2年後の東京2020につながる男女揃っての金メダルへ

ジャカルタで厳しい3日間のアジアバトルがスタート

 

 

インドネシアで開催中の第18回アジア競技大会。30日からはラグビーフットボール(7人制ラグビー)がスタートする。

男女それぞれ3日間で6試合を行うハードスケジュールの大会となるが、男子は4大会連続、女子は初となるアジア競技大会制覇をアベックで成し遂げ、2年後に控える東京2020に弾みをつけたいところだ。

 

昨季のスリランカセブンズで揃って写真に収まる男女セブンズ日本代表。

狙うはアベックでのアジア競技大会制覇
photo by Kenji Demura

 

同大会のラグビー競技には男子が12チーム、女子は8チームが参加。

 

先にスタートする女子は4チームずつ2組に分けてのプール戦(各チーム3試合)が現地時間の2日目の午前中まで行われ、同日午後に準々決勝、さらに最終日に準決勝、3位決定戦、決勝戦が予定されている(最終日は並行して5〜8位決定トーナメントも行われる)。

 

日本はカザフスタン、タイ、インドネシアと同じE組でプール戦を戦うが、この中で稲田仁・女子セブンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)が特に警戒するのが2010年の広州大会覇者で4年前の仁川大会でも3位となったカザフスタン。

「スクラム、ラインアウトなどセットプレーが強い。シンプルに縦にガンガン、近場をゴリゴリくる」(同HC)というフィジカルなプレーぶりのカザフスタンに対しては、昨秋のアジア女子セブンズシリーズのスリランカ大会ではで12—10という接戦を演じてもいる。

 

さらに、金メダルを獲得する上で、準々決勝以降、必ず倒さなければいけないのが前回覇者でアジでの最大のライバルと言っていい中国だろう。

「WTBにいい選手がいて、深いラインから外を走らせる」(同HC)中国に対しては、前回の決勝戦で敗れたリベンジ戦ともなる。

 

「(コアチームとして参加した)ワールドシリーズ(=ワールドラグビー女子セブンズシリーズ2017-2018)を通して、フィジカルもスキルもスタンダードを上げてきた。自信を持って、逃げずに。中国はいままで強くて速いと思っていたが、逆に自分たちが上回っている、勝っているという意識でいく」

DF面に加えて、より良いスペースをアタックするための判断力を上げて臨む女子セブンズ代表

photo by Kenji Demura

 

稲田HCが自信を持ってそう語る通り、世界最高峰のステージでの経験を経て着実に成長した姿を披露して、2年後の東京でのメダルにつながる金メダルを獲得したいところだ。

 

 

「『これはオリンピックだ』という意識で臨ませている。

ここで勝てなかったら、2年後も勝てない」(岩渕HC)

 

 

一方、男子は4チームずつ3組に分かれてプール戦が行われ、日本はマレーシア、中華台北、インドネシアと同じB組となる。

 

「とにかく初戦。インドネシアは開催国で気持ちも入っている。初戦の最初の4分間で、自分たちの準備してきたパフォーマンスを出したい」

 

岩渕健輔・男子セブンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)は初戦の立ち上がりの重要性を強調する。

 

「アジア大会自体は3回続けて勝っているが、昨シーズンのアジアシリーズは3大会中1回しか優勝していないし、自分たちが格上という意識は持っていない。アジアで1位という座を取り戻すための大会。余裕はない。気持ちを前に出していく」(同HC)

 

灼熱の東南アジアの真夏に3日間で6試合を戦うという厳しい条件での大会となるが、「3日間で10試合くらいやってもらった方が日本にとっては都合がいいくらいの準備はしてきた。5試合目、6試合目は本当に楽しみ。今までとは全く違うかたちでパフォーマンスを発揮してくれるはず」と、岩渕HCは体力的にもメンタル的にも圧倒して同大会4連覇を果たすことに自信をのぞかせる。

 

「リオオリンピックでの一番の反省は1日目、2日目は準備していたパフォーマンスを出せたが、3日目になって、そこで戦えるだけの準備できてなかったこと。スタミナもメンタル面も。

今回は5試合目、6試合目になって、ラグビーうんぬんだけではなく、圧倒できるように準備してきた」(同HC)

 

女子同様、2日目の2試合目が準々決勝、最終日に準決勝、決勝というのが金メダルへの道となるが、最終的にライバルとなるのは、岩渕HCの指摘どおり、昨年のアジアラグビーセブンズシリーズの韓国大会で敗れた韓国、同じくスリランカ大会で敗れた香港ということになるだろう。

 

「『これはオリンピックだ』という意識で臨ませている。ここで勝てなかったら、2年後も絶対勝てない」(同HC)

RWCセブンズでの世界列強との戦いで課題となったボール争奪戦での進歩を見せたい男子セブンズ日本代表
photo by Kenji Demura

 

それぞれ、7月のラグビーワールドカップセブンズで世界トップ国と戦った中で出たディフェンス面での課題(「前に出て吹っ飛ばされたというよりは、ノミネートのところで1個ずつずれた。前に上がれなかった時のディフェンスで外側の選手が勝手に詰めて、外でトライ取られた。その前段階のところを練習」(稲田HC)、「キックオフも含めて、1回ボールを離すと、取り返せない。ボールの争奪のところ。取り返すという部分を集中してトレーニングしてきた」(岩渕HC)も消化したかたちで、男女揃っての金メダルへとつなげたい。

 

 

 

text by Kenji Demura