雲ひとつ無い冬晴れの青空。風が強いせいか、日差しが眩しい。44回目を迎えた全国大学ラグビーフットボール選手権大会が始まった。秩父宮ラグビー場での1回戦・第1試合は関東大学リーグ戦1部1位の東海大学(3年連続5回目)と関西第5代表の関西学院大学(2年連続3回目)の対決となった。

ブルーの東海、赤の関学、黄色のレフリー、色鮮やかに負けたら終わりのサバイバルゲームがブルーの東海のキックオフで開始された。開始1分ゴール前密集から167センチ、96キロの2番岸が抜け出しトライ。ゴール決まらず東海5-0関学。関学は風上の利点を生かしてキック戦法。東海は関学の執拗なタックルにあって得点できない。20分後ゴール前ラックから岸が押さえ込んでトライ。ゴール成功し東海12-0関学。東海は運動量の多い留学生選手の活躍もあって25分、34分にもトライを重ね22-0と突き放す。スクラムでプレッシャーをかけられ、ノックオンなどのミスでチャンスを潰していた関学は終了間際、バックスでゲインして、FW8番の西川の突破力でトライを奪う。ゴールは失敗に終わったが東海22-5関学で前半を終了。

後半は風上の東海が実力差どおりに一方的な試合展開になるかと思われたが、関学の執拗なディフェンスの前に東海はなかなか得点をあげることができない。逆に24分にはペナルティーから関学西川がゴール真下に持ち込んでトライ。ゴールも成功して東海27-12関学。
関学の粘りもここまで。その後28分、30分、34分、38分、41分と立て続けに得点をあげ、結果、東海60-12関学でノーサイド。負けたとはいえ、関学の先発メンバーの内、4年生は4名だけ、また1年生が3名も入っているので来年の活躍が期待されよう。(高原正靖)

東海大学 60-12 関西学院大学 東海大学 60-12 関西学院大学 東海大学 60-12 関西学院大学
東海大学 60-12 関西学院大学(12月16日、1回戦 at秩父宮ラグビー場)

関西学院大学の牟田監督(右)と、西尾キャプテン 関西学院大学の牟田監督(右)と、西尾キャプテン

◎関西学院大学
○牟田至監督
「前半は結構、良い勝負ができましたが、後半は向こうの自力が強かったと思います。非常に残念です」

――ゲームプランは?
「FWで前半耐えることができれば、うちのバック3で勝機があるかとも思っていましたが、なかなか外へボールが回せませんでした。前半、ラインアウトが取れなかったり、良いところまで攻め込んでミスが出たりして、非常にもったいなかったと思います」
――収穫は。
「二年連続して選手権に出場させていただいて、大きな舞台でやることができました。若い選手が多いので、場慣れしたと言えると思います」

○西尾風太郎キャプテン
「前半、効率よく敵陣まで入ることができて、クロスゲームで終えることができましたが、後半は自力で圧倒されました。さすがに東海大さんはリーグ戦覇者だったという印象です」

――成果は。
「春シーズンは、関東の強豪チームと試合して成果を出すことができましたが、秋になって自分たちの型を実現しようとするときにブレイクダウンで関東と差があると感じました。そして、実感したときはもう手遅れでした。本当は夏から一から作り直さなければいけなかったのに。後輩たちには関東のブレイクダウンに勝ってほしいと願っています」

東海大学 60-12 関西学院大学 東海大学 60-12 関西学院大学 東海大学 60-12 関西学院大学
東海大学の木村監督(右)と、宮本キャプテン 東海大学の木村監督(右)と、宮本キャプテン

◎東海大学
○木村季由監督
「今日はどうもありがとうございました。硬さのせいか、相手のプレッシャーのせいか、前半から自分たちのスタイルでやることがテーマでしたが、バタバタして思い通りのラグビーを1試合通してできなかったと思います。風が強いなど、状況はすべて予想されるとおりだったのに、きちんと適応できていないのは反省点です。意思統一して次はやっていきます」

――課題は?
「ちょっと差し込まれる場面が今日は多く見られました。しっかり前へ出て止めていく意識を高めていかないと一つのミスを引きずってズルズル行ってしまいます。今日はトライを2本に抑えたのでまあまあでしたが、隙を見せないのが課題でしたので、前半20分くらいから自陣に釘付けにされ、プレーの選択が間違っている点は修正しなければ。試合が終わってからの反省では遅いので、ゲーム中に修正する力をつけてほしいと思います」
――良かった点は?
「敵陣に深く攻め込んだときはスコアできていますので、攻撃力は向上していると思います。岸だけでなく、FWの前へ出る意識はあると思います」
――慶應戦に向けて。
「特別な相手ではないので、今までやってきたことを再確認していこうと思います。隙を見せたら勝てる相手ではないので、今日の反省を生かしてもう一度やっていきます。慶應さんは意思統一され、刺さるタックルで伝統的なディフェンスで来ると思います。今年のチームも相手をかわして行くプレーばかりしているとバンバンやられます。負けずにしっかり前へ出続けていくのが、うちの生命線です」

○宮本誉久キャプテン
「本日はありがとうございます。選手の中では大学選手権1回戦の硬さも、変な気負いもなく準備してきたと思いますが、前半40分は戦い方のマネジメントのミスと選手のコミュニケーション不足から、関西さんのプレッシャーをまともに受けてペースがつかめませんでした。ハーフタイムに一つ一つのプレーを正確にしようと確認したのですが、後半もまだまだできなかったというのが、率直な感想です」

――成果は。
「ディフェンスでは、自陣で『焦るな』と声を掛け合って、春からやってきたように早めにセットして落ち着いて出ようとしました。それだけはできたと思います」