●4月21日(月)

合宿最終日の今日は、この3日間行ってきたそれぞれのセッションを短時間でレビューしながらしっかりと自分のものにしていくためのセッションを行いました。

まずは太田フィットネスコーチの元、アジリティを意識する要素なども入れながらウォーミングアップを行い、その後Paul氏から今日行うセッションの説明が行われました。

これまで行ってきた、アタック/ディフェンス双方のスキルセッションを6つのアクティビティに分け、それぞれぞれのキーポイントを意識しつつ、5分刻みで行ってゆきます。その後、それらの要素すべてを取り入れ、意識する形で、グラウンドを広く使ったタッチゲームで締めくくります。

今日Paul氏から送られたメッセージは「Become Excellent with and without the ball ! (ボールを持っているときも持っていないときも良いプレーヤーになろう!)」

Paul氏の合図と共にセッションが開始、

  1. タックル時の足の動きとコンタクト
  2. 2対2
  3. パンチ+ディップ+ヒットのタックル
  4. コンタクト+オフロードパス
  5. ディフェンスストラクチャー
  6. 3対2のディフェンスストラクチャー

を早いテンポで行ってゆきます。

今日のセッションでは、一昨日のセッションのときに比べ、明らかにプレーの精度が上がり、短期間に成長できるATQプレーヤーたちのレベルの高さを感じます。

最後のタッチゲームでは、アタック側のハーフ、スタンド、ランナー(スタンドの両サイドにポジションするプレヤー)を固定し、順目の連続攻撃が原則とされ、運動量をアップさせます。選手もかなり息が上がったようですが、みんな生き生きとプレーし、非常にポジティブな雰囲気のなか約1時間のセッションが終了しました。
最後にはみんなで集合写真を撮り、次回(5月の)合宿での再会を約束しました。

今回の合宿は、今まで以上に充実したものになりました。ご協力いただきました選手の所属チームの関係者の皆様、胸を貸してくださった日本代表のスタッフ、選手の皆様、様々なリクエストにご対応いただきました日本エアロビクスセンターをはじめご協力いただきました皆様に、この場をお借りし、御礼申しあげます。

ラダーを使ってウォーミングアップを行う   今日のセッションの内容が説明される
ラダーを使ってウォーミングアップを行う 今日のセッションの内容が説明される

サポーターがギャップに走りこむ   パンチして沈んでヒットする!
サポーターがギャップに走りこむ パンチして沈んでヒットする!

3対2のディシジョンメイキング   すべての要素を意識したタッチゲーム
3対2のディシジョンメイキング すべての要素を意識したタッチゲーム

アカデミー参加メンバーとスタッフです
アカデミー参加メンバーとスタッフです

●4月20日(日)

合宿三日目となった今日も、やはり天候は味方してくれません。朝から気温が上がらず、強い風と霧雨が振り続き、9:30の午前セッションが始まるころには雨が本降りとなり始めました。
しかし、我々ATQアカデミーの選手・スタッフは、そんなことは気にしていられません。昨日お知らせしたとおり、本日は午前中のセッションで、日本代表とのアタック/ディフェンスセッションが行われる予定だからです。25分と短時間の予定ではありましたが、日本代表の胸を借りアカデミーの選手たちの実力を試すにはまたとない機会であり、選手たちの気合もいやがおうにも高まってゆきます。

一昨日集合したばかりの選手たちですが、次第にまとまりが見え始め、チームの雰囲気も向上しています。ウォーミングアップの後、セットピースからのオプションなどの簡単なチェックを行い、11:30からいよいよ日本代表とのアタック/ディフェンスセッションが始まりました。
今回のアタック/ディフェンスでは、ディフェンスを日本代表が、アタックをATQアカデミーが受け持ちます。セットプレーやブレイクダウンでのコンテストはなしですが、タックルはフルタックルで、日本代表スタッフからも、ぜひ高いクォリティのアタックで挑んできて欲しい、とリクエストがありました。

