さる5月1日、午前中雨天という天気予報が嘘のように晴れあがり、南国宮崎らしい強い日差しが降り注ぐ中、第1回南九州女子セブンズ交流会が、宮崎県総合運動公園ラグビー場で開催されました。

この取り組みは、JRFU戦略計画に掲げる女子のラグビー機会の創出と競技者増加策の一環として、既存の女子チームが無かった熊本、鹿児島、宮崎の南九州三県の県協会がそれぞれ具体策を検討し、協会が主導する形で発足させた女子の練習会が発展したものです。定期的な練習を継続する中で、選手の目標創出、モチベーションアップ、そして女子ラグビーの対外的なアピールという共通の課題を感じていた近県三県がお互いにディスカッションし、その克服策として交流大会の開催という形で実現させたものです。

「第1回 南九州女子セブンズ交流会」レポート   「第1回 南九州女子セブンズ交流会」レポート
開始が待ちきれずにパス練習をする選手たち 地元ケーブルテレビが取材に

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宮崎県協会後藤会長よりご挨拶 開会式

熊本、鹿児島では昨年の6月に公募による女子ラグビーの練習会を立ち上げ、やや遅れて9月に宮崎でも同様の取り組みを開始し、それぞれ月数回から毎週、県協会の関係者の指導の下練習を積んできました。その後、選手の力試しと、ラグビーファンへのお披露目を兼ねて、11月28日に鹿児島、翌週12月5日に熊本で行われたトップリーグの前座として、鹿児島と熊本の女子チームがそれぞれ敵地を訪れて7人制のエキジビション試合を行いました。
この時点では、まだホールドでゲームを行っていましたが、その後選手たちも経験を積み、宮崎が参戦した今回は、フルコンタクトでの真剣勝負、どんな試合が展開されるか関係者一同楽しみにしていました。

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松尾リソースコーチより 全チームが混ざってウォーミングアップ

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スペースを使う動きの練習 ちびっこも参加

当日は、まず、訪れた日本協会リソースコーチの松尾氏の指導により、午前中の時間を使い3チーム合同での7人制のラグビークリニックが行われました。
集まった女子選手は、上は主婦、社会人から下は小学生(2名のちびっこも参加)、また、練習会を始めた時には全くのラグビー未経験者から、ラグビースクールでみっちりと鍛えられた経験者、中には普段は高校で女子マネージャーとしてラグビーに携わっているなど様々なバックグラウンドですが、熊本と宮崎からそれぞれ14名、15名、鹿児島から9名、総勢40名近い女子選手が集まりました。

松尾コーチからはまず、「7人制は少ない人数でこの広いスペースを使ってアタックやディフェンスを行うため、コミュニケーションが何よりも大切です。今日も、なるべく他のチームの人とも一緒になってとにかく声を出してコミュニケーションを心がけよう!」とのアドバイスがあり、最初はやや遠慮がちだった選手たちも、徐々にコミュニケーションをとるようになり、このあと、真剣勝負を行う他チームの選手とも違和感なく声を掛け合えるようになりました。

クリニックは、ゲームを取り入れたウォームアップから始まり、1対1、2対1など徐々に人数を増やしながらアタックの基本的な動きを確認し、そのあと7人制の基本的な動きである「ふりもどし」、「クロス」といった要素を入れた簡単な練習まで行いました。選手たちも最後には、7人制の重要な要素である、スペースを作ってそこを生かす、という動きが理解出来てきたようで、かなり形になってきました。
クリニックは最後のタックルの基本練習で締めくくられ、昼食をはさみいよいよ本番の交流試合の開始です。

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おそろいのTシャツで練習する宮崎チーム タックルの基本もしっかりと

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松尾コーチを囲んで全員で

今回、熊本、宮崎はA、B、2チームを編成し、鹿児島チームと合わせた5チームが7分前後半の総当たり戦を行いました。
本番ではさすがにラグビースクールなどでの経験者に一日の長があり、鋭く執拗な低いタックルや忠実なセービングなど、男子顔負け、というよりも全てのラグビープレーヤーがお手本にできるような素晴らしいプレーも連発され、試合を見ていた関係者を唸らせました。一方で、未経験から始めた選手や今回試合は初出場という選手が快走しトライを挙げるなど、見ている選手や関係者からも大きな歓声が上がる場面も。松尾リソースコーチも「これは逸材!」と太鼓判を押すほどの今後が楽しみな選手が大勢見られました。

チームの関係者も「試合をするたびにどんどん上手くなってゆく」と目を細めたり、トライ後のドロップキックが決まり満面の笑みで選手と抱き合う微笑ましい姿に、「女子の方が何となく試合を心底エンジョイしている気がするな・・・」と改めてスポーツの原点に回帰させられたりという場面なども見られました。
結果は、出遅れを取り戻すために「2月から毎週練習」しており、経験者も多い地元宮崎がやや優勢ではありましたが、熊本、鹿児島もそれぞれ光るプレーで最後まで健闘し、試合後は全員が本当に良い笑顔になっていました。

三県では、「今後もこの交流試合を定期的に行ってゆく」予定とのことですが、出来ればもっと範囲を広げた九州全体の女子ラグビー交流会が早期実現できれば、と意欲を高めていました。

今回この交流会に参加し、女子ラグビーの普及、発展へ向けた素晴らしい取り組みだと感じると同時に、実現までに大変な尽力をされた宮崎、熊本、鹿児島の協会関係者、チーム関係者に敬意を表せざるを得ません。このような形で、女子ラグビーがまだまだ活発でない都道府県にも火がともり、日本全国津々浦々で女子がラグビーに親しむ環境が早期に整うよう、日本協会としましてもサポートしてゆきたいと考えております。

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交流試合 鹿児島vs宮崎 試合後の挨拶もしっかりと(鹿児島県女子ラグビー)

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交流試合 鹿児島vs熊本 交流試合 熊本vs宮崎

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熊本スイーティーレディーベアーズ 宮崎レディースラグビークラブ

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松尾コーチからの総評 総評に聞き入る選手たち

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総評に聞き入る選手たち