11月22日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター、陸上トレーニング場にて、第1回のセブンズアカデミーが開催されました。
「セブンズアカデミー」とは、ラグビーワールドカップ2019日本開催決定、2016年五輪にて7人制ラグビーが実施競技に正式決定したことを受け、ジュニア、ユース世代(小学生~高校生)から世界と戦える可能性を秘めたタレントを発掘し、育成・強化に取り組む活動として始まった事業であり、世界基準の「識別」プログラムとなります。そして、このアカデミーは今後も継続実施されます。

第1回となった今アカデミーには、男女62名が参加。今回の受講者は、男子U17日本代表からの選抜メンバー、また各カテゴリー(中学校、ラグビースクールなど)、各地域からの選抜、推薦を受けた選手たち17名。女子は小中高校生のユース世代を中心に45名が参加しました。このメンバーの中には、ラグビー未経験者も含む、いわてスーパーキッズ発掘事業プロジェクト(男子1名)、福岡県タレント発掘事業(男子5名女子5名)の受講者の方々にも参加いただきました。

※女子については、関東ユースの練習に合わせ開催。スケジュール都合により、東北・九州地区のユース選手、及び福岡県タレント発掘事業の受講生が今回参加。

開会式   左から矢部理事・会計役、カーワンヘッドコーチ、太田GM、上野・競技力向上委員長   山本寛・選手発掘総括マネージャー   前女子日本代表主将 アンジェラ・エルティング選手   福岡県タレント発掘事業からも参加者   女子日本代表 浅見コーチから説明
開会式 左から矢部理事・会計役、カーワンヘッドコーチ、太田GM、上野・競技力向上委員長 山本寛・選手発掘総括マネージャー 前女子日本代表主将 アンジェラ・エルティング選手 福岡県タレント発掘事業からも参加者 女子日本代表 浅見コーチから説明

あいにくの曇り空。足元からも寒さが這い上がってくる天候でしたが、参加者の皆さんは元気いっぱい。
一日の開始を告げる10時の開会式では、日本ラグビー協会 矢部達三理事・会計役より
「このような機会を持てたことは日本ラグビー協会としても、非常に嬉しいこと。皆さん、頑張ってください。そしてラグビーを愛する人は皆、仲間です。皆さん、帰る頃にはいい友達になってください」

また、競技力向上委員会、上野裕一委員長から
「皆さんは、我々の夢です。日本のラグビーを変えてほしい。大きな夢を見てください。皆さんにはチャンスがあります。頑張ってください」
さらには、前日の21日にカナダ代表戦2連勝を飾った、日本代表のジョン・カーワンヘッドコーチからもメッセージ。
「私たちには、夢があります。今ここにいるあなたたちが、私たちの夢です。イメージしてください。これを金メダルに。それが我々の夢です。しかし夢を手にするには努力しなければなりません。そして夢を描くことが大事です。今日がこのスタート。私が若いときには、ワールドカップが夢でした。夢を叶えることは、充分可能です。頑張りましょう」

カーワンヘッドコーチからメッセージ   7人制日本代表 村田監督を囲む男子参加者   まずはウォーミングアップ   説明に耳を傾けます   基本スキルから   ラグビーは楽しく!
カーワンヘッドコーチからメッセージ 7人制日本代表 村田監督を囲む男子参加者 まずはウォーミングアップ 説明に耳を傾けます 基本スキルから ラグビーは楽しく!

開会式の後、さっそく男子と女子に分かれ合同練習を開始。男子は、スリランカセブンズ、東アジア競技会へ向けた遠征前の、7人制日本代表の選手と一緒にウォーミングアップ。タッチラグビーなどで汗を流します。
女子は、前女子日本代表主将、アンジェラ・エルティング選手も参加し、基本スキルの練習を行いました。

昼食をはさみ、グラウンド上だけではなく、頭のトレーニングも。
栄養学、アンチ・ドーピングなどの「アスリート」として知っておかなければならないこと。そしてオリンピックを目指す選手としての心構えなど、短い時間でしたが大事な要素が凝縮した講義が行われました。

そして、16時からはもう一度トレーニング場に飛び出て、いよいよ適性テストを実施。やはりグラウンド上が一番、参加者の皆さんが躍動します。
女子は、4組に分かれ、「パス」、「ジグザグ走」、「2人対1人」及び「1人対1人」の抜き合いを行いました。
一方男子は、7人制日本代表村田亙監督が、自らリードしてのボールを使った適性テスト、及び、7人制日本代表も再度加わっての、タッチラグビーで実戦形式のテストが行われました。

村田監督も積極参加   横山選手からアドバイス   取材を受ける中田選手   福岡県タレント発掘事業から参加、冨永選手   栄養士の山田優香氏による栄養講義   頭のトレーニングも大切です
村田監督も積極参加 横山選手からアドバイス 取材を受ける中田選手 福岡県タレント発掘事業から参加、冨永選手 栄養士の山田優香氏による栄養講義 頭のトレーニングも大切です