ATQアカデミー側は、チームを2チームに分け、交代で全員がプレーします。いよいよセッションが始まると、予想していた通り激しいぶつかり合いが展開され、ノーコンテストといっていたブレイクダウンにも、ついつい力が入ります。
組織プレーの練習はほとんど行っていないATQ側ですが、若さを武器に、思い切ったプレーで日本代表に挑んでゆきます。大きくゲインをしたり、ジャパンのディフェンスに当たり勝ったりと、光るプレーも見られましたが、時折、ジャパンの激しいタックルを受け倒される場面もあり、選手たちも「さすが」と感じたと思います。

あっという間に約30分のセッションが終わり、選手たちもそれぞれ納得がいくプレーや、まだまだ改善する部分など感じることができ、非常に有意義な経験ができたと思います。
日本代表のグラントアシスタントコーチからも、「とてもよいセッションだった、日本代表にとっても非常に有意義だった。ATQの諸君有難う!」と声がかけられ、最後には日本代表、ATQが一同に円陣を組み締めくくりました。
薫田コーチングディレクターも納得の出来であったようで、予定していたその後のセッションは切り上げられ、予定よりも早く午前中のセッションは終了しました。
今回、若手有望選手のために胸を貸していただいた、日本代表の選手の皆さん、本当に有難うございました。

午後はディフェンスセッションが行われました。昨日に引き続き、ワイカト協会Paul氏から様々なディフェンスの基本動作、考え方が事細かに指導され、セッションが進められてゆきます。
やや疲れ気味の選手たちでしたが、Paul氏のリードで、ジャパンのポリシーでもある早いディフェンスラインが意識付けされてゆきます。途中選手が気を抜いたプレーをするとPaul氏や薫田CDから激が飛び、修正されます。
最後にはグラウンドを大きく使い、このセッションで確認されてきた個別の要素を一つ一つ意識しながらディフェンスストラクチャを徹底してゆきました。
そして、Paul氏から、「ストラクチャは大事だが、一つ一つのスキルのレベルが低ければ、どんな良いストラクチャも意味がない」と個人個人が高いスキルを身につけることの重要性が、改めて説明されました。

その後、プールリカバリーで体をほぐし、夜はエアロビクスセンター内のレストランで、ささやかなチームディナー(?)が行われ、3日目のセッションが終了しました。
選手たちの和もかなりでき上がりようやく盛り上がってきたところですが、明日は最終日です。明日はこの2日間で学んできたことを一つひとつ振り返るセッションが行われます。

激しさを意識してウォーミンアップ   ジャパンとのADへ向け、気合を入れる選手たち
激しさを意識してウォーミンアップ ジャパンとのADへ向け、気合を入れる選手たち

いよいよジャパンとのセッションが始まった(赤いジャージがATQ)   ノンコンテストのはずだがやはり激しくなってゆく
いよいよジャパンとのセッションが始まった(赤いジャージがATQ) ノンコンテストのはずだがやはり激しくなってゆく

スペースを突くネイサン選手   ポイント近辺の攻防
スペースを突くネイサン選手 ポイント近辺の攻防

最後はジャパンと一緒に円陣を組む   相手のステップにも対応し、正対したまま脇を締めて相手を押し込むタックルスキル練習
最後はジャパンと一緒に円陣を組む 相手のステップにも対応し、正対したまま脇を締めて相手を押し込むタックルスキル練習

タックラー、サポーターともスクエアに相手に入り、足をドライブ   動くタックルバックにも姿勢を落とさずタックルし、すぐにボールを拾う
タックラー、サポーターともスクエアに相手に入り、足をドライブ 動くタックルバックにも姿勢を落とさずタックルし、すぐにボールを拾う

大きく移動しながらも、ディフェンスストラクチャを崩さず素早く対応する   今回もお世話になった、通訳のグレンさん(セコムラガッツ所属)
大きく移動しながらも、ディフェンスストラクチャを崩さず素早く対応する 今回もお世話になった、通訳のグレンさん(セコムラガッツ所属)

