競技規則につきまして、ワールドラグビーよりこのほど、下記の通りルーリングに関する通達が出されました。日本協会でもこれを受け、ここに通知いたします。各都道府県協会、および、各チームに周知徹底いただけますようよろしくお願い申し上げます。
記
要請
フランスラグビー協会(FFR)を代表して、ボールがタッチになった際に、相手チームにクイックスローの可能性がある場合における、プレーヤーのオフサイドについて、競技規則の明確化を正式に依頼する。
競技と試合の流動性の観点から、ボールがタッチになった時点でオフサイドの位置にいるプレーヤーについては、たとえ相手チームによるクイックスローが行われる可能性がある場合においても、引き続きオフサイドとみなされるべきと我々は考えている。
しかしながら、これまでに受け取ったさまざまな回答はいずれも、この解釈を明確に支持するものではなかったため、ワールドラグビーからの公式な文書による明確な見解を求めたい。
明確化の要請
下記の映像において、2 つの事例を提示し、以下の 3 点について確認をお願いしたい。
質問1. 【映像 1】キッカーより前方に位置するオフサイドのプレーヤーが、レシーバーから 10 メートル以上離れている状態で、ボールがタッチになって、相手チームにクイックスローの可能性がある場合、オフサイドのプレーヤーが後退した際、どの時点でオンサイドに戻ったとみなされるのか?
質問2. 【映像 2】キッカーより前方に位置するオフサイドのプレーヤーがレシーバーから 10 メートル未満の距離にいる状態で、ボールがタッチになって、相手チームにクイックスローの可能性がある場合、オフサイドのプレーヤーが後退した際、どの時点でオンサイドに戻ったとみなされるのか?
質問3. 最後に、「後退する動き」の正確な定義について、ご教示いただきたい。
※ 映像は下記リンクからご覧いただけます(音声はフランス語のみとなります)
https://passport.world.rugby/laws-of-the-game/law-clarifications/2025/clarification-3-2025/
競技規則の当該条文
競技規則 第 10 条: オープンプレーにおけるオフサイドとオンサイド
競技規則 第 18 条: タッチ、クイックスロー、および、ラインアウト
ラグビーコミッティーの指定メンバーによるルーリング:
ボールがデッドとなるのは、ボールがタッチ、または、タッチインゴールになった場合(競技規則 6.9)、あるいは、プレーがタッチラインに至った場合(競技規則第 18 条原則)である。競技規則第 10 条は、「競技は競技区域内のオンサイドの位置にいるプレーヤーのみでプレーする」と定めている。
ボールがデッドとなる前の段階では、競技規則 10.4 a、b、c により、キッカーより前方に位置するオフサイドのプレーヤーは、自陣のデッドボールライン方向へ後退しなければならず、プレーを妨げてはらならず(妨害してはならず)、ボールに向かって動いてはならない。さらに、ボールが地面に落ちた地点から 10 メートル以内にいる場合には、「ただちに後退すること」(いわゆる 10 メートル規則)とされている。
よって、キッカーより前方に位置するプレーヤーは、ボールがプレーされている限り、自陣のデッドボールラインに向かって積極的に後退していなければならない。
ボールがタッチになったと判断された場合(アシスタントレフリーが旗を上げた場合、または、レフリーが笛を吹いた場合)、その時点でボールはデッドとなり、オープンプレーは終了する。
現行の競技規則には、「ボールがデッドの状態にあるときにプレーヤーがオフサイドとなる」と定める条項は存在しない。
以下、各質問に対する回答である。
【質問 1 および質問 2】
丸で囲まれているオフサイドプレーヤーは、ボールがタッチになったと判断されデッドとなった時点で、オンサイドに戻っている。両プレーヤーともボールがキックされた時点からボールがデッドになるまでの間、それぞれ競技規則第 10 条の該当要件を遵守していた。
ボールが地面に落ちた地点から 10 メートル以内にいるオフサイドのプレーヤーについては、競技規則10.4(c)において「ただちに後退すること」が求められており、ここには即時性の要素が含まれる。映像においては、当該プレーヤーはこの要件を満たしていたと判断される。
【質問 3】
プレーヤーが自陣のデッドボールライン方向へ後退している場合、「後退している」と見なされる。ただし、たとえ正しい方向に動いていたとしても、ボールの方向に向かう動きとならないよう十分注意しなければならない。
ボールがタッチに出た際、投入するチームには選択肢があり、ラインアウトで再開するか、クイックスローを試みることができる。その判断は、相手チームの位置など目の前にあるすべての情報を踏まえて行われるべきである。
■通達対象:加盟協会、競技運営関係者、加盟チーム
■文書作成:日本ラグビーフットボール協会 国際室・ハイパフォーマンス部門
■本件についてのお問い合わせ先:
公財)日本ラグビーフットボール協会
ハイパフォーマンス部門 審判グループ(referee@rugby-japan.or.jp)
以上