●3月6日(木)

6日は、ワイカト協会ポール・ホッダー氏によるスキルセッションを中心としたトレーニングが両チームに提供されました。前回の九州キャンプでの実践的なセッションとはやや趣を変え、今回はインディヴィデュアル(個人)スキルのブラッシュアップという観点のセッションです。海外のエリートアカデミーに於いても、この部分はフィットネス&ストレングストレーニングと並び、多くの時間を費やされているところです。個人個人の一つ一つのスキルのクウォリティーをあげることが、チーム全体のクウォリティを上げるための早道であり、かつ必須事項であるという考え方に基づいています。

ビジョンドリルで視野を広める   相手に仕掛けてワンモーションでキャッチ&パス
ビジョンドリルで視野を広める 相手に仕掛けてワンモーションでキャッチ&パス

タックルの基本姿勢を意識する   高い姿勢から反動を付けずにタックル姿勢をとる
タックルの基本姿勢を意識する 高い姿勢から反動を付けずにタックル姿勢をとる

午前中は、ヴィジョンドリル(視野を広く持つ為のトレーニング)から始まり、キャッチ&パス、タックルスキル、コンタクトスキルといった本当にラグビーの基本となるスキルについてのセッションが行われました。ユニット練習やチーム練習の中では流されがちなこれらの個別スキルについて、ポール氏から細かい説明がなされ、チェックされてゆきます。

中には、普段行っているやり方と違うやり方や考え方があり、選手たちも戸惑う場面がありましたが、一つの考え方として、また、少なくともニュージーランドなどのトップラグビー国の中での最新の考え方として、それらを体験することは選手たちにとっても一つの気付きとなったと思われます。

午後は、午前中、パーツ、パーツで行った個別スキルの要素を取り混ぜながら、2対2、2対3などプレッシャーがかかった中で実行するための応用セッションが行われました。まずはじめに、昨年のATQアカデミーやジャパンの練習の中でも取り入れられている、パンチパス、プッシュパスといったパス技術について改めて練習を行い、それらを意識しながら相手のついた状況の中で、いかに仕掛けてオーバーラップをつくり、突いてゆくか、といった練習をいくつかのシチュエーションで行ってゆきます。最後には、11対11で、ディフェンスは後ろを向いた状態から振り返り、状況を瞬時に見極めコミュニケーションをとって判断しアクションする、というディフェンス側のトレーニング要素をふくめてアタック・ディフェンスを行います。この場面では昨日、薫田コーチングディレクターから説明があった、ジャパンのディフェンスストラクチャを意識させます。

最後にもう一度パスをチェックして本日のセッションは終了しました。前回の合宿のような激しさはありませんでしたが、普段なかなか掘り下げることの無い個別スキルのチェックを行うことは、このレベルの選手たちにとっても、非常に有益なものであったと思います。

明日は、両チームに分かれ試合に向けた調整が行われ、土曜日の対抗試合に臨みます。

ハンドオフからオフロードパスを繰り出す   実際にパンチをしてショルダーローテーションを意識
ハンドオフからオフロードパスを繰り出す 実際にパンチをしてショルダーローテーションを意識

いまやATQではおなじみのパンチパス   アイコンタクトで相手を止めて仕掛ける
いまやATQではおなじみのパンチパス アイコンタクトで相手を止めて仕掛ける

プレッシャーの下でも基本スキルを意識   ディフェンスストラクチャを意識して前に出る
プレッシャーの下でも基本スキルを意識 ディフェンスストラクチャを意識して前に出る

●3月5日(水)

本日から、「関西代表対関東代表」へ向けた、関西地区での合宿が始まりました。ここでも、まず、両チームの選手が一同に集められ、この合宿及び試合の意義、ジャパン・スタイル・ラグビーについての説明が、薫田コーチングディレクターより語られました。

前回の合宿に参加した選手も何名かいますが、繰り返し聞くことでより理解を深め、4つのキーポイントを頭に叩き込みます。

薫田コーチングディレクターからは、何度も選手たちに質問が投げられ、彼らの意見や考えを語らせます。そして、「この試合はジャパンに繋がるセレクションであり、もしここにジャパンになりたいと思わないという者がいるのであればすぐに帰ってほしい」と、改めて今回の合宿の重要性を強調しました。

その後、今回の関東代表のメンバーにも選ばれており、昨年ハイ・パフォーマンス・ユニットとしてワイカト協会に派遣されたセコムラガッツの鈴木学選手が呼ばれ、昨年の経験談が選手たちに語られました。薫田コーチングディレクターからは、今回の試合はハイ・パフォーマンス・ユニットでの海外派遣選手のセレクションも兼ねていることが語られ、選手たちの目も輝きます。

最後に、今回、その海外派遣先の一つであるワイカト協会から招かれた、ハイ・パフォーマンス・ラグビー・マネージャーのポール・ホッダー氏が挨拶と明日のセッションの概要を語り、本日のミーティングが締めくくられました。

明日は、彼により、現地のアカデミーでも行われている個人スキルを中心としたスキルセッションが実施される予定です。

今回ワイカト協会から招かれたPaul Hodder氏
今回ワイカト協会から招かれたPaul Hodder氏