太田千尋フィットネスコーチの指導のもと、プールリカバリーで盛り上がる
太田千尋フィットネスコーチの指導のもと、プールリカバリーで盛り上がる

●4月19日(土)

天候は相変わらず不順。時折小雨がぱらつき、冷たい北風が気温を下げます。しかし、本日のアカデミーキャンプは次第に気温が増し、締めくくられました。

フロントスリーはヴィジョンドリルがお得意?   人には利き目があります
フロントスリーはヴィジョンドリルがお得意? 人には利き目があります

インディビデュアルスキルは全ての基本   Paul氏の指摘に聞き入る山田、曽我部両選手
インディビデュアルスキルは全ての基本 Paul氏の指摘に聞き入る山田、曽我部両選手

まず午前中のセッションでは、昨日のPaul氏のミーティングで説明があった、「RICE」の「I」、つまりインディビディアルスキルを中心としたセッションが行われました。

まずは、ビジョンドリルが行われ、「特定のものを見ずに、すべてを見る」という技術について意識付けが行われます。「人間には利き目があり、どうしてもそちらの目でものを見ようとしてしまい、からだの向きがスクエアでなくなってしまいがち、そうすると片方のが死角になってしまう」ということが説明され、選手たちの目からうろこが落ちます。

その後、キャッチ&パス、コンタクトなどの個別スキルが行われ、最後には2チームに分かれ、それらのスキルを生かしたタッチゲーム形式のセッションが行われ、午前のセッションは終了しました。本当に基本的なプレーですが、Paulコーチから一つ一つについて丁寧に説明や指導が行われ、選手たちにも新たな発見や気付きがあったようです。

コンタクトの基本スキル   スクエアに入りドライブする!
コンタクトの基本スキル スクエアに入りドライブする!

ハーフ団による個別スキル   TB陣のポジションスキルセッション
ハーフ団による個別スキル TB陣のポジションスキルセッション

午後のセッションはアタックセッションとして、フェーズプレーを中心としたアタックの様々な要素を取り入れたセッションが行われました。

まずは、昨日雨のため行えなかったフィットネステストの残りとして7分間走が行われ、選手たちの息が上がります。その後、ポジションごとに分かれ、ポジションスキルセッションが行われました。

FWはフロントロー、ロック、バックロー、BKはハーフ団、センター・ウィングのTB団に別れ、それぞれのポジション特有のスキルを中心に、各コーチから指導が行われました。その後、FW、BK一緒になり、フェーズでのアタックオプションを理解するセッションが行われ、ここでもPaulコーチから、細かな指摘やアドバイスが入ります。「Attention the Detail! Do not shortcut!! (細かいところに注意を払え! 近道をしようとするな!!」というスローガンの下、ついつい流されがちな部分を一つ一つチェックします。

そして、最後に、アタックで最も大切なのは「接点で勝つこと」ということが改めて強調され、それを意識するための「一分間セッション」。連続してブレイクダウンのシチュエーションでコンタクトシールドに激しく当たってボールを確保する、というセッションで締めくくられました。

午前、午後と密度の高い一日が終了しました。

夕食後のミーティングで、まずは太田千尋フィットネスコーチより、昨日のフィットネステストの結果に基づくフィードバックが行われました。その結果によると、ワールドスタンダード、ジャパンスタンダード数値と比較し、ポジションごとにかなりレベルにばらつきがあり、さらなる底上げが必要なことなどが説明されました。結果のフィードバックと強化プログラムが選手ごとに渡され、各チームに帰った際に役立てて欲しいと説明がありました。

その後、薫田コーチングディレクターより、急遽明日の予定を変更し、午前中に日本代表スコッドと25分間のアタックディフェンスセッションを行うことが決定されたことが告げられました。急な話に選手たちは驚きを感じると同時に、めったにないアピールの機会ととらえ、高いモチベーションを示していました。その後、明日のセッションに向け2チームに分かれ、選手自身でセットピースからのオプションについてディスカッションとチェックが行われ、これまた長い一日が終了しました。

