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●11月23日(火)

いよいよアジア競技大会、最終日。
泣いても笑っても、今日、アジアで7人制日本代表が何番目に強いのか、試されます。
今日の結果がすべてではありませんが、選手たちは金メダルを目指し、ここまで積み重ねた集大成を、アジア大会の大舞台で発揮できるのでしょうか。

まず、試合が行われたのは女子7人制日本代表。
準々決勝の相手は香港代表です。直前のシンガポールクリケットセブンズ、そして7月に行われた女子アジアセブンズで連勝している相手。しかしチームに慢心はありません。
「誰かに任せるのではなく、一人ひとり意識をしていこう。歴史を作ろう」(黒岩ヘッドコーチ)
「最初から、いこう」(岡田選手)
「香港が、もういやになる、というくらいまでやろう。楽しもう」(鈴木主将)

女子7人制日本代表(11月23日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】
女子7人制日本代表(11月23日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】

 

今村選手(11月23日、対韓国代表戦)【フォート・キシモト】 鈴木キャプテン(左)と山口選手、全試合を終えて(11月23日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト
今村選手(11月23日、対韓国代表戦)【フォート・キシモト】 鈴木キャプテン(左)と山口選手、全試合を終えて(11月23日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】

開始1分、幸先よく冨田選手がトライを決め、7-0でリード。しかし今日の女子7人制日本代表は、ペナルティを多くとられます。ディフェンスで繰り返す反則、じわじわ後ろに下げられ、前半3分、そして前半6分とトライを奪われ、7-14で前半を折り返します。
後半開始、経験豊富な岡田選手、山口選手の活躍で、最初に得点したのは日本代表。加藤選手がトライ、コンバージョンゴールも決まり、14-14の同点。試合はふりだしに。しかし、後半4分。準決勝進出を決めるトライを奪ったのは、香港代表でした。
最終スコア、14-19。
まぎれもない、敗戦。ここで、女子7人制日本代表のメダル獲得の道は途絶えてしまいました。
「選手はベストを尽くしましたが、敗戦という結果は真摯に受け止めて、残りの試合で一戦一戦最高の試合をみせたい」(黒岩ヘッドコーチ)

そして、気持ちを切り替えて臨んだインド代表戦。結果は8トライを奪い46-0で快勝。
「ここまで、自分のチームで与えられている役割である、トライを取ること、ディフェンスを引き付けるということができていなかった。だからやってやるぜ、と思ってプレーしました。」(インド戦で2トライの田中選手)
女子7人制日本代表の最終戦は、5-6位決定戦、対シンガポール代表戦。奇しくも大会初戦の相手と同じです。
「一人ひとりの進化を見せて。最後の集大成、一番いいところを、出そう」(黒岩ヘッドコーチ)
「私たちは、この試合から始まりだと思う」(鈴木主将)
前半序盤はこう着したものの、山口選手が前半で3トライを挙げ、初戦では19-12の勝利だったシンガポールを相手に、31-0で女子日本代表が圧倒しました。

築城選手(11月23日、対韓国代表戦)【フォート・キシモト】 山口選手(11月23日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】
築城選手(11月23日、対韓国代表戦)【フォート・キシモト】 山口選手(11月23日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】

「まずはたくさんのご声援とご支援をいただきありがとうございました。皆様のおかげで、このような貴重な大会に参加でき、そこでいい経験を積むことができました。結果については、期待に沿うことができませんでした。しかしその中でも、大舞台で三樹選手を始め高校生が将来性を感じさせる活躍をし、トライアウト組の藤崎選手も、この大きな大会でトライを決めたことは、トライアウトの可能性も十分示すことができ、収穫だったと思います。これからはアジア5位という結果を、まぎれもなく自分たちの実力であると真摯に受け止め、次のステップに向け、しっかり反省して、つなげていきたいと思います」(黒岩ヘッドコーチ)

「この大会を通じて、現状の女子7人制日本代表、そして、自分自身の実力を知ることができました。接戦を競り勝てるように、もっと試合経験を積み、自信を持って戦えるようにしたいです。個人的には、キックの精度を上げていかなくてはいけないと思いました。この結果をしっかりと受け止め、練習していきたいと思います。今回、応援して頂いた皆さんに感謝申し上げたいと思います。引き続き、女子ラグビーへのご声援、よろしくお願いいたします」(鈴木主将)

