今期で5期目を迎えたラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)。今回は21名が参加し、2025年8~12月まで6回にわたり研修が開催されました。これまでも「ラグビー」をキーワードに、国内外で活躍している様々な分野の方々が講師を務めてきましたが、今期も多士済々の顔ぶれが参加しました。

研修は真夏の福岡でスタート。8月6日~8日、男女代表チームも合宿で使用する福岡市のJAPAN BASEで2泊3日にわたって行われました。
初回の大事なミッションは、ラグビー界が掲げる5つのコアバリューに加え、5期生独自の「6つ目」のコアバリューとルールを定めること。研修初日、参加者は5グループに分かれて話しあい、それぞれに発表。全員での選考を経てコアバリューは「継続」、ルールは「5期生らしく、ジャッカルする!!」に決まりました。
初回の研修ではJRFUについての講義や、「JAPAN BASEの活用方法」のグループワーク、キャリア講義、同宿の男子セブンズ日本代表選手およびスタッフへのインタビュー、さらにはワールドラグビーが誰でも楽しめるラグビーとして、普及を進めている「T1ラグビー」をグラウンドで実践。ラグビー経験者も未経験者も楽しめるT1ラグビーで友好を深めました。



第2回オンライン講義は8月23日。
イングランドで行われる女子ワールドカップ(W杯)の初戦直前とあって、テーマは「女子ラグビー」。長年、現場で女子ラグビーの強化に携わってきた宮﨑 善幸さん、元女子日本代表・岸田 則子さんと冨田 真紀子さんが登場。宮﨑さんからは事前に「①必ず質問を考えてくること・②人生で成し遂げたいこと」の課題が出され、参加者との会話が弾みました。
日本の女子ラグビーの黎明期を支えた岸田さん、フランスのクラブでもプレーした冨田さんのトークセッションも、女子ラグビーについての知見を深める貴重な時間となりました。

第3回オンライン講義は、9月27日。
前半は、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップの際、機運醸成に大きな役割を果たした「丸の内15丁目プロジェクト」の仕掛け人である三菱地所株式会社・田中 史康さんが登場。同社の理念とラグビーの5つのコアバリューとの親和性が高いことから発足した同プロジェクト。それまで日本では一般の人に馴染みのなかったラグビーをどうやって盛り上げていったのか、緻密な分析や仕掛けなど、裏方として携わった当事者の話は、参加者の興味を引くものでした。


第3回の後半講義には、車いすラグビーで選手・コーチとして活躍された三阪 洋行さんも登場。現在は、日本パラリンピック委員会委員長を務める三阪さん。自身がプレーした車いすラグビーだけでなく、視覚に障がいのある方がプレーするブラインドラグビーに関する話から始まり、「皆さんの思う障がいとは何ですか?」という問いかけに、普段あまり意識することのなかったスポーツの価値観について考える時間となりました。最後には、「自分の価値観にとらわれないこと」「目的地への道は一つではないこと」「自分の限界を決めないこと」など、三阪さんから参加者に向けたメッセージがあり、これから人生を切り開いていく参加者にとって心強い道しるべでもありました。


10月18日開催の第4回オンライン講義から、一気に海の外へ広がりを見せました。
前半はJICAでモンゴルに派遣され、ラグビー普及に努めている竹下 恋さんが登場。慣れないモンゴル語を駆使して「ラグビー」という単語すら知らない現地の若者に、現在進行形でラグビーを普及させている竹下さんの話は、臨場感と熱気にあふれるものでした。
後半は竹下さんを通じてモンゴルの学生たちとオンラインで友好を深めました。交流には、日本協会が2024年度から始めたアジアのユースリーダー育成プログラム「RUCK‘ed」のインド参加者も加わり、新たな試みも見られました。


11月22日の第5回オンライン講義のテーマは「世界を広げる」。前回の交流を踏まえ、大きなチャレンジの回でした。
第1部はサクラフィフティーンでラグビーワールドカップ2021に出場後、イングランドのチームで現役を続けながら、日英の女子ラグビーの架け橋として奮闘中の玉井 希絵さんが講師。NZで開催されたW杯に参加した際、イングランドの選手と話をしたのがきっかけで、単身挑戦を決意。自ら売り込みのメールを各チームに送ってチャンスをつかんだ玉井さんの情熱と抜群のトークに参加者全員が聞き入っていました。
第2部では、世界のラグビー界で活躍する先輩たちとの交流セッションが実施されました。今回は、イングランド協会初の女性会長・Deborah Griffinさん、アフリカ地域の女子ラグビー普及責任者・Paulina Lancoさん、シンガポール協会理事兼女子責任者・Angelina Liuさん、ワールドラグビーハイパフォーマンスコーディネーター・Fionnuala Morrisさんと、そうそうたるメンバーにご参加いただきました。参加者はインタビュー希望者ごとに分かれ、事前に質問を準備して、英語でのインタビューに臨みました。いずれの方々も高校生たちの質問に真摯に耳を傾け、わかりやすい英語で応じてくれました。世界各地から時差も様々な中、日本の若者のために時間を作ってくれたゲストたち。ラグビーは世界を繋ぐツールであることをあらためて実感した回でもありました。


