■2015年5月17日(日)

本日は午前中に練習を終えて、キャンプ終了となる。

午前中の練習ではユニット・ジム・チーム練習をした。私は主にジムの様子を見学した。

選手たちは各自のチーム練習とジャパンの練習とで疲労を抱える中でも、一生懸命にトレーニングに取り組んでいた。
チーム練習ではアタック&ディフェンスを行い、チームの動き方を再確認した。
最後には各コーチが配置された4箇所でスキル練習に取り組んだ。

全ての練習を終え、ミーティングを行った。
選手たちは良かった点、悪かった点をふりかえった。新加入の選手たちには一人ひとり挨拶をしてもらった。

矢富:わからないことをメンバーに親切に教えてもらえ助かった。次回キャンプまでに覚えられることを覚え、チームを引っ張る存在になりたい。

山田:非常にナーバスだった。顔も常に引きつっていた。レベルの高い中でプレー出来て、本当にいい経験だった。これからに役立てたい。そしてチームの役に立ちたい。

佐野:フィジー以来の合流だが、やはり意識も技術も高い、素晴らしいチームだと思う。早く自分を高め、皆と同じレベルで合流したい。

中竹ヘッドコーチはもっとお互いでコーチングしあうことが出来ると選手に伝えていた。
それこそが真の「ステイ・コネクト」であり、今のチームに求められることだ。
そんな言葉で今回のキャンプを締めくくった。

最後に3日間同行させていただいた私から感想を述べさせていただく。

3日間という短い期間だったが、正直大変だった。
今まで選手としてしかラグビーに関わっておらず、スタッフとしてスポーツを支えることがここまで大変なのかと身を持って味わった。
正直、本当に2年間インドでラグビーを指導できるのかと不安に思ってしまった部分もある。

ただ今回巡りあった選手たちは来週から本番で、世界に挑む。
僕よりも若い年下の選手たちが、勇敢に自分たちよりも大きな選手に立ち向かう。
僕も今回の縁を大切に、彼らから勇気を分けてもらう気持ちでインドに乗り込むことを誓う。

そして目指すは2019年ラグビーワールドカップ日本開催。
道は違うが、向かうところは同じである。今回関わった選手が2019年のフィールドにジャパンとして立っていたらこれ以上に嬉しい事はない。たったの3日間の縁だが、本当に誇らしいことだと思う。

今回のキャンプのキーワードは「ステイ・コネクト」。
僕は2019年まで今回関わった選手たちと何かしらの形でステイ・コネクトし、共にラグビーワールドカップ日本開催を迎えられることを楽しみにしている。

3日間本当に素晴らしい体験をありがとうございました。

(小林勝宗)

■2015年5月16日(土)

U20日本代表の朝は早い。
6:30には身体を起こすためにモビライゼーション(関節運動)を実施した。
朝食をしっかりと取り、午前中は関東学院大学と合同練習を行った。

チームアタック&ディフェンスではまずまずという具合。
好プレーは幾度も生まれたが、もっと自分たちのラグビーが出来るはずという感想だった。チームとして間が空いたのでしょうがない部分もあるのかもしれない。

次にユニット練習を行った。
私はFWの方についた。スクラムでは圧倒とまではいかないものの、相手の度重なるペナルティを誘うなど、有利に組めていた。
ラインアウトではなかなか流れをつかむことが出来ず、相手にクリーンキャッチを許したり、マイボールをターンオーバーされる場面もあった。
やはり一度解散し各自のチームに戻っているため、ジャパンのセットプレーを思い出すために時間が必要だった。

昼食をとり、選手たちは休息。

午後、まずはチームで動きは6割、コミュニケーションはトップでタッチフットを行った。
コーチ陣はこの練習の時から常に「ステイ・コネクト」を意識するように指導した。

続いてユニットに分かれ、ジムとユニット練習を実施した。

FWは午前中に修正の必要性を感じたラインアウトを中心に実施した。
基本からじっくり振り返り、遠藤フォワードコーチ指導のもとグラウンドスピードを上げるように取り組んだ。
ラインアウトでは相手なしで100%キャッチができるなど、皆集中していて良い雰囲気だった。

夕食を終え、ミーティングを行った。
ここでは練習を振り返るというよりは、中竹ヘッドコーチからの講義というものだった。

今回のキャンプのテーマは「ステイ・コネクト」である。
言葉を使わずコミュニケーションを図るワークを行い、またモノの見方に関する講義を行った。

「事実を事実として見る」ことは難しいのである。
選手たちには経験と知識がある。勝った経験もあれば、負けた経験もある。その経験の上に選手たちは何を見るのか。
大事なことは同じものを見て、同じものを共有することである。皆で経験を共有する必要がある。試合においては同じシチュエーションで、同じように判断する必要がある。