女子7人制日本代表、歴史的なアジア競技大会第1回目の成績は、5位という結果でした。

今村選手(11月23日、対韓国代表戦)【フォート・キシモト】
今村選手(11月23日、対韓国代表戦)【フォート・キシモト】

一方、前回大会チャンピオンの男子7人制日本代表。しかし、今回の大会に臨む気持ちは挑戦者。金メダルを獲るために、選手たちの気持ちは絆で、ひとつになります。

初戦のインド戦、「入りで受けるな」(宇薄主将)、「後半に相手が動けなくなるまで徹底的にやってやろう」(築城選手)
インド代表は実績実力では格下。しかし日本代表は7人制ラグビーの怖さを味わいます。
インドのペースで試合が運ばれ、先制トライ後、日本代表は自らのミスで、次の得点が奪えません。前半終了間際、インドにトライを取られ、5-5での折り返し。
後半、途中出場の今村の連続トライで何とか差を広げ、終わってスコアだけをみれば24-5の勝利。準決勝へ駒を進めます。アップセットの起こり得る7人制ラグビーの難しさと、悪い流れを自ら断ち切ることができる今回の日本代表の底力が垣間見えた試合となりました。

続いての準決勝。相手は韓国代表。前回大会の決勝を争った、強豪です。
前半は14-5、そして後半最初に今日2つ目のトライを築城が決めると、21-5、このままさらに追加点を重ねていくのでは…そのような状況から一転、後半3分に簡単にディフェンスのほころびから一つトライを返されると、1分もたたないうちに、連続でトライを献上。残り3分、ワンチャンスで逆転可能な21-15まで追い上げられます。後半6分、和田選手が突き放すトライを決め、ようやく一安心。28-15で決勝に進出です。

決勝の相手は、もう一つの準決勝、地元大声援を味方にする中国対香港の勝者と。この試合は14分で決着がつかず、ゴールデンポイント方式の延長戦に。その激戦を制したのは、香港代表でした。
決勝のカードは日本代表対香港代表。プール戦で勝利している相手ですが、マレーシア・シンガポール遠征で2連敗を喫している日本代表にとっては、2連勝でリベンジをする絶好の機会です。

このチームで戦う最後の試合、そして金メダルをかけた決勝戦。試合前のウォーミングアップから、熱がこもります。試合直前には「体を張ろう、刺さろう、絶対、やってやろう」(宇薄主将)。
そしてついに、アジアNO.1をかけた試合がキックオフしました。

長友選手(11月23日、決勝、対香港代表戦)【フォート・キシモト】
長友選手(11月23日、決勝、対香港代表戦)【フォート・キシモト】

前半は日本代表のペース。2分築城、4分、10分和田がトライを重ね、香港代表の反撃を1トライに抑え、21-7で前半を終えます。ただ、これまで体を張ってチームを引っ張ってきた、宇薄主将が前半3分で交替する予想外の状況。しかし、チームは動揺することなくこれまで通りの試合運びを見せます。
後半が始まり、先手は香港代表。ペナルティから隙をつかれ、ディフェンスの間を走りきられます。これで1トライ1ゴール差の21-14に。その後も香港代表が攻める時間帯が続きますが、日本代表はチームスローガンに掲げる「ハードディフェンス」で執拗なタックルでアタックを止め続けます。ライン際を走られあわやのところを、和田が外に押し出しトライを防ぎ、7点差を死守します。しかし、後半3分、その果敢で激しいタックルがゆえに、築城のタックルが相手選手を宙に浮かしてしまい、危険なタックルという判定。しかも、退場処分となるレッドカード。試合時間はまだ6分を残し、日本代表に試練が訪れます。一人少なくなった直後、数的優位を生かして香港代表がトライ。ゴールも決まり、21-21の同点となります。

「まったく動揺していない、というわけではありませんでしたが、ボールをキープして、時間を有効に使って戦おうということを、選手全員が理解してプレーできていたと思います」(仙波選手)
香港代表トライ後、ここから日本代表チームが一丸となった攻撃が始まります。一人ひとりが仕掛けて前に出て、マイボールをしっかりキープしながらボールを動かし続け、じわりじわりと敵陣に入り込んでいきます。ボールをキープすること、約2分、ラックから長友選手がボールを持ち出し、ついにトライ。一人少ない状況ながら、日本代表が勝ち越しを決めます。その後、必死のディフェンス、香港代表のペナルティにも助けられながら時間は刻一刻とタイムアップの10分へカウントダウン。そして試合終了のホーンが鳴った後に、フリーキックの反則を得た日本代表は、正面選手が外に蹴り出し、ノーサイド。長い長い後半残り6分を耐え忍びながら、攻める姿勢を見せ続けた日本代表が、ついにアジアNO.1、連覇を成し遂げました。