第6回の最終研修は、12月6日~7日に東京で開催されました。8月の初回に続いての集合研修には参加者全員が顔を揃えました。
最初の講義は、株式会社ゴールドウイン カンタベリー事業部 事業グループの森岡 早紀さん。森岡さんは前年度にも講義を行い、参加者から大きな反響がありました。去年の講義で、参加者に多くの印象を残した言葉は「自分の好きを因数分解する」。なぜ自分はそれが好きなのか。ではどうやって関わっていたいのか…。そうやって細かく分解することで、進むべき道を見つけていきます。森岡さんは「起きることには全て意味がある」とも。バレリーナを目指し、ケガで断念したことも、振り返れば意味があり、今につながっていたことでした。好きなことはあっても、どうやって進路や職業に繋げていくのか模索している高校生にとって、少し先を歩く森岡さんの言葉は、とても参考になるものでした。

続いて、日本聴覚障がい者ラグビーフットボール連盟理事である大塚 貴之さんの講義では、初の試みとして、公募で選ばれた一般の参加者も受講。講義後は一緒にグループワークをするなど、世代を超えた交流も実施できました。

1日目の講義を終え宿舎に戻った後は、REP初となる参加者主導の「アフターマッチファンクション」も実施。企画を考え、軽食を食べながらリラックスした時間を過ごしました。

研修2日目の最後は「未来をつくる、未来のわたし」をテーマに全員が3分間のスピーチ。
それぞれがREPで学んだこと、そして将来の夢を皆の前で語り、最後に(公財)日本ラグビーフットボール協会・普及育成委員長の西機 真から修了証を受け取りました。

今期は修了証をもらった後にも、素晴らしいプログラムが用意されていました。早明戦の会場である国立競技場に開始前に入場。ロッカールームを見学し、両校の主務やOBの方に体験談を聞くことができました。将来はラグビーチームのマネジャーを志望している参加者も多く、現場を自分の目で見る絶好の機会となりました。

2025年度のREPは終了しましたが、一部の参加者は12月末の全国ジュニア大会や翌年2月のT1ラグビー体験会にもサポートスタッフとして参加。これからもREP5期生としてラグビーに携わっていきます。

[参加者の声]
●REPで学んだこと
「挑戦することのハードルがかなり下がった。まずはやってみよう、と思えるようになり、失敗することへの恐怖がかなり小さくなった」
「自分の将来、ラグビーを軸に働きたいとはっきり思えたことと、忘れかけていたラグビーの楽しさを再び感じることができて、将来のビジョンをはっきりさせられたこと」
「受け身で学ぶのではなく、自分から行動し、積極的に関わることの大切さを学びました。自ら発言し挑戦することで学びが深まり、周囲との関係性も広がったと感じています」
「自分の考えに間違いはなく、DIVEし自分の考えを発信することで成長していくと感じた。ラグビーは他のスポーツよりも人と人とを繋げる力が強いと感じたので、ここで出会った仲間との縁をこれからも大切にしたい」
「様々なインタビューや講義を通して、事前の下調べの重要さを学びました。下調べをすることでただ話を聞くよりも、相手のことについてより深く理解できると共に、奥深い質問もすることができました。また福岡での集合研修ではなかなか出来なかったDIVEにも、後半になるにつれて積極的にできるようになったところに自分自身の成長を感じました」
■第6回・修了式レポート
https://minnaderugby.jp/news/21189/
■第5回レポート
https://minnaderugby.jp/news/21192/
■第4回レポート
https://minnaderugby.jp/news/21191/
■第3回レポート
https://minnaderugby.jp/news/21045/
■第2回レポート
https://minnaderugby.jp/news/20928/
■第1回レポート
https://minnaderugby.jp/news/20911/
■2025年度「ラグビー・エンパワメント・プロジェクト」参加者決定のお知らせ
https://minnaderugby.jp/news/20720/
