TOTO セブンズアカデミー

5月29日、30日の二日間(集合は28日)、茨城県龍ヶ崎市の流通経済大学にて、第3回のセブンズアカデミーが開催されました。
「セブンズアカデミー」とは、ラグビーワールドカップ2019日本開催決定、2016年五輪にて7人制ラグビーが実施競技に正式決定したことを受け、ジュニア、ユース世代(小学生~高校生)から世界と戦える可能性を秘めたタレントを発掘し、育成・強化に取り組む活動として始まった事業であり、世界基準の「識別」プログラム。第3回となった今回のアカデミーは、女子のみの参加で24名が参加。今回男子については、男子7人制代表と共に活動する機会を設けるために、別の日程で開催を予定しています。

女子はユース、コルツ、福岡県タレント発掘事業かが中高校生が14名、U23女子7人制代表らも10名が参加しました。

第3回「セブンズアカデミー」開催リポート   第3回「セブンズアカデミー」開催リポート
反応を意識したトレーニング 体幹トレーニング

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体幹トレーニング 小粥先生

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お手伝い頂いた流経大トレーナーチームのみなさん コンタクトトレーニング前のウォーミングアップ

汗ばむ陽気から一転、季節が逆戻りしたような寒さと曇り空。2日間にわたるセブンズアカデミーは、流通経済大学の体育館でのコーディネーショントレーニングから開始しました。講師として流通経済大学の小粥先生の指導の下、ゴムボール等を使いながら身体のバランス・体幹を意識したトレーニングが行われました。

続いて、グラウンドに移り実践的な練習へ。今回の合宿にはスポットコーチとしてケリーコーチを中心としたプログラムが実施されました。ケリーコーチは、15人制、7人制の元女子カナダ代表であり、2006年の女子ワールドカップではキャプテンとしてもチームを牽引。イングランドでのプレー経験や、指導者としてもオーストラリアのクラブチーム、カナダ代表などを指導し、プレーヤーとしてもコーチとしても実績があります。

第3回「セブンズアカデミー」開催リポート   第3回「セブンズアカデミー」開催リポート
タックルのポイントを解説 ケリースポットコーチ(左)と、通訳する岸田女子委員会委員長

2日間の合宿で、ケリーコーチがこだわったのは、選手同士のコミュニケーション。ウォーミングアップでは、声を出し、お互いのコミュニケーションを取り合うことを何度も選手たちに伝えます。基本スキルを押さえながら、少しずつ変化が加わるウォーミングアップ練習に、選手たちは最初戸惑いながらも、少しずつケリーコーチの声に反応し、適応しながら身体を動かします。「7人制ではコミュニケーションが大切よ!」コーチの声がグラウンドに響きます。

一日目は膝下に入る「低いタックル」の基本スキルを落とし込みながら、身体をぶつけ合うタックル練習を中心に行われました。午前と午後の間には、恒例、頭のトレーニングとして、練習後の疲労に関する座学も実施。

一日目の午前中には、男子7人制村田監督も訪れ、自らタックルの台を務めたり、ハーフ団を呼び集め、自らの経験を少し「伝授」。選手たちには貴重な機会となりました。

「コミュニケーションをとっていくに従い、皆さんの動きがレベルアップしていました。時間には限りがあります。ひとつひとつのプレーを大事に練習してください」(村田監督)との言葉が選手たちに贈られていました。

午前の練習後は流通経済大学の山田先生より、疲労回復についてレクチャーが行われ、特に2日間にかけて何試合ものゲームを行うセブンズでは疲労回復・コンディショニングの維持は非常に重要であると話があり、選手も真剣に耳を傾けていました。

その夜のミーティングでは、ケリーコーチが用意した五輪に向けたモチベーションVTRが披露され、「ラグビーは10%のスキルと90%のメンタルです。何千、何万人という人が五輪を目指していますが、あなたたちは他国の同年代の選手たちと比べても遜色はありません。五輪までの6年間、もっと厳しくもっとトレーニングをしてください。自分たちを信じてください」(ケリーコーチ)と五輪を目指す、選手たちへ「心構え」について語っていただきました。また、この機会にケリーコーチの現役時代の映像も選手たちに公開。その06年のワールドカップのレビューVTRに選手たちはじっと目を凝らしていました。