試合終了後の円陣では、選手たちの目にもスタッフの目にも涙が。優勝することを絶対の目標に掲げ、しかし、決して簡単ではないアジア各国との試合の数々、そして決勝でのまさかの退場。絆の力ですべてに打ち勝ってきた男子7人制日本代表は、それぞれの重圧から解放され、金メダル獲得の喜びにようやく浸ることができました。
「前半早々に負傷退場してしまい、皆に申し訳なかった。でも、絆を信じ、それが一本につながった結果勝つことができたのだと思います」(宇薄主将)
「このチームで良かった。チームの絆が一つになったことで、力が最大限に発揮された。選手6人になってからも、誇りを持って戦った選手たちに心から感謝します」(村田監督)

最後に、選手みんなの待ち合わせ場所だった表彰台の一番上で、全員が笑顔で金メダルを手にした広州アジア競技大会。この優勝は、選手自身のためだけではなく、これからの日本ラグビーのためにも、大きな足跡を残す結果ではないでしょうか。
アジアで勝ち続ける難しさ、アジアで勝つことの厳しさ、今回の男女7人制ラグビー日本代表の経験が、この先のさらなる飛躍につながることでしょう。

最後に、本大会で日本代表がアジア競技大会を戦うにあたり、サポートしてくださった関係者、ご家族、関わる全ての皆様、そして現地広州にて、トヨタ自動車の大原氏を始め、慣れない土地での活動を全面バックアップしてくださった皆様、まことにありがとうございました。心から御礼を申し上げます。

決勝で香港に勝ち、金メダルを獲得。男子7人制日本代表
決勝で香港に勝ち、金メダルを獲得。男子7人制日本代表

 

喜びにわく男子7人制日本代表【フォート・キシモト】
喜びにわく男子7人制日本代表【フォート・キシモト】

 

金メダルを手に。男子7人制日本代表
金メダルを手に。男子7人制日本代表【フォート・キシモト】

 

スタッフもいっしょに。男子7人制日本代表【フォート・キシモト】
スタッフもいっしょに。男子7人制日本代表【フォート・キシモト】

 

男女の代表選手・スタッフそろって。【フォート・キシモト】
男女の代表選手・スタッフそろって。【フォート・キシモト】

 

●11月22日(月)

アジア競技大会、ラグビー競技の2日目を迎えました。

22日、男子7人制日本代表は3試合。女子は2試合のうち1試合は、強豪、そしてアジアの壁として打ち破らなければならない、カザフスタン代表戦が控えます。

2日目の第1試合となった男子日本代表。「初戦が一番大事。チーム一丸となって戦おう」(村田監督)
マレーシア代表を相手に4トライ、0点に抑えて快勝。続くタイ代表戦も終わってみれば33-5の勝利でしたが、シンビンを取られる場面も。
そしていよいよ迎えた香港戦。マレーシア・シンガポール遠征で2連敗を喫した相手に、選手たちの気持ちも高まります。

ボールへの執念。山内選手(11月21日、対モンゴル代表戦)
ボールへの執念。山内選手(11月21日、対モンゴル代表戦)【フォート・キシモト】

強い思いは、気負いとなることなく、プレーに力強さをもたらします。まずは1分過ぎに、力強い走りで今村選手が先制のトライ。そして前半終了間際、前がぽっかり空いたところを、和田選手が今大会チーム最多タイ(北川選手と同数)となる4トライ目をあげ、前半を折り返します。後半も、築城選手、今村選手の今日二本目のトライで追加得点。相手の反撃も1トライで、24-7で快勝です。
「リーグ戦を1位で通過できたことはよかったです。香港代表にリベンジできたのは、チームが一つになった結果だと思います。明日はトーナメントなので油断はできません。気を抜かなければ負けることはない。ひたむきに、謙虚にやっていきたいと思います」(宇薄選手)
常に意識してきた、一戦必勝、金メダル獲得。残すところ、あと3試合。最強の男子7人制メンバーのアジアNO.1のプレーをぜひご覧ください。

