●6月10日(月)

最終日の10日は、ついに悪天候に直撃されました。練習開始から雨模様、練習が進むにつれ雨は激しさを増し、ついには滝のような大雨に。視界を妨げる程の状況でした。
しかし、その悪天候をものともせず、今回のアカデミーの締めくくりである「フェーズ・オプション」のセッションも、薫田CDの緻密な指導の下スピーディーに進んでゆきました。

アカデミーの朝はコアトレーニングで始まる
アカデミーの朝はコアトレーニングで始まる

本日も、まずはコアトレーニングで始まりました。しつこいぐらいに徹底することで、選手たちにその重要性を理解させます。
その後、基本的なフェーズドリルが行われた後、昨日選手たち自身で考えた基本的なオプションを使い、フェーズプレーでのキーポイントを意識してセッションが行われました。昨日薫田CDから指摘されたキーポイントとしては、

  • ボールが出る前に如何に動きディフェンスのゲートを開けるか
  • そして、その開いたゲートに対し誰がどのように攻めて行くか
  • 更に、そのプレーヤーに誰がどのようにサポートをするか

といったところです。そのポイントを中心に、一つ一つのプレーがチェックされ、指摘されてゆきます。はじめは効果的な動きができていなかった選手たちも、繰り返し指摘を受けながらプレーをし続けることで、徐々に精度が上がってきました。また、選手たちが「考え、気づく」機会を持つため、時折選手たち自身で話し合いをさせ、セッションについてレヴューをする時間をとります。

このような形で、大雨の中ながら、2時間のセッションは非常に充実した状況のなか終了し、今回のアカデミーのすべてのメニューが完了いたしました。

ションを使い、フェーズプレーの キーポイントを確認してゆく
前日に選手が考えたオプションを使い、フェーズプレーの キーポイントを確認してゆく

今回のアカデミーでは、3日間という短期間ということもあり、従来の測定や個別面談は行わず、コーチングを中心に行ってきました。選手たちにとっては、かなりハードだったとは思われますが、短時間に多くのもを得る機会になったのではないかと期待しています。選手を派遣いただいたチームの関係者の皆様には、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

今年度最後のATQアカデミーキャンプとなる次回は、7月の上旬に行われる予定です。詳細は別途ご報告いたします。(総務:中里)

選手たち自身でレヴューを行い、セッションの質を高めてゆく
選手たち自身でレヴューを行い、セッションの質を高めてゆく

●6月9日(日)

今日もまた、天候への心配との戦いでした。

未明に激しい雨がエアロビクスセンターを襲ったものの、朝には何とか回復し、ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、午前中のセッションが始まると途端に暗雲がたちこめ、今にも激しい雷雨が訪れそうな状況になりました。

しかし、本日自ら陣頭指揮を執る薫田コーティングディレクター(CD)は、そのようなことは意に介せず、テンポよく様々なドリルを進めてゆきます。

松田トレーナーよりコアについて分かりやすく説明がされた
松田トレーナーよりコアについて分かりやすく説明がされた

練習の冒頭、ウォーミングアップの後、昨日も何度も強調させていただいたコア(体幹)について、今回ご帯同いただいた松田トレーナーより、改めてその意味合いについて説明がありました。コアを鍛えるということは、簡単に言うと肋骨や尾てい骨のような骨でガードされていない部分(例えば腹筋など)を鍛えることにより、体を一本の幹のように固定できるようにすることといえるでしょう。これにより、あらゆる方向からの負荷に対しても体の軸がぶれなくなり、あらゆるプレーを安定させることができると言われています。松田トレーナーの分かりやすい指導の下、選手達は自分のコアの弱い部分を実感し、その強化の必要性をより深く理解できたと思われます。

「スネーク」について説明する薫田CD
「スネーク」について説明する薫田CD

「スネーク」「フォーレッグス」「ゲインライン」を意識してドリルを行う
「スネーク」「フォーレッグス」「ゲインライン」を意識してドリルを行う

その後いよいよ薫田CDのセッションが開始されました。午前中はブレークダウンを意識した、様々な基本的なスキルのドリルが行われ、その一つ一つについて、薫田CDから事細かに説明と指示が飛びます。スネーク(コンタクトしたプレーヤーに対して、サポートプレーヤーがタックルするように入り、あたかも蛇のような体勢になるサポート技術)、フォーレッグ(スネークしたサポートプレーヤーとコンタクトしたキャリアーの二人の四本の足を使ってドライブし、ゲインをとること)などの、現在ジャパンでも徹底されている基本技術のほか、コンタクトしたプレーヤーがゲインラインを切る意識を常に持つことの重要性など意識の面のキーポイントなども含め、これでもかというくらいに選手達に徹底されました。

ちょうどもうそろそろ午前中のセッションが終わろうかというとき、いよいよ雷と豪雨に襲われ、大急ぎで練習を撤収せざるを得ませんでした。その後雨は激しさを増し、嵐のような状態。これは午後のセッションは中止にせざるを得ないか・・・・とあきらめかけていたところ!! なんと! 本日の午後、合宿を見学に来てくださった、究極の晴れ男という定説をもたれる、某トップリーグチーム監督のY氏の効果により、信じられないことに午後のセッションの直前にぴたりと雨がやみ、予定通り練習を開始することができました。Y監督、本当にありがとうございました!!

