6月18~20日、岡山県美作ラグビー・サッカー場において、平成22年度U17中国ブロック講習会が行われましたので報告いたします。

◇6月18日(金)のスケジュール

19:00 選手受付
19:30 開講式
20:00 ファンクショナルテスト
21:00 スタッフミーティング

  上野 普及・競技力向上委員長の話
上野 普及・競技力向上委員長の話

選手受付が終了し、開講式の前にコーチングスタッフのプレミーティングが行われました。そこでは、日本協会のスタッフから、「今年度の講習会は、これまでのような日本協会主導による講習会ではない」、「ブロックコーチが直接、指導に携わり(練習の立案・計画・指導など)、選手を指導していく講習会である」、「コーチ主導の指導の中で日本協会のスタッフと綿密に連携をとりながら、選手・コーチともに成長していく充実した講習会にして欲しい」という今回の講習会の趣旨説明がなされ、コーチングスタッフ一同は、より一層、気持ちが引き締まりました。

21時から行われたスタッフミーティングでは、プレミーティングでの言葉通り、各コーチが、ブロック強化のために「自分たちの強みは?」、「強みを活かすためにはどのような練習が必要なのか?」などについて、お互いに意見をぶつけ合い、長時間、熱心な議論を交わしました。
また、熱が入ったのはコーチだけではなく、選手達も開講式後に行われたファンクショナルテストで、コーチングスタッフからの「全力を出し切れ!」の言葉通り、全力で真剣に取り組む姿勢が見られ、順調な滑り出しで、講習会の初日を終えました。

◇6月19日(土)のスケジュール

6:30 起床・散歩
7:00 朝食
9:00 W-up
9:30 フィットネステスト
10:30 セッション(1)
・片足サイドタックル
・ピラーディフェンス
11:30 C-down
12:15 昼食・休憩
13:00 選手に向けての中竹CDからの話
14:00 W-up
14:15 セブンミニッツテスト
14:40 セッション(2)
・ピラーディフェンス
・グリッドを使ったディフェンス確認(8vs8)
・ポジション別練習
17:00 C-down
18:30 夕食
19:30 ミーティング(選手)
19:45 ミーティング(コーチ)
・中竹CD「日本スタイルと一貫指導体制」
・青野S&Cコーチ「S&Cについて」
23:00 消灯(選手)
スタッフミーティング(コーチ)

前日に降っていた雨も止み、天候にも恵まれた状態で2日目を迎えました。ウォーミングアップを終え、選手たちはフィットネステストにチャレンジ。昨日のファンクショナルテスト同様、それぞれの測定において全力を出し切る姿が見られ、順調なスタートを切ったかのように見えました。しかし、午前中のセッションが進むにつれ、各セッションで担当コーチを決めてしまったことが裏目に出て、セッションの担当コーチ以外が消極的になってしまい、練習のサポートをする場面があまり見られず、サポートしていても、コーチ同士のコミュニケーションが不足していたため(お互いに遠慮している部分も見えました)、統一した指導やアドバイスができないなど、だんだんとコーチングの問題点が浮き彫りになってきました。

ファンクショナルテストで柔軟性を測る   コミュニケーションを目的としたウォーミングアップ
ファンクショナルテストで柔軟性を測る コミュニケーションを目的としたウォーミングアップ

午前のセッション終了後、すぐさまスタッフミーティングが開かれ、日本協会のスタッフから、指導時に感じていた「コーチ陣のコミュニケーション不足」のほかに、「選手同士のコミュニケーション不足」、「コーチ陣の配置の不手際」、「講習会のビジョン不足」などのコーチングに対する厳しい指摘を受けました。このように、午前のセッションでは改めてコーチングの難しさを思い知らされる形となりましたが、スタッフは残されたセッションに向けて課題を修正しようと、昼食を取りながらもミーティングを行い、午後のセッションに向けて議論を交わしました。