女子7人制日本代表は、2日目の初戦はインド代表。
開始早々、山口選手の独走トライで流れにのるかと思われましたが、前半はその後横山選手のトライのみで、12-0でハーフタイムに。
しかし後半は4トライ。トライアウト加入組、元バレーボーラーの藤崎選手も人への強さを見せ、2トライをあげました。36-0、想定通りの勝利です。
そして、いよいよ予選プールのターゲット。カザフスタン代表戦。
「決勝のこと、明日のことは考えなくていい。ここで見せよう、このために、ここに来たんだ」(黒岩ヘッドコーチ)
「たくさんのタックル、コンタクトで苦しいかもしれないけど、あきらめないで楽しもう」(鈴木彩香主将)
皆の気持ちが集中します。

そしていよいよ、キックオフ。スタートから女子日本代表は、果敢に前へ。そして今大会初先発の鈴木彩香主将が自ら仕掛け、トライ。日本代表が先制します。そのまま前半終了なるかと思われましたが、カザフスタンにも1トライ献上し、7-7、勝負はふりだしに戻ります。
流れは良好。選手の気迫もみなぎります。しかし後半に入ると
「後半は、スペースが詰まってしまい、コンタクトプレーが多くなってしまいました。それに、ここぞのラストパスがつながらなくて…」(鈴木彩香主将)
ほしかった後半最初の得点を、カザフスタンに許します。その後も、大きくて強いカザフスタン相手に、スピードと低いタックルで応酬しますが、じわりと差を広げられる、2トライ目。そして、そのままノーサイド。
結果は7-21の敗戦。

「勝てる相手と感触をえながら、フィジカルの差で負けてしまうのは…悔しいです。このチームはポテンシャルがあるけど、なかなか発揮できていないもどかしさはあります。しかしカザフスタン戦まで、一つのチームとして仕上がってきたこのチームですから、明日につなげていきます」(鈴木彩香主将)
最終的に、カザフスタンからの勝利は手にすることができませんでしたが、本当の勝負は明日の決勝トーナメント。中国、カザフスタン、タイと今年苦杯をなめてきた各国を倒し、メダルを獲得するために、桜の乙女たちがもう一度、チャレンジします。

ボールへの執念。山内選手(11月21日、対モンゴル代表戦)
チームを引っ張ります。鈴木主将(11月21日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】

男子女子ともに、明日が最終日であり、最終決戦となります。
メダル獲得だけが最終目標ではありませんが、メダルを手にすることで、選手たちにも、ラグビー界にも大きな経験と、自信と、それ以上の何かがもたらされるはずです。
日本ラグビーの代表として戦っていることを十分自覚している選手たちには、多くの人の代表として戦う責任がありますが、それを果たしたあとの喜びも待っています。
どうか日本のファンの皆様の、たくさんのご声援をよろしくお願いいたします。
女子の決勝戦は日本時間、18時48分から、男子は19時18分のキックオフ予定です。

バレーボールから転向、女子7人制日本代表の座をつかんだ藤崎選手(インド戦で2トライ)
「大観衆の中でプレーできて楽しかったです。外でもらって走ってトライする、まだできていませんが、ハイボールをタップしてマイボールにする…自分に与えられた役割です。これからは技術を覚えて、人を生かすプレーを覚えていきたいです」

【代表選手に訊きました】山内貴之選手
山内貴之選手

トップリーグの強豪、トヨタ自動車ヴェルブリッツで社会人1年目からほぼレギュラーでリーグ戦出場、今年は7人制日本代表、そして日本A代表と着々と存在感を増し始めている山内貴之選手。

「正直、この7人制日本代表に来る前は、アジア大会を意識したことはないです。でも、今選手村で過ごしていて、規模に驚きましたし、今は実感することができます。1億3000万分の7ですから、やるからにはてっぺん獲りたいですね。それにアジアで負けてはいけない責任を感じます。

今まで、『1番』を味わったことがないんですよね…高校も県で2位、大学は大学選手権でベスト4、トヨタ自動車では昨年日本選手権での準優勝…一度は、味わいたいですよね。
金メダルはほしいですが、メダルを獲ったからと言って、自分が変わることはないと思います。関東大学リーグ戦で優勝した時に言われたのですが、優勝したから偉くなるわけではない、謙虚でいなさい、と。自分は自分、肩書は後からついてきますよ。

