公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(以下JRFU)は、2021年6月1日に、オンライントークイベント「女性のエンパワーメントに対するスポーツの役割」を開催致しました。本イベントは、ラグビーを通じた社会貢献と国際貢献を目指すJRFUが、ジェンダー平等の達成と子どもの権利推進を目指して世界70ヶ国以上で活動する公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン(以下プラン)と連携して開催したものです。


 

登壇者には、元ラグビー男子日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏、元ラグビー女子日本代表の中嶋亜弥氏、プランから楠祐子氏をお招きし、JRFU国際協力部門員の野口亜弥氏がモデレーターとなって進行を務めました。


 写真:©プラン・インターナショナル


240人を超える視聴者に参加頂き、事前登録データによる視聴希望者属性としては、概算で、女性4割、男性6割、年代別では、20代以下15%、30代15%、40代30%、50代以上40%でした。

 

冒頭、モデレーターの野口氏より当日のテーマがSDG’sのゴール5、ジェンダー平等に関わるものであることに言及したのち、以下のような流れで進行しました。

 

元ラグビー男子日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏

「7人制の女子ラグビーは、オリンピック競技大会で、日本もトップレベルの選手が多く活躍していて頼もしい。同時に女子の選手がもっと活躍できる環境や制度を整えるなど、まだまだ男性側がサポートするべきことがたくさんあるので、お手伝いしたい。そうでないと、ラグビーの精神である誰も排除しない、NO SIDEの精神は達成できないと思う。女性が抱える問題やジェンダーによる課題を、男性が一緒に議論することは重要だと考える」

 

元ラグビー女子日本代表の中嶋亜弥氏

「娘を出産し、復帰するときは、思うように睡眠や食事の時間を大切にできないなど、いろいろな壁にぶつかった。スポーツで壁にぶち当たったけれど、スポーツで乗り越えることができた。ラグビーのために生きる「FOR RUGBY」ではなく、一緒に生きていく「WITH RUGBY」を提案して、ラグビーに長く携わっていく女性が増えたら嬉しい。チームとして強くなることはもちろん、女性選手としてどういう姿を世界に発信したいか、新しい日本女性の力強さや美しさとはなんだろう、とディスカッションすることも心がけている。」

 

プランの楠祐子氏

「プランはサッカーなどのスポーツを通じて、女の子のエンパワーメントやジェンダー平等の意識啓発を目指すプロジェクトに携わっている。例えばガーナでは、サッカーを通じて女の子たちが自信を持てるようになり、自分の意見を堂々と言えるようになった。スポーツをすると村中の人が集まってくるので、意識啓発の機会にしている。観戦の場は、地域の人々が女の子の問題を知り、解決に向けてともに行動するきっかけとなる。」

 

以上のような流れから、スポーツだからこそできる社会を変える力がある、女性がスポーツをすることで社会全体をエンパワーできるほど、(本来)女性はたくましいものである、(ジェンダー課題は)男性と女性が一緒に手を取り合って取り組むべきである、などの意見に、パネリスト一同が共感しました。

 

事後に行われた視聴者アンケートでは、以下のような意見が寄せられました。

 

「中嶋さんの、ラグビーへの向き合い方や、考え方、関わり方がすごく素敵だと思いました。スポーツがいろいろなジェンダー課題へ貢献できる可能性があるということを学んだ一方で、女性のライフサイクルにあったスポーツへの関わり方の多様性が広がる重要性を学ぶことができました」(20代女性)

 

「中嶋亜弥氏が言われていたfor Rugbyから、with Rugbyの視点でラグビースクールのコーチとして子どもたちと接していきます」(50代以上男性、ほかにも、中嶋亜弥氏のこの表現に共感した意見多数。)

 

「ジェンダー問題は、女性の問題として、女性の間だけで語られることが多いが、男性パネリストもいて、そこからの視点も話していてよかった。スポーツ界からジェンダー平等の社会に向けて変化を起こしていきたいと思いました。」(女性、WEリーグ役員)

 

JRFUとしては、今後もラグビーを通じて、女性問題に限らず社会課題解決に関わっていきたいと考え、今年度中にも新たなオンラインイベントを検討しています。