ラグビーワールドカップ2027オーストラリア大会まであと1年あまり。3シーズン目を迎える「エディー・ジャパン」は、宮崎合宿に臨むラグビー日本代表35人を発表した。6月27日(土)の「リポビタンDチャレンジカップ2026 JAPAN XV vs マオリ・オールブラックス」を経て、7月4日(土)の初戦・イタリア代表戦を皮切りに、新設された「ネーションズチャンピオンシップ」で、今シーズンこそ世界ランキング上位撃破にチャレンジする。

◇3シーズン目のエディー・ジャパン。35名の桜の戦士たちが世界に挑む!
ラグビーワールドカップオーストラリア大会まであと1年あまり。いよいよ、「エディー・ジャパン」の3シーズン目を迎えるにあたり、宮崎合宿に臨むラグビー日本代表35人(FW19名、BK16名)が発表された。また同時にトレーニングスコッド22名(6月12日現在)の名も挙げられた。
今年、7月、11月に世界の強豪12チームが北半球と南半球に分かれて激突する、新設された「ネーションズチャンピオンシップ」が開幕する。日本代表は南半球側に数えられるため、北半球の強豪6チーム(イタリア、アイルランド、フランス、ウェールズ、イングランド、スコットランド)と激突し、最後に順位決定戦を行う。新たな国際大会開幕を前に、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHCも興奮を隠せない。

(メンバー発表会見に臨むジョーンズHCと永友チームディレクター)
「今回のメンバー発表は、日本ラグビーにとって100年の節目という非常に大きな意味を持ちます。日本ラグビーは100年をかけて、『ティア1』(=現ハイパフォーマンスユニオン。世界の強豪のおよそ10チーム)の大会に参加するところまで来ました。今大会の私たちの目標は、大会の中で最も競争力のあるチームになること、そして日本の皆さんが見たいと思うチームになることです」(ジョーンズHC)
エディー・ジャパン3シーズン目となり、指揮官は「今のラグビーゲームは、トランジション(攻守の切り替え)が多くなっています。ストラクチャーが崩れた場面で、選手たちが一緒に働くことが、より重要になっています。アンストラクチャーな局面になった時に、選手同士がどのように連動するのか。どこにスペースがあるのかを理解し、すぐに、小さなユニットを作って戦っていく必要があります。だからこそ、私たちは『共に』働くことを強調したい」と説明した。
もちろん「超速ラグビー」はチームの根幹であり、今シーズンも貫く方針だ。 「『超速ラグビー』とは、テンポを持ってプレーすることです。テンポとは何か。試合を速くするチャンスがある時には速くする。逆に、自分たちでスピードを落とし、スローな展開にしなければならない時にはスローにする。つまり、自分たちでテンポをコントロールするということです。日本代表がやろうとしているラグビーを実現するためには、テンポの理解、試合の流れの理解が非常に重要です」(ジョーンズHC)
◇ノンキャップは10人。1年後のW杯に向けて選手層を厚くする!
2026年の日本代表35名のうち、「通常、トップ23に入ってくるような選手が(コンディション不良などで)10人ほど不在です。その一方で、新たにキャップを得る可能性のある選手たちが入った」とジョーンズHCが指摘した通り、ノンキャップは10人(うち大学生が3人)とやや多くなった。ただ、逆に考えれば、1年後のワールドカップに向けて、より選手層を厚くすることができるチャンスとも言えよう。
FWの0キャップは19人中4人となった。第1列はU23日本代表から昇格した左PR大塚壮二郎 (関西学院大学4年)と、右PRイジー・ソード(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が初の代表入りだ。若手の2人は将来性を買われての選出だ。
さらに、今年、新たに日本代表資格を得たLOマイケル・ストーバーグ(東芝ブレイブルーパス東京)と、チームではLOを務めるFLエセイ・ハアンガナも加わった。身長2mを越えるストーバーグは空中戦にさらなる強みを加え、ハードキャリーが持ち味のハアンガナは「6番(左FL)として起用する」方針だという。欧州の強豪と戦うために、「(昨年に続いて今年も)キャプテンの有力候補」(ジョーンズHC)だというLOワーナー・ディアンズや現在94キャップのNO8リーチ マイケル(ともにブレイブルーパス)を筆頭に、充実したバックファイブの布陣となりそうだ。
BKは16名中6人が0キャップとなった。特に「超速ラグビー」のテンポをコントロールするハーフ団(SHとSOの総称)に新たな顔ぶれが加わった。
SHは、今シーズンまでフランスのスタッド・トゥールーザンでプレーしていたSH齋藤直人は健在で、中軸となろう。ただSH藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)のコンディション不良の影響もあり、若き3人が選出された。コベルコ神戸スティーラーズの優勝に貢献したSH上村樹輝、三重ホンダヒートで出色のプレーを見せていたSH北條拓郎、U23日本代表と日本選抜で大きな存在感を見せていたSH渡邊晴斗(近畿大学4年)だ。世界的名将は「4人はトップクラスのSHです」と高く評価している。

(U23日本代表として豪州遠征で活躍し、日本選抜戦でも存在感を見せたSH渡邊)
続いてSOだ。昨年、11試合で10番を背負ったSO李承信は、手術予定で、復帰まで時間がかかる見込み。そこで10番として招集したのは、昨年初キャップを得たSO/FB小村真也(トヨタヴェルブリッツ)と、4月のU23日本代表の遠征と、5月の日本選抜戦と6試合連続で司令塔を務めたSO伊藤龍之介(明治大学4年)の2人だ。FB松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)もSOとしてプレー可能だが、小村と伊藤を競わせる方針のようだ。

