合宿中の練習試合については、まだまだ試合数の多いチームが散見されます。疲労した体でなおかつレベルの違う相手では、弱い者に大きなダメージがくるのは戦いの常識であります。強い相手にどれだけ現在のチーム力が通じるのか試したい気持ちは十分理解できますが、ダメージを受けるのは体力的に弱いプレーヤーです。

昨年の日本協会からの呼びかけに、夏合宿中の練習試合は1日1試合ということが守られ始めてきたようです。引き続き今年も練習内容を工夫されて1人のプレーヤーが出場する試合は1日に1試合以内を守るよう注意しましょう。

熱中症予防について

《原因》

暑い環境のもとで激しい運動により、からだが生み出す熱に対して、周囲は高温多湿のため熱の放散が妨げられ、体温が上昇することにより起きる。重要な臓器(特に脳)が障害を受けることもあり、死亡することがある。

《症状》

頭痛、吐き気、めまい、脱力感、けいれん、意識障害、高体温等などが認められ、意識障害がある場合は重症である。

《処置》

<意識がはっきりしている場合>

涼しいところへ運び、衣服をゆるめ、寝かせる。

吐き気やけいれんがなければ、水分補給。水分摂取ができない場合は救急車を要請する。体温が高ければ、水を全身にかけて風を送る、または氷で首の横、脇の下、足のつけね前面を冷やす。様子がおかしければ直ちに救急車を要請する。

<意識がないあるいは意識がぼんやりしている場合>

応答が鈍い、言動がおかしい、あるいは意識がない場合は、迷わず救急車を要請する。

涼しいところへ運び、衣服をゆるめ寝かせる。体温が高ければ、水を全身にかけて風を送る、または氷で首の横、脇の下、足のつけね前面を冷やす。経過を注意深く見守ること。

《熱中症要因》

外的要因

  • 周辺温度 直射日光 湿度 風
  • 衣類(黒い衣類、ヘッドギア、ショルダーパッド)
  • 薬物 風邪薬、カフェイン

内的要因

  • 熱中症の既往のある選手
  • 体格(肥満)、有酸素性体力、気候順応
  • 水分補給状態
  • 病気(かぜ、下痢、など)

《予防》

・暑熱環境の把握
・暑熱馴化
・水分補給(体重減少2%以内、喉の渇きにもとづく自由飲水、0.1~0.2%の食塩水)
・吸湿性・通気性の良い衣服
・直射日光の下では帽子やタオル

 

《熱中症対策:熱ストレス減少のための戦略》

(WRガイドライン)

  • 教育
  • トレーニングとプレーにおける適切なスケジューリング
  • 暑熱馴化
  • コンディションの評価
  • 現場での対策
  • 危機管理

 

(選手への教育)

  • 過去の熱中症の既往の有無を報告する
  • 発熱を伴う感染症の罹患の有無を報告する
  • 薬物 風邪薬、カフェインを使用した場合は申告する
  • 水分補給の重要性を理解(練習および試合前、中、後)
  • 熱ストレスの徴候の早期報告

痙攣、頭痛、嘔気、嘔吐

通気性の良い、軽い、締め付けの少ないウエアを着る

 

(現場指導者の注意点)

・暑熱環境の把握(WBGTが望ましい:文末参照)

  • 選手の熱ストレス徴候を早期発見
  • 発熱を伴う感染症にかかっているかどうかを報告させるよう指導
  • 水分補給を意識した練習計画(自由飲水の可能な練習環境)
  • 運動前後の体重測定(体重減少2%以内となるように水分補給)
  • 熱射病の危険性の理解
  • 暑熱馴化には7〜10日かかる

・選手の特性(熱中症のなりやすさ)の確認(経験年数が少ない、過去に熱中症の経験あり、肥満気味、体力が低い)

 

(試合での対策)

  • ロッカールームでのエアコンまたは扇風機の使用(または団扇)
  • ロッカールームが無い場合はグラウンドサイドにテントなどの日陰を確保する
  • 氷水につけたタオルの準備
  • ウォーターブレークを入れる
  • ウォーターブレーク時に熱ストレスのチェック、身体を冷やす、水分補給を行う

 

参考:

暑熱環境を把握することは熱中症予防のうえで非常に重要です。

・環境省熱中症予防情報サイト http://www.wbgt.env.go.jp/ で、日本全国840地点の暑さ指数(WBGT)の3日後までの予測値が公開されています。
・安価な携帯型熱中症計が市販されています。


→ 夏季の練習についての注意(2015年)インデックスページへ