セレクションマッチでのラインアウトの争奪  
セレクションマッチでのラインアウトの争奪

午後のセッションに入り、短い時間ながらも課題を修正しようと、練習の合間にチームトーク(選手間での話し合いの場)やコーチトーク(練習中のコーチング修正の場)を積極的に取り入れ、中身の濃い練習になるようにと試行錯誤を繰り返しながら練習を進め、中竹CDから「否定的な発言(『ダメだ』とか『~するな』など)が多いので、たとえ相手に抜かれてもいいから、1つのことができたらきちんと褒めてあげた方がいい」というアドバイスを、さらには松尾RCからは「練習のポイントを明確にして、そのポイントごとにコーチを配置して的確な指導を行えばもっと良い練習になると思う」というアドバイスが。その後すぐにコーチトークを行い、実際に指導してみると、コーチ陣から積極的な声が出だし、練習の後半には選手の動きもだんだんと修正され、こちらがイメージしていた動きをしてくれるようになってきました。「さぁ、これから!」というところで、セッションの終了時刻になってしまいましたが、コーチ陣にとっては、午前の失敗を乗り越え、成長の兆しが見えた午後のセッションとなりました。

夕食を済ませ、選手のミーティングが終了した後、コーチミーティングが行われました。このミーティングでは、中竹CDから「日本スタイルと一貫指導体制」というテーマで、グループディスカッションを交えながら、ユース代表を含めたJAPANの現状分析やJAPANスタイルの構築などについての講習を受けました。また青野S&Cコーチからも「S&C」についての講習を受け、S&Cの重要性を改めて感じました。最後にもう一度、中竹CDから話があり、「試合があればゲーム分析をするはず。だったら練習があったらトレーニング分析もするべきだ。コーチは、練習の環境が指導ポイントに対してベストだったか?を常に考えなければならない」。今日の失敗を経験したスタッフにはこの言葉が大きく胸に突き刺さりました。コーチミーティング終了後、すぐにスタッフミーティングを開始しましたが、意見は出るものの、何となくお互いに遠慮しあっていたような初日の様子から、意見をぶつけ合いその中からよりよいものをみんなが納得して選んでいくという風に、ミーティングにも変化が感じられました。

ショートサイドディフェンスを繰り返し行った
ショートサイドディフェンスを繰り返し行った

◇6月20日(日)のスケジュール

6:30 起床・散歩
7:00 朝食
9:00 W-up
9:30 セッション(3)
・ピラーディフェンス
・グリッドを使ったディフェンス確認(8vs8)
・チーム練習
10:30 C-down
11:00 昼食
12:00 チーム別練習
12:50 セレクションマッチ(25分×2本)
14:00 閉講式

練習の成果がセレクションマッチで発揮  
練習の成果がセレクションマッチで発揮

前夜のミーティングで変化が見られたように、すべてに変化が見られはじめた最終日でした。ウォーミングアップから積極的に声を出し、選手を盛り上げ始めたコーチ陣。「共通認識」を持てたことで、選手への指導も的確になり、練習が引き締まったものになってきました。選手たちもコーチに盛り上げられることで、今度はだんだんと選手主導で動き出すようになってきました。時折、日本協会のスタッフからの細かいアドバイスを受け、チームトークやコーチトークを交えながら練習が進み、セッションを終えるころには、コーチ・選手ともに、練習に対する取り組みが見違えるように変わっていることがわかりました。午後のセレクションマッチにおいても、選手たちは「はやく、低く、激しく、走り勝つ」を意識し、「激しいタックル」と「はやく前に出るディフェンス」を見せてくれました。

閉講式には激しい豪雨に見舞われましたが、参加したスタッフおよび選手の顔にはすがすがしさを感じ取ることができました。

最後に、今回の講習会では、コーチは「No learn. No coach!」の意識を、選手は「No learn. No play!」の意識を持って練習に取り組むことが、お互いのスキルを高め、成長させていくということを学ぶことができ、非常に充実した講習会であったと思います。