このチームは人数が少ないので一体感を感じます。皆が大人で、自分は最年少ですが、練習中など言いたい意見を、言い合える。そしてプレーも一流。あとみんな足が速くて速くて、ついていくのが精いっぱいですよ(笑)。
だから自分ができることをやりたい。ハードディフェンスでしつこく絡んだり。あとは、周りを生かすプレーも、得意な方です。トライにつながるプレー、トライの前に『あの、トライの前に山内のプレーがあったね』って言われたいです。名わき役でいいんです」

チームの最年少、去年から今年へかけて成長著しい山内選手。名バイプレーヤーが、主役となって表彰台のてっぺんに立つ姿、どうぞご期待ください。

 

【代表選手に訊きました】渡邉洸太郎選手
渡邉洸太郎選手

渡邉洸太郎。まだまだラグビーファンにも馴染みのない名前かもしれません。しかし彼は言わずと知れたトップリーグ強豪チーム、三洋電機ワイルドナイツ所属。そしてまぎれもなく、7人制日本代表の一員です。

「アジア大会は、大きなチャンスだと思っています。シンガポール・マレーシア遠征もチャンスだと思っていました。追加招集ですが、こんな大舞台でプレーできることを、楽しみたいと思います。
7人制は、バックスがやるもんだな…と思ってました。でも大学時代に村田監督に声をかけてもらい、今回も、選んでもらった。だから自分の持っているものを、全部出し切りたい。

まだ、トップリーグの公式戦には出場していません。だから、こんなトップリーグのトップクラスの選手たちと一緒にプレーすること自体、少しプレッシャーです(笑)。でも、それを楽しみたいですね。それに、今後のためにも、7人制で身に付けるパススキルなどは15人制にも生きるはずです。
自分の役割は、スピードを生かして縦に入っていく動き。仕掛けたところに、縦に入る。そして激しさを試合で見せたい。FWとしてそこが仕事だと思っています。
国内の話ですが、昨年の日本選手権で、チームが優勝した時、この舞台に立てたら気持ちいいだろうな、ここに立ちたいな、試合に出たい、と思いました。もちろん今は金メダルを獲りたい、というのが一番ですが、7人制で吸収したものや、得た自信を生かして、トップリーグでも活躍したいですね」

山内選手と同じくチームの最年少、今回の7人制日本代表の中で最長身。唯一所属チームでFWを務める選手として参加している渡邉選手。
今回のアジア大会は渡邉選手にとって、これからの飛躍の第一歩になるに違いありません。羽ばたく渡邉選手のプレーに、どうぞご注目ください。

 

【代表選手に訊きました】長友泰憲選手
長友泰憲選手

この男子7人制日本代表チームに、遠征前一番最後に合流することになった、長友泰憲選手。チームに参加するまで時間がかかったことに、もどかしさを感じていたそうです。

「早く、7人制日本代表チームに合流したいと思っていました。しかし、足のコンディションがあまり思わしくなく、ぎりぎりのタイミングになってしまいました…。アジア大会は、機会があれば出たいと思っていました。今回7人制日本代表に来てくれ、と言われて、人生でも1度あるかないかのチャンスなので、是が非でも出場したいと思っていました。しかし、今回のように出遅れてしまい、もどかしさもありましたし、また、いきなり来た選手ですから、納得いかない選手もいるのでは…という不安もありました。でも、慣れない7人制のプレーについて同期(宇薄主将、和田選手)を中心に、他の選手が教えてくれたりして、違和感なくチームに溶け込むことができています。最終的には、この場にいることができて嬉しく思っていますし、楽しくプレーできています。

金メダルは、正直取ってみなければどうなるかわかりませんが、応援してくれている周囲の皆さんが期待してくれていますし、是非、獲りたい。
ウィングの選手としてはディフェンスに行けるし、下にタックルに入っていくタイプ。あとは倒れないプレーが自分の得意なところでしょうか。自分は言葉が出る方ではないので、プレーでしっかり示していきたいですね」

今回のチームは、予選プールで登録選手がすべて出場。どの選手がグラウンドに出ても、最高水準のプレーができる…それが今の男子7人制日本代表の強みのひとつ。もっとも遅いチーム合流ですが、「普段でも、7人制の話をよくしていました」(サントリーサンゴリアスのチームメイト・成田選手)と、7人制へのこだわり、愛着を強く持つ長友選手。チームの絆が、日本代表と金メダルを結びつけてくれるはずです。