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教わった内容を確かめながら タックルは膝下に

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男子7人制・村田監督 村田監督も自ら台に

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コミュニケーションが大事です ハーフ団に男子7人制村田監督から直々に指導

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次々に飽きさせない練習 小さくなって…一体感を

第3回「セブンズアカデミー」開催リポート
映像を真剣に見つめる選手たち

そして2日目は朝8時半から体力測定を実施。短距離走のタイム測定と、フィットネスレベルを計るための「ビープテスト」も行われました。

2日間とはいえ、前日もタックルを中心に体を当てあい、ケリーコーチによる、これまであまり経験のなかった練習に対応してきた選手たちにも少し、疲労感が見えます。

しかし、自分に納得のいかない選手の中には悔し涙を見せる姿もあり、アカデミーにかける選手たちの気持ちが伝わってきます。

一日目にも、U23の日本代表として活躍している選手の中からは、代表としての意識が足りないと自分たちを律する厳しい声も聞かれ、ケリーコーチによる苦しくも斬新で楽しい練習の中に、時折緊張感も漂います。

そして、あっという間に今回のセブンズアカデミーのグラウンドでのプログラムは終了。最後に、ケリーコーチからは

「皆さんには才能があります。五輪の出場、活躍に期待しています。雨でも、凍えるくらい寒い日も、言い訳をしないで、練習に励んでください。今度皆さんにお会いするときは、私は日本語で指導しますね」

女子選手にとって、大変貴重な指導と機会、そして自分たちを信じ、五輪を目指すという気持ちを大切する…と様々な影響を与えてくれたケリーコーチには、改めてこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

最後に、今回のアカデミー閉校式の前に選手たちは2日間、お世話になった流通経済大学の宿舎「自彊館」の掃除を行い、今回のレポートを各自提出。

閉校式では黒岩コーチより、締めの挨拶。

「今回の練習で、同じ注意を何回か受けていました。一つ一つのプレーに、五輪に出るんだ、中国に勝つんだという意識を持っていましたか? そのような意識を持って、練習してください。昨夜のケリーコーチのメッセージにもあった、『信じる』ということには、『イメージする』という意味もこめられていると思います。五輪に代表選手として出場すること、そういったこともイメージして、意識を持って、次回のアカデミーに参加してください」

今回のアカデミー開催に伴い、ご尽力いただきました関係各位、選手、保護者の皆さん、まことにありがとうございました。そして、会場協力としてプログラム検討の段階からの協力、またこのような立派な施設を提供頂いた流通経済大学のスタッフの皆様、学校関係者、ラグビー部、トレーナー部門の皆様、お手伝いの学生の皆さん、その他各位へも、感謝申し上げます。ありがとうございました。

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密度の濃い練習の疲労に的確なケアも 学んだことはノートに

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黒岩コーチとロシア帰りの岩渕ハイパフォーマンスマネージャー エアラグビー!ボールを持たなくてもまずはイメージから

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体力測定 60m走 フィットネスの数値を計ります、ビープテスト

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バランスボールを使って体幹を意識 チャレンジ バランスをとりながらパスの練習

◎参加者の声


初参加の受講生から

藤崎朱里さん
「大学時代からラグビーには興味がありました。ラグビーは、難しい。単純そうで奥深い。ボールも楕円で転がり方など想像ができませんでした。(7人制が)五輪競技になり、ラグビーでも世界を見ることができるので、挑戦を決めました」

(09-10シーズン終了まで、バレーボールのV・チャレンジリーグに所属する日立佐和リヴァーレで主将を務め活躍。同リーグ09-10シーズンのリーグMVPにも輝く)

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Kellyコーチから選手たちへ最後のコメント 吉岡コーチとKellyコーチ

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注目度も上がります 取材に応える田中選手 落ち着いた受け答え 鈴木彩香選手

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少し緊張気味の冨田選手

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最後にこの2日間のレポートを仕上げます 閉校式 黒岩コーチから「信じる」こと

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自彊館