ラグビー協会・勝田理事が語る「オリンピック・ワールドカップから見える世界の選手育成」

東京都港区と日本ラグビー協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップに向けて」第27回が12月11日に行われ、日本ラグビー協会理事(日本オリンピック委員会選手強化本部常任委員)の勝田隆氏が「スポーツが教えてくれること ^オリンピック・ワールドカップから見えた風景 -」をテーマに講演した。

ロンドン五輪では日本選手団の本部役員として帯同した勝田氏は、現地での経験をもとに世界トップレベルの選手強化の舞台裏などについて語った。

■進む世界の強化体制

勝田隆氏
勝田隆氏

オリンピック競技成績上位国・地域(NOC)の多くは、メダル獲得が期待できる競技・種目をターゲットに定め、プライオリティースポーツとして資金や支援資源の提供を重点的に行っていた。
英国では、「UKスポーツ」という政府機関が中心となってその戦略を行なっており、自国開催であった今回のオリンピックでは、ボート、自転車、競泳、陸上競技、セーリングなどの競技が重点的に強化されていたとの報告がある。

日本オリンピック委員会(JOC)では、各競技団体(NF)がオリンピック大会などを見据えて策定した強化計画(NF強化戦略プラン)をもとに、NFと綿密なコミュニケーションやヒアリング、そしてさまざまな分析をとおして、ロンドンオリンピックに向けた重点化を図ってきた。

トップアスリートたちの頂点を目指す競い合いは、記録、技術等の難易度等が飛躍的に向上し、競技レベルは顕著に高度化している。成果を収めるためには、タレントの発掘・育成や、コーチ養成、質の高いトレーニングをしっかりと行うことができる環境や支援が必要。 トップスポーツやトップアスリートの社会的意義を明らかにし、多くの皆さんに理解してもらう取り組みも欠かせないと考えます。

■強化を逆算して考える

以下は質疑応答の一部。

──日本のメダル数が増えている要因はどこにあるのでしょうか? また次回ブラジル・リオデジャネイロ五輪でのメダル獲得目標はありますか?

ロンドンオリンピックにおいて、メダル数が増えた一番の要因は、競技団体、選手、指導者が、頂点をめざして計画的かつ必死に頑張ってきた結果だと思います。それと、マルチサポート事業などの、国や関係組織、機関などのサポートも大きい。
リオデジャネイロに向けては、これから競技団体や関係機関が検討し、取り組んでいくことだと思う。

──この競技団体のプランが優れていると思ったものはありますか?

本番から逆算をして強化を進め成果を出した(競技団体の)計画と実行がありました。ラグビーもワールドカップ本大会やオリンピック本大会での目標達成に向けて、逆算してどの時点で何をすべきか、予選突破の戦略も含めて、限られた時間、資源の有効化・最大化を図っていくべきだと思っています。参考にしたいと思っています。

──19年のラグビーW杯と20年の五輪、パラリンピックに向けてどのような大会にするべきでしょうか?

2019年のラグビーワールドカップ日本大会では、「これは日本方式だよね」「これは日本大会から始まったことだよね」といった、レガシーや国際モデルを創造したいですね。

■勝田隆氏に聞く「あなたにとってラグビーとは」

「大げさな言い方かもしれませんが、人生の哲学ですね(笑)。ラグビーは、さまざまな問い掛けをしてくる。生き方や行動の本質について考える機会を与えてくれる。ラグビーは、私に、多くの師や仲間を与えてくれました。小学6年生からラグビーをやっていますが、私の人生の中で表現できないほど大きなものとなっています」