 

●11月21日(日)
宇薄主将
宇薄主将

初日、初戦、1勝目。

男女7人制日本代表のアジア競技大会が、いよいよ開幕。金メダルを目指す両チームが、それぞれのスタートを踏み出しました。

まず、試合会場に現れたのは男子7人制日本代表。試合が行われるグラウンドの、トラックのタータン部分でウォーミングアップが行われましたが、そこから見えるスタンドは予想外の人、人、人。3万7千人入るというスタジアムの7割程度が埋まり、地元観客の声援と熱気に包まれていました。
選手たちはその状況をプラスに転じ、自らのテンションをあげていきます。

「この雰囲気を、楽しもう」(築城選手)と初戦に向けて、徐々に気持ちを高める選手たち。
「実力差は分かっていた」(村田監督)という相手に、前半1分30秒の和田選手のトライを皮切りに、結果9トライで圧勝。パスの精度、そして気持ちが先に走るがゆえの、受け手のポジショニングで微妙なずれが見受けられたりもしましたが、そこは試合を重ねていくごとに修正可能。まだまだ個人技で取りきる場面も多いですが、「12人トータルで戦う」(村田監督)途上として、初戦のモンゴル戦はまずまずのスタートだったのではないでしょうか。

この日3トライのハットトリック、北川選手(11月21日、対モンゴル代表戦) チーム最年長、仙波選手(11月21日、対モンゴル代表戦)
この日3トライのハットトリック、北川選手(11月21日、対モンゴル代表戦)【フォート・キシモト】 チーム最年長、仙波選手(11月21日、対モンゴル代表戦)【フォート・キシモト】

続いて、ライバルのタイ代表対香港代表戦、そして男子の応援をした後、ウォーミングアップに向かった女子日本代表。これほどの観客の中でプレーする機会は、なかなかありません。
直近のシンガポールクリケットセブンズで、14-0で勝利した相手。そして主将の鈴木彩香やベテランの岡田選手を温存した、遠征時と同じメンバーで試合に臨みます。
「若い選手が経験する場だったけど、緊張してしまっていました」(鈴木主将)
0-0の均衡を破ったのは、シンガポール代表。まさかの先制に、嫌な空気が流れます。
しかし、前半6分その流れを引き戻したのは、現役高校生の三樹選手。ハンドリングミスで浮いた球を確保すると、約70mを独走。追いすがるシンガポール代表をハンドオフなどで振りほどき、トライ。自らコンバージョンゴールも決め、前半を7-7で折り返します。

後半早々日本代表は、オーストラリア・シドニー代表でもある山口選手を投入。さらに3分には鈴木主将もグラウンドへ。そしてその直後、山口選手がトライを決め、勝ち越し。岡田選手もグラウンドインし、その後冨田選手がトライして追加点。終了まで粘るシンガポールの反撃を1トライに抑え、19-12で勝利しました。
経験豊富な三人が存在感を示した試合。しかし他の選手もこの大きな舞台に立ち、勝利をつかんだことは、一つの自信となるでしょう。

豪州留学から合流、山口選手(11月21日、対シンガポール代表戦) 左:鈴木主将とトライを決めた右:三樹選手(11月21日、対シンガポール代表戦)
豪州留学から合流、山口選手(11月21日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】 左:鈴木主将とトライを決めた右:三樹選手(11月21日、対シンガポール代表戦)【フォート・キシモト】

明日は男子は1日3試合。最終戦はここ最近2連敗している香港代表が相手となります。一方、女子代表は明日2試合。プール戦の最重要ターゲット、カザフスタン戦が2試合目に控えています。
7人制の厳しさにさらされる大会2日目。明日も勝利の報告ができるよう、選手スタッフ一丸となって、頑張りたいと思います。ご声援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

本日3トライ、北川智規選手
「緊張しましたね。あの場面はトライを取って当たり前です。このチームの最終目標は金メダル。絶対獲って帰ります」

独走トライ、三樹加奈選手
「試合中ずっと緊張しました。前見れば、走れる(スペースがある)とアドバイスされていました。どのような場面だったか…がむしゃらにやっていたので、あまり覚えていません」