明日、選手たちがどのようなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみです。

FWはまず、股関節と足首の稼動域を広げるトレーニング   フロントロー、ロック、バックローに別れポジションスキルセッション
FWはまず、股関節と足首の稼動域を広げるトレーニング フロントロー、ロック、バックローに別れポジションスキルセッション

バックロー陣はボールの奪い合いのセッション   バランスボールを使って姿勢をとるフロントロー陣
バックロー陣はボールの奪い合いのセッション バランスボールを使って姿勢をとるフロントロー陣

最後はFW、BK一緒になりアタックセッション   通称「1ミニッツセッション」で激しく当たり合う
最後はFW、BK一緒になりアタックセッション 通称「1ミニッツセッション」で激しく当たり合う

太田千尋フィットネスコーチより、テスト結果のフィードバック   薫田CDより、明日のジャパンとのセッションが説明される
太田千尋フィットネスコーチより、テスト結果のフィードバック 薫田CDより、明日のジャパンとのセッションが説明される

プレーヤーによる明日へ向けたミーティング   プレーヤーによる明日へ向けたミーティング2
プレーヤーによる明日へ向けたミーティング プレーヤーによる明日へ向けたミーティング2

●4月18日(金)

嵐のような大雨と風の中、第1回ATQアカデミーキャンプが日本エアロビクスセンターにて始動開始しました。

今年度アカデミーの冒頭として、まず上野委員長より言葉があり、その後本日のフィッティングテストについて、ジャパンのフィットネス&コンディショニングコーチの太田氏とフィットネス&コンディショニングコンサルタント、マーティン・フューメ氏から、ジャパンのフィットネステストの目的と位置付け、そして、目指すべきワールドスタンダードについての説明がありました。最後に、今年度のATQアカデミーの位置付けとして、従来のアカデミーとしての位置付けに加え、最後のキャンプの際、一連の活動のターゲットとして、国際試合を組むことを計画しているというプランが明かされ、それを日本代表へ向けた、大きなアピールの場として考えてくれ、とメッセージが送られました。

その後、室内で、柔軟性や持久力などを中心としたテストを行いました。選手たちは、事前のミーティングでのメッセージを受け、それぞれが、それぞれのベストパフォーマンスを出そうと努力している姿が見られました。中にはそれぞれの種目でワールドスタンダードをクリアした選手もおり、お互いへの意識も加わり、良い内容のテストとなりました。

夕食後のミーティングでは、薫田コーチングディレクターから再び今回のATQアカデミーの目的、ATQの理念であるサムライスピリット、また、ジャパンの掲げるフィロソフィー「Bu-Shi-Do武士道」について話がありました。選手一人ひとりに、このアカデミーに選出されたことへの意味と誇りを強く意識してもらえたのではないでしょうか。

最後に、今回もワイカト協会からお招きしたポール・ホッダー氏から、明日のコアスキルセッションについての説明があり、“RICE”というキーワードを使って説明がなされました。また、その際に、常に「B.T.B:Better Than Before:前よりも良くなる」ということを意識して取り組んで欲しい、「常に学び続けることを忘れたものは絶対に成功しない」という言葉が選手たちに送られました。

これで選手たちの意気込みは万全だと思います。あとは明日の天気の回復を祈るのみです。

太田コーチ   マーティン・フューメ氏からワールドスタンダードを目指す意義が語られる
太田コーチ マーティン・フューメ氏からワールドスタンダードを目指す意義が語られる

フィットネステスト   フィットネステスト2
フィットネステスト フィットネステスト2

フィットネステスト3   薫田コーチングディレクターより
フィットネステスト3 薫田コーチングディレクターより

真剣に聞き入る選手たち   Paul氏から送られた言葉「B.T.B」
真剣に聞き入る選手たち Paul氏から送られた言葉「B.T.B」