リポビタンDチャレンジ2012 JAPAN XV-フレンチ・バーバリアンズ第2戦が24日午後2時に東京・秩父宮ラグビー場でキックオフされる。4日前の第1戦を若手中心のメンバーで臨んで21-40で完敗したJAPAN XVは、先発を12人変えた「最強メンバー」(エディー・ジョーンズヘッドコーチ)でリベンジを狙う。

(text by Kenji Demura)

廣瀬主将に替わってゲームキャプテンとしてJAPAN XVを率いるLO大野。リベンジに熱く燃える
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気持ちを前面に出した熱い戦いを見せて、有終の美を

 「全員、ジャパンをやめてしまえ」。そんな言葉がジョーンズヘッドコーチ(HC)から飛び出すほど、第1戦はふがいないパフォーマンスに終始した。中3日で行われるフレンチ・バーバリアンズとの第2戦。テストマッチではないためJAPAN XVの名称で戦う日本代表のメンバーは第1戦から大幅変更となった。

 パシフィック・ネーションズカップ(PNC)最終戦から中2日だった第1戦に関しては、あらかじめ試合経験の少ない選手中心のメンバーで臨むことが公言されていた。多くの若手にとっては日本代表でのポジション獲りのチャンスだったが、残念ながらアピールできた選手は少数。中3日ながら、第2戦もレギュラーポジションをキープすることになった3人こそが、チームが「プアー・パフォーマンス」(ジョーンズHC)と酷評される中、自分の仕事はしっかりやっていた数少ない選手ということになる。

「ブロードハースト(マイケル=LO)、晃征(小野=SO)、竹中(祥=WTB)。3人ともとてもいい働きをみせてくれた」とジョーンズHC。3人の中では、SO小野は今季のアジア5カ国対抗からPNCまで7試合全試合に出場。そのうち6試合で先発SOとして指令塔の座をキープしてきたこともあり、抜擢とは言えないだろう。多くの若手が立ち上がり満足のいくパフォーマンスを出せなかった第1戦でも、ゲインライン付近でアグレッシブにプレーするスタイルは死守。「自分としては最初から出せていたと思う」と振り返った。「SOとしては、自分だけがいい準備していても、まわりに反応してもらわないと厳しいので、これからはまわりの選手たちをもっと引っ張っていけるような存在にならないといけない」と語り、今まで以上にゲームリーダーとしての自覚を持ち始めている。

第1戦メンバー生き残り組のSO小野とLOブロードハースト(左端)。右端奥は仏バーバリアンズHOセルバ主将
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ジュニア・ジャパンおよび仏バーバリアンズ第1戦の活躍が認められたWTB竹中は廣瀬主将に替わって14番をつける
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 一方、若手中心の第1戦メンバーの中で最年少ながら数少ないサバイバルメンバーとなったWTB竹中は、ジュニア・ジャパンとして戦ったトンガ代表との練習試合も含めて、インターナショナルレベルでのプレーを通して急成長中。「低くもぐったり、ちょっとズラしたりすれば、大きな相手に対しても前に出られるのもわかったし、『この間合いなんだな』というのも試合の中でつかめてきた」。今回は「一緒に練習する中で、WTBとしていかに多くボールタッチしていくかなど、お手本になる存在」という廣瀬主将のポジションで出場する。

 廣瀬主将、FL佐々木隆道副将、CTB仙波智裕の3人に関しては、「フィジカル面のデータが、日曜日にはベストのパフォーマンスが出せない可能性が高いことを示していた。試合を重ねてきた影響が出ているので、日曜日のセレクションの対象から外した」(ジョーンズHC)との説明があった。

「言葉ではなく行動で示してくれる」(ジョーンズHC)大野がゲームキャプテンに

 FWで唯一の抜擢組となるブロードハーストは第1戦での自分のプレーを「50%しか出せなかった」と謙遜気味に語るが、FWの核としてのアグレッシブで地道なプレーに首脳陣の評価は高い。FWとしては第1戦で崩壊したセットプレーの修正が何よりの課題となるが、その点に関してもブロードハーストには多くの期待がかけられている。

 第1戦では右LO(5番)でプレーしたブロードハーストだが、今回は左LO(4番)での起用となる。その意図を薫田真広アシスタントコーチは「この前の試合では相手の3番に崩されるケースが多かったが、今回マイケル(ブロードハースト)が入って、長江(有祐=PR)とはリコーのチームメイト同士なのでずっと合わせてきているし、1番と4番でしっかり重さを伝えていきたい」と説明した。

スクラムの鍵を握るPR長江。強力セットの仏バーバリアンズに対して日本の強みである低さをうまく生かせるか
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 そして、第1戦では崩壊したJAPAN XVのスクラムのキーマンとなる長江は「勝ち負けがFWのところで決まるのはわかっている。相手が強いのは間違いないが、圧倒するまではいかないとしても、闘志を見せて、スクラムも互角くらいには組みたい。低さを生かすことを考えている」と抱負を語る。

 今回のJAPAN XVでゲームキャプテンを務めるLO大野均もセットプレーを中心としたFWプレー、そして何よりも気持ちの部分を第2戦のポイントに挙げる。「この前の試合はセットプレー完敗だったし、ブレイクダウンも向こうが滅茶苦茶やってきたのを上から見ていて、FWとして悔しい思いがいっぱいだった。それは出ていたメンバーも出ていなかったメンバーも同じ気持ちだと思う。次の試合では、FWでしっかり戦って気持ちの部分でキックオフから100%出せるようにしたい」

 その大野をゲームキャプテンとして起用した理由について、ジョーンズHCは「何よりも経験があり、チームを前面から引っ張っていってくれる。春からの代表の活動の中でも、非常に存在感を示してくれているのが均ちゃん。日曜日には言葉ではなく行動で示してくれる人物が必要。たくさんのアクションで引っ張ってくれるだろう」と説明する。

 大野自身は、今季の充実したプレーぶりの背景に昨秋のW杯であまりチャンスが与えられなかった悔しさもあると語る。9ヵ月前のW杯時にはリザーブに入りながら対戦できなかったフランス代表の中心選手であり、第1戦でJAPAN XVのスクラムを崩壊させたHOウィリアム・セルバ主将率いるフレンチ・バーバリアンズ戦で、大野がゲームキャプテンに指名されるのも何かの縁だろう。

 日本ラグビーを引っ張っていく立場として、負け犬のままではいられない──。そんな気持ちで一丸となった22人が熱い戦いぶりを見せて、この春から夏にかけての新生日本代表の戦いで有終の美を飾ることに期待したい。

JAPAN XV名義のためジャージも日本代表とは違うものを着用。ジャパンプライドを取り戻す戦いとなる
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