【代表選手に訊きました】北川智規選手
北川智規選手

トップリーグで3年連続トライ王。文句なしに7人制日本代表に必要なランナー。速くて、取りきれるトライゲッター。北川智規選手は、前回大会を体調不良により直前で参加辞退をしている。

「7人制日本代表は、学生のころから、候補などで呼んでいただいて、その後社会人になってから、初めて『日本代表』という立場を味あわせてくれたところです。
4年前のアジア大会は、出発前、着用するものを採寸したり、準備していたのに、直前でスーツケースを目の前から取り上げられ、大会に参加することができませんでした…。
今回のチームは、これまでで一番強いチーム。個人的には、4年前は行けばいい、走ればいい…という軽い考えでしたが、今はトップリーグも経験して、ディフェンスもやらなければならない、ブレイクダウンのところもしっかり争わなければならないなど、仕事が増えています。しかし、人数が少ない分、やりがいもあります。

金メダルはほしいですね。職場(三洋電機)の朝礼で持って帰ってくる、って約束しちゃいましたから(笑)。
金メダルを獲るって機会を与えられることは、とても少ない。それを狙えるところに呼んでくれたのが嬉しいし、チーム自体、優勝できる力を持っています。獲るしかありません。7人制はトライをとるのが簡単そうに見えるけど、難しい。まず、どのチームも足の速い選手が揃っています。でも、自分に求められているのは、トライ。スピードが出そうなグラウンドですし、1試合1つのトライ、7トライできたら…キックオフから一発でトライを取ると、チームはのってくるので、それが理想です」

実はトライだけではなく、コンバージョンゴールなどキックも得意な北川選手。所属チームでキッカーを務める機会はないが、『高校の時に距離50mくらいのゴールを入れたりしてました』というほど。マレーシア・シンガポール遠征でも高い確率でゴールを決めている北川選手が、今大会でどれだけトライを量産し、得点を記録するか、期待です。

 

【代表選手に訊きました】今村雄太選手
成田秀悦選手

和田選手と同様、15人制日本代表のシリーズを終えて、7人制日本代表に合流した今村雄太選手。高校3年生で7人制強化合宿に参加し、大学1年生時には7人制日本代表に。その後15人制日本代表にも選ばれ、少し7人制からは遠ざかっていた。

「最初に7人制代表に入ったころは、15人制と違うので、やりにくく、いいイメージを持っていませんでした。でも今は、単純に楽しい。広いスペースができるので、ボールを持って勝負できて、自由にできるのが、楽しいですね。自分の強みはスピード。そこに強さも加えていきたい。
今回のアジア大会は、前回チャンピオンでもありますし、個人的にも金メダルを獲りたい。2大会連続で金を獲ることができれば、ラグビー自体が盛り上がるでしょうし、7人制ラグビーも盛り上がると思います。そして、この経験は自分の成長につながると思うので。

チームは、15人制の代表よりもこちらのほうが明るいですね。人数が少ないので仲も良いし、楽しい雰囲気。気持ちの切り替えがスムーズなので、練習にもしっかり入っていける。自分は周りが騒いでいるのを脇で聞いて、楽しんでいます(笑)。

個人的には、チームが苦しい状態の時に、強いプレーで相手を崩して流れを自分たちに持ってくるようなプレーをしたいと考えています。練習、毎試合やってきたことを出すだけです。目の前の試合に集中して、最終的に金メダルを獲れるように。7人制自体が好きなので、アピールして、スキルもメンタルもプレーヤーとして一回り伸びていきたいと思ってます。
一番好きなプレーですか?…ボールを持って走る時。ステップを切って相手を抜く時。とにかく走り抜けている時、気持ちいいです」

まさに寡黙という言葉がぴったりな今村選手。しかしチームと一緒にいるときにこぼれる笑顔はこのチームでのラグビーを楽しんでいる様子。
試合ではスピードと、力のある突進で、チームを支えます。苦しい時に頼れる選手が、金メダルを手繰り寄せます。

 

井上選手 岡田選手 加藤選手
井上選手 岡田選手 加藤選手

 

川野選手 鈴木彩香選手 鈴木実沙紀選手
川野選手 鈴木彩香選手 鈴木実沙紀選手

 

田中選手 冨田選手 藤崎選手
田中選手 冨田選手 藤崎選手

 

三樹選手 山口選手 横山選手
三樹選手 山口選手 横山選手