最後に中竹ヘッドコーチは「3人の漁師」の話を用意していた。
この話の中には確かな教訓があった。それは中竹ヘッドコーチ自身がイギリスの大学院の社会学で学んだことであった。
目の前のことにあくせくすることなく、努力した結果俯瞰して物事を見られるようになる、ということである。
チームのメンバーが目の前の出来事に囚われて冷静な判断を下させなくなることがあるかもしれない。そんな時にはチームとして支えあっていくこと。こうしたメッセージで、ミーティングを終えた。

明日は最終日。
「ステイ・コネクト」の集大成を実現し、来週の本番につなげていくのだろう。
(小林勝宗)

■2015年5月15日(金)

TIDキャンプ(U20)第5回合宿が始まった。
15日21時から全体ミーティングが行われ、今回のキャンプの目的や現状が再確認された。

まずは新加入の選手が紹介された。
帝京大学2年 矢富選手。追加招集という気持ちは忘れ、プレーに専念したいと言っていた。
中央大学2年 佐野選手。3月のジュニア・ジャパン遠征、パシフィック・チャレンジ2015のフィジーウォリアーズ(フィジーA)戦で顎を骨折したが、しっかり骨もつながったので戻ってきた、とのこと。以前もチームにいて気心の知れた仲間が多いのか少し笑いが起こり、また中竹ヘッドコーチからは「細くなったのでは?」とも指摘されていた。
立教大学2年山田選手。自身で今回はサプライズ招集だと表現した。素晴らしい舞台に恥じぬようにプレーに努めることを誓っていた。

新加入選手の紹介が終わり、中竹ヘッドコーチはまず“シェアワーク”を行った。
以前からチームに居た選手が今回から参加するメンバーに向け、U20のチームはどのようなチームかなどを共有した。
その際、新加入の選手を中心にグループに分かれた。
ちなみに私もスタッフメンバーに輪を作ってもらい、状況を教えてもらった。

目標は「ビートウェールズ」ウェールズに勝つという意味である。

中竹ヘッドコーチ体制のもと、U20日本代表は3年前にウェールズに100点ゲームで負けた過去がある。
昨年ジュニアワールドラグビートロフィーで勝利を納め、今回再びウェールズ代表と戦うことが出来るステージに昇格した。
3年前のリベンジを果たすべく、「ビートウェールズ」をキーワードに現在のチームがある。

今回のTIDキャンプは5回目であり、キャンプ参加メンバーから選ばれるU20日本代表は6月にイタリアで「ワールドラグビー U20チャンピオンシップ」本番を迎える。
3月、キャンプ参加メンバーを中心に構成されたジュニア・ジャパンは、フィジーウォリアーズに80点以上差をつけられ大敗をした。
その後、4月にはU20日本代表はニュージーランド、サモア、オーストラリアという強豪国のU20代表と戦った。
結果的には負けだったが、決して内容は悪いものではなかった。U20ニュージーランド代表には後半開始の25分の間、敵陣に釘付けにしている。FWは世界の同世代と対等に戦えている場面もある。スクラム・ラインアウトのターンオーバーのシーンも何回も見受けられ、モールでは強みを発揮し、トライを取っている。
これは自信にしていいことであり、チーム全体としても確かな手応えを感じている。

今回のキャンプのテーマは「ステイ・コネクト」。

これはOn the Field(グラウンド内)、Off the Field(グラウンド外)でも同様だ。
これまでを振り返るとちょっとした悪いプレーがつながり失点をしてしまっている。
一方、良いプレーも随所であるのだが、それはつながらず得点にまで結びついていない。

新加入の選手がOff the Fieldで結びつくのはもちろん、On the Fieldでも良いプレーが結ばれていき、U20チャンピオンシップの結果に結びつけていく姿を、3日間の参加ではあるが、私からも届けていきたいと思う。
(小林勝宗)


今回のTIDキャンプ(U20)第5回合宿のレポートは、小林勝宗氏が担当します。
小林氏は9月からJICA(独立行政法人国際協力機構)が実施する青年海外協力隊でラグビー指導のためインドに2年間派遣されます。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップ2019に向け、アジアのラグビーを盛り上げることが目的の一つであり、派遣前に日本ラグビーの理解を深めるためにも、今回のTIDキャンプに研修として帯同することになりました。
主に広報活動とストレングス&コンディショニングのサポートを担っていただきます。