午後も引き続きブレイクダウンに関する様々なシチュエーションを想定したドリルが次々と行われました。ここでは特に、ブレイクダウンでいかに相手のジャッカルを跳ね除けマイボールを確保するか、また逆にどの時ディフェンス側はどう対応するかという点について、選手たちにも意見を求めながら、緻密な説明とセッションが行われてゆきました。

後半には、かなり激しさも増して来たため、見ている我々マネジメントスタッフは、怪我を心配しひやひやものでしたが、選手たちもこれまでにない真剣さで、ぴりぴりとした雰囲気をかもし出しておりました。

この日の夜のミーティングでは、薫田CDより、明日セッションを行う予定のフェーズオプションについての基本的な考え方の説明の後、選手たちに主導権が渡され、明日のセッションで行ういくつかのオプションを選手たち自身で考え、決定されました。明日はそのオプションを使って練習が行われます。(総務:中里)

「コアの強い外国人のジャッカルを、いかに跳ね返すか?」薫田CDより説明が行われる
「コアの強い外国人のジャッカルを、いかに跳ね返すか?」薫田CDより説明が行われる

ブレイクダウンセッションが激しさを増す
ブレイクダウンセッションが激しさを増す

プールリカバリーで身も心もリラックス
プールリカバリーで身も心もリラックス

フェーズオプションについてのミーティング
フェーズオプションについてのミーティング

リコーブラックラムズ伊藤選手を中心に選手自身でオプションを決めた
リコーブラックラムズ伊藤選手を中心に選手自身でオプションを決めた

●6月8日(土)

第3回目のATQアカデミーキャンプは、千葉県日本エアロビクスセンターにて、「チーム・アタック」をテーマに本日開始されました。

初日の8日は、天候が心配される中、いつもどおり、上野競技力向上委員長による冒頭の挨拶のあと、コアスキル(キャッチ&パス、タックル、コンタクト)セッションを行いました。今回は、これまでのキャンプの最終日の選手へのフィードバックの際、モデルドリルとして個々人に提供していたコアスキルドリルのいくつかをピックアップする形で、実際にいくつかのドリルを行いながら、ポイントを説明し選手に理解を深めてもらうことを目的としてこのセッションを行いました。

コアの重要性を強調する薫田コーチングディレクター(CD)
コアの重要性を強調する薫田コーチングディレクター(CD)

ウォームアップの後、薫田コーチングディレクターより、先日のニュージーランド、オーストラリア視察の際にも痛感した、コア(体幹)の強化の大切さが選手達に説明され、実際にいくつかのコアトレーニングを選手に紹介しました。コアとは、いわゆる体の芯の強さとも言え、単に表面的な筋力でなく、インナーマッスル(体の内部の筋肉)を強化し、どんなときにでも体がぶれない為の基礎になるものです。ニュージーランドやオーストラリアなどの強豪国では、このコアがかなり重要視されており、すべてのトレーニングの中でこのコアが意識されているとのことです。逆に、日本選手においては、海外の選手と比べてかなり劣っている部分と言え、それがスクラムやコンタクトといったフィジカルなプレーだけでなく、パスなどを含めたすべてのプレーに影響している言われています。

実際にコアセッションを行い、コアの重要性を認識する
実際にコアセッションを行い、コアの重要性を認識する

いくつかのコアトレーニングを実際に試してみると、なかなかうまくバランスが取れない選手が多く、選手自身、このコアの強化の必要性を実感したようです。

その後、タックルセッションが行われ、ショートステップとパワーステップを意識したタックルの基礎ドリルから、最終的にはタックル後のボールへの働きかけ、ターンオーバーまでの一連の動きを含めたドリルまで段階的に行われました。

キャッチ&パスセッションでは、これもまた海外では現在主流となっている、「パンチパス」というパンチをする感覚でボールを押し出すようにパスし、速く、直線的にボールを目的点に到達させることを意識したパス練習をおこないました。ここでもやはり「コア」を意識することが強調され、これにより無駄な動きを極力減らすことが可能になるということが説明されました。

練習が終わるころには、ついに小雨が降り出しましたが、何とかコンディションが悪くなるまえに、初日のセッションを終了することができました。

夜のミーティングでは、薫田コーチングディレクターより、海外の選手強化ストラクチャーが紹介され、それと対比しながら、このATQアカデミーや海外派遣選手(ハイ・パフォーマンス・ユニット)の位置付けや、選手に期待する点などが説明されました。また、選手達に対しても「海外の選手と比べた場合の日本選手の強みと弱みは?」「弱みを克服するためにどうするべきか?」などの質問が次々と投げかけられ、「日本人が世界で戦う為に必要なことは何か?」ということを真剣にディスカッションしました。

そして最後に、薫田コーチングディレクターから、「我々スタッフができることは、選手に対して気付きを与えてやることだけ。後は選手自身の自主性次第。考え、気付ける選手だけが成長できる」ということと、ATQプロジェクトの大前提として、「戦うべき相手は、強化ストラクチャーにしても、コアの強さにしても、どこをとってもはるか上に行っている」が、それを理解したうえで目標の達成へ向け、「次の海外派遣選手もしくはJapanを狙え」「ユニオンのプライドを持って戦え」という激が選手たちに送られ、熱い雰囲気の中、初日のミーティングが締めくくられました。

明日以降は、薫田コーティングディレクターが直々に指揮をとり、ブレイクダウンでのスキルやフェイズオプションについてのセッションが行われる予定です。(総務:中里)

ショートステップとパワーステップを意識し、Y字型のタックルドリルを行う
ショートステップとパワーステップを意識し、Y字型のタックルドリルを行う

ジャパンでも行っているビジョンドリル。かなり難しい
ジャパンでも行っているビジョンドリル。かなり難しい

パンチするようにボールを早く、真直ぐパスする
パンチするようにボールを早く、真直ぐパスする

薫田CDもパンチパスのセッションに積極的に参加
薫田CDもパンチパスのセッションに積極的に参加

世界で戦うためにどうするべきかを選手達に問いかける
世界で戦うためにどうするべきかを選手達に問いかける