スプリングボクス、8年ぶりの世界制覇
大会を盛り上げたアルゼンチンは堂々3位に

ロスタイムのトライ&ゴールで連敗脱出したジャパン

第6回ワールドカップは2007年9月から10月にかけて、フランスで開催された。
大会招致をイングランドと争った際、プール戦の開催と引き替えにスコットランド、ウェールズ協会に支持を要請した経緯もあり、2試合がスコットランド、3試合がウェールズで行われた。

大会フォーマットは前回に続き、5カ国×4組で1次リーグを行い、各組2位までが8強に進むシステムだったが、大会直前になって「各組3位までは次回大会の出場権を得る」ことが決定。さらに、次回NZ大会の出場国を4減らす案も非公式に流され、先行き不透明な中で大会は始まった。

元オールブラックスの英雄ジョン・カーワンをヘッドコーチに迎えた日本代表は、次回大会のシード権獲得の目安となる「2勝」をノルマに据え、最初の2試合で先発15人を総入れ替えする「2チーム制」を採用。初戦のオーストラリアには24歳の佐々木隆道を主将に据えて臨み、3対91と玉砕したが、続くフィジー戦はNO8箕内主将以下必勝体制で臨戦。しかしフィジーの個人技にイージーなトライを献上し、交代で入ったばかりのSH矢富が負傷で退くアクシデントもあり、終盤の猛追も届かず31対35で惜敗。続くウェールズにも18対72と大敗したが、自陣ゴール前での大野均のターンオーバーから今村雄太-遠藤幸佑とつないでほぼ100Mを切り返したトライは、大会ベストトライのひとつにリストアップされた。

そして最後のカナダには後半ロスタイム、CTB平浩二のトライと大西将太郎のコンバージョンで12対12に追いつきドロー。95年大会初戦のウェールズ戦から続く連敗を(引き分けながら)13でストップさせた。

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優勝候補筆頭NZはまたもフランスに苦杯をなめる

大会の主役となったのは、3大会連続で開幕戦に登場したアルゼンチンだ。優勝候補にも挙げられた地元フランスを相手に17対12の完勝。抜群のゲーム統率力を持つSHピチョットと、脅威のキック力を誇るSOエルナンデスのハーフ団を軸に、FWは頑健なコンタクトとタックルを反復。前回大会では1点差で敗れたアイルランドにも30対15で圧勝し、1次リーグD組を堂々の1位通過。準々決勝でもスコットランドを危なげなく下し、IRB創設8カ国以外から初めて4強に進んだ。準決勝では優勝した南アフリカに力負けしたが、フランスとの再戦となった3位決定戦では5つのスリリングなトライを奪い34対10の完璧な勝利。非・伝統国として史上最高の成績を上げたアルゼンチンのピチョット主将は会見で、「W杯出場国を16に減らすことに私は反対する。W杯は20の素晴らしいチームが、トップ8を目指して戦うことに価値がある。W杯が6や8の上位国だけで行われるようになったらラグビーは終わりだ」と発言。メディアからも大きな喝采を浴びた。大会直後、IRBは正式に「次回大会も出場20カ国で行う」と発表した。

期待を裏切ったのはNZ。1次リーグではイタリアから76点、ポルトガルからは108点、スコットランドからも40点を奪うなど猛威を振るったが、準々決勝のフランス戦で18対20で敗退。6度目のW杯で初めて4強にも進めず大会を終えた。オーストラリアも準々決勝でイングランドに10対12で敗退。1次リーグ1位通過チームが2つも準々決勝で敗れたのはW杯史上初めてだった。

大会を制したのは南アフリカ。1次リーグではトンガに30対25、準々決勝ではフィジーに37対20と手こずったが、準決勝でアルゼンチンを37対13と退けると、決勝Kではイングランドを相手に、両軍ノートライの神経戦に15対6で完勝。堅いディフェンスを前面に出す戦いで、95年以来12年ぶり2度目の優勝。トライ王には8トライのWTBハバナ、得点王は105点のFBモンゴメリと、優勝した南アフリカ勢が占めた。優勝チームがトライ王、得点王も独占したのは第1回大会(NZが優勝、得点王フォックス、トライ王カーワン&グリーン)以来だった。

なお、大会48試合の総観客数は224万6685人(1試合平均4万6806人)。史上最多だった前回2003年大会を40万人余り更新した。

Text by Nobuhiko Otomo


 

■成績・日本代表メンバー

※メンバー表内のC=主将 キャップ数は大会開幕時のもの

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