(U23日本代表から、6試合連続の先発となったSO明治大学4年の伊藤)
さらにバックスリー(WTB、FBの総称)には、神戸スティーラーズの優勝に寄与したフィジカルランナーのWTBイノケ・ブルア&今シーズンのリーグワンでアーリーエントリーながら14試合で11トライを挙げたFB上ノ坊駿介の2人が新たに日本代表入り。「新人賞」を受賞したFB上ノ坊は、その勢いのままにスターダムにのし上がることができるか。
◇マオリ・オールブラックス戦ではニューヒーローの出現に期待大!
7月4日、日本代表(世界ランキング12位)は「ネーションズチャンピオンシップ」の初戦、東京・秩父宮ラグビー場でイタリア代表(同10位)と相まみえる。
その前に、日本代表35名のうちリーグワンのトップ4以外の選手を中心とした12名と、トレーニングスコッド22名の計34名で、「JAPAN XV」を編成し、6月27日(土)、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で、マオリ・オールブラックスと対戦する。
ニュージーランドの先住民であるマオリの血を引いている選手たちで構成されるマオリ・オールブラックスはスーパーラグビー・パシフィックで活躍している選手を中心に、オールブラックスに選ばれる手前の若手の才能ある選手が選ばれるケースもあり、伝統的にアンストラクチャーからの攻撃を武器とするチームだ。
ジョーンズHCは直接指揮を執ることはないが、マオリ・オールブラックス戦では、「私たちが今後プレーしていきたいゲームスタイルを試す場になります。より運動量があり、速く動くチームを相手に、自分たちのスタイルがどれだけ通用するかを見たい。もう一つは、若い選手たちが、非常にレベルの高い相手とプレーする絶好の機会になるということです」と話した。
この試合はテストマッチではないが、今シーズンのエディー・ジャパンの実質的な初戦であり、3シーズン目の「超速ラグビー」を見せる絶好の舞台だ。また7月のテストマッチ(4日イタリア代表戦、18日フランス代表戦)に向けてコーチ陣に対して若き選手を中心に〝誰が手を挙げるのか〟が大いに注目される。

(去年のマオリ・オールブラックス戦でキャリーするSOグリーン)

(去年のマオリ・オールブラックス戦でトライを挙げるWTB植田)
ノンキャップも多い日本代表選手たちは、日本代表に選ばれた実力をしっかり見せたい。またトレーニングスコッドの22名は、大きなアピールをして日本代表に昇格を果たしたいところ。マオリ・オールブラックス戦ではニューヒーローの出現に大いに期待したい。
◇新設された国際大会の初戦はイタリア代表戦。8年ぶり白星なるか
7月4日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、ラグビー日本代表はいよいよ「ネーションズチャンピオンシップ」の初戦・イタリア代表を迎える。
青いジャージーから「アッズーリ(Azzurri 、イタリア語で青の意)」と呼ばれるイタリア代表は、現在、欧州6カ国の中で、もっとも勢いのあるチームだ。伝統的にセットプレー、守備に強みを見せていたチームだが、近年はBKの展開力にも長けている。2年前の7月にも日本代表はホームで対戦し14-42と敗れた(通算成績は日本代表の2勝7敗)。
(2年前のイタリア代表戦でトライを挙げるCTBライリー)
それでもジョーンズHCは「イタリア代表がボールを持っていない時のワークレートは、世界中のどのチームよりも高い。その結果、世界ランキングも急速に上がっています。彼らに勝つためには、ボールを持っていないところで、上回らなければならない。オフ・ザ・ボールの仕事量を非常に高いレベルにする必要があります。その努力を出すことができれば勝つチャンスは十分にある」と意気込んだ。
◇3シーズン目の今季こそ〝ブレイクスルー〟を起こす!
ジョーンズHCが就任して3シーズン目、日本代表は自分たちよりランキング上位のチームに勝利したことはない。今シーズンこそ、2013年にウェールズ代表から歴史的白星を挙げたような〝ブレイクスルー〟を巻き起こしたい。
それは世界的名将も十二分に承知している。ジョーンズHCは「私たちのチャレンジは、トップテーブルにいることに満足するのではなく、トップテーブルで〝勝つ〟ことです。日本ラグビー100年の歴史の中で、ティア1の国に勝ったのは7回だけです。13年半に1回という計算です。私たちの仕事は、そのレベルで勝てることを示すことです。そのためには、日本らしくプレーしなければなりません。(ハーフ団を中心に)『超速ラグビー』で、いつテンポを上げるのか、いつテンポを落とすのかを理解すること。そして、これまでどのチームもやったことがないようなディフェンスをすることができれば、世界のトップレベルで勝つことができる。そうすれば、もう一度、私たちは世界の他の国々に希望を与えることができる」と、まっすぐに前を向いた。
1年後にワールドカップを控えた今シーズン、「ブレイブブロッサムズ」が再び、世界のラグビーシーンに大きなインパクトを与えることができるか。
マオリ・オールブラックス戦で、若きスコッドを中心に深化した「超速ラグビー」を見せて勝利し、ホームの満員のファンの中で、「アッズーリ」から8年ぶりの白星を奪取し、大きな弾みをつけたい。
(文:斉藤健仁)



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◇リポビタンDチャレンジカップ2026
■日時:6月27日(土)19:05キックオフ
■対戦: JAPAN XV vs マオリ・オールブラックス
■会場:愛知・パロマ瑞穂スタジアム
◇ネーションズチャンピオンシップ2026
■日時:7月4日(土)17:40キックオフ
■対戦:日本代表 vs イタリア代表
■会場:東京・秩父宮ラグビー場
◇ネーションズチャンピオンシップ2026
■日時:7月18日(土)17:40キックオフ
■対戦:日本代表 vs フランス代表
■会場:東京・国立競技場