適性テスト終了後、男子参加者を集めた円陣では、次のような話がありました。
「びっくりするほどレベルが高かった。7人制日本代表にとっても、いい刺激になりました」(村田監督)
「一緒にプレーした、彼ら(7人制日本代表)は7人制でアジアNO.1です。でもこのメンバーは皆さんの憧れではなく、皆さんが将来『この位置』にいなければならないと思ってください」(日本ラグビー協会 岩渕健輔ハイパフォーマンスマネージャー)
「皆さんレベルが高くて驚きました。早くこちら(日本代表)に来てもらって、一緒にプレーしましょう」(7人制日本代表 和田選手[トヨタ自動車ヴェルブリッツ])

一方、参加者からは、次のような声が寄せられました。
「15人制でも活かせる練習もあり、とても勉強になりました」(茗溪学園中学校・大芝選手)
「もっと早い動き、展開をしなければならないと感じました。まずは高校日本一が目標ですが、頑張ります」(東福岡高校・布巻選手)

すっかり暗くなったところで、第1回のセブンズアカデミーは終了。
「皆さんは原石です。ここに集まったメンバーが中心となって世界を獲りにいきましょう」(村田監督)
「まわりの皆さんに感謝しながら、ラグビーをしていきましょう。皆さん、必ず夢をかなえてください」(女子ラグビー連盟 浅見コーチ)
最後に、今回のアカデミーの責任者でもある、日本ラグビー協会 山本寛選手発掘総括マネージャーより。
「皆さん、お疲れさまでした。今日の内容については皆さんにフィードバックします。2月上旬に、第2回を予定しています。皆さんと、また次に会えることを期待しています。最後に、保護者及び関係者、サポートを頂いた流通経済大学ラグビー部、並びにトレーナーチームの皆さん、ありがとうございました」

アンチドーピング機構、小野先生による講義   いよいよ適性テストです   ジグザグ走スタート前、緊張の一瞬   福岡タレント発掘事業、左から加藤君、奥君、羽根君
アンチドーピング機構、小野先生による講義 いよいよ適性テストです ジグザグ走スタート前、緊張の一瞬 福岡タレント発掘事業、左から加藤君、奥君、羽根君

セブンズアカデミーは、今後も継続実施され、未来のタレント発掘・育成・強化を目指し活動していきます。
今回のアカデミー開催に伴い、ご尽力いただきました関係各位、選手、保護者の皆さん、まことにありがとうございました。そして、会場協力としてプログラム検討の段階からの協力、またこのような立派な施設を提供頂いた味の素ナショナルトレーニングセンター、国立スポーツ科学センター各位へも、感謝申し上げます。


参加者の声


福岡県タレント発掘事業 受講生から( )内は学年・現在プレーしている競技

奥 大成君(中学校1年生・柔道初段)

「パスや接触プレーなど、普段経験できないことを体験できました。これからまた機会があれば、ぜひ参加してみたいです」

羽根 幸四郎君(中学校1年生・サッカー)
「ボールを前に投げられないので難しかった。戻りを早くしないといけなかった。今回は、ラグビーが自分に合っているのか確かめに来ました」

加藤 匠朔君(中学校2年生・野球)
「ラグビーならではの、楽しさがありました。適性があるのであれば、今後もやってみたい」

冨永 美虹衣さん(中学校1年・テニス、フェンシング)
「走るのが好きです(100m走 小学生6年時 福岡県1位)。オリンピックに出たい、金メダルを取りたいという気持ちが強いです。ラグビーは走ったり、パスしたり、チームプレーに魅力を感じました」


女子選手 受講生から


中田 妃星さん(高校2年生・八戸レディース)
「小学校2年生からラグビーを始めました。一番好きなプレーはタックル。プレースタイルは、侍バツベイ選手にあこがれています!今日は楽しく、勉強になりました。学校では柔道をしていますが(11月の青森県の新人大会で、県大会優勝!)ラグビーを続け、ラグビーでオリンピックに出たいです」

桜井綾乃さん(中学校1年生・高崎ラグビークラブ)
「今はスクラムハーフがポジションです。トップリーグでは、もちろん群馬の三洋電機ワイルドナイツを応援しています。今日は『オリンピック』という言葉もあって、緊張しました。今まで実感はなかったけど、今回のアカデミーに参加してオリンピックというものが、近づいた感じがします」

荒井梨香さん(小学校6年生・横濱ラグビーアカデミー)
「主にタグラグビーを放課後などにやっています。今日はお姉さんたちに優しく教えてもらって、楽しくできました。オフェンスはタグラグビーに似ているけど、ディフェンスは難しかったです。オリンピックにラグビーで出たいです。家族とも出られたらいいねと話をしています」

男子7人制参加者

布巻峻介選手(東福岡高校2年・7人制日本代表練習生)
「まずは花園(全国高校大会優勝)が目標ですが、今日のように勉強して、日本代表として、オリンピックには出たい。7人制日本代表の合宿にも参加しましたが、今回は同世代がいてコミュニケーションがとりやすかった。『オリンピック』はひとつひとつの積み重ねがあった上で、あるものだと思います。日本代表はゴールではなく、日本代表になってから、世界を倒したい」