RWC2015プールA展望
“死のプール”を勝ち抜くのは?


  • ・オーストラリア(前回3位)
  • ・イングランド(同ベスト8)
  • ・ウェールズ(同ベスト8)
  • ・フィジー(同プール戦敗退)
  • ・ウルグアイ(同本大会出場なし)

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前回大会3位決定戦でウェールズを下した豪州。問題児CTB/FBビールも相変わらずキーマンのひとり
photo by Kenji Demura

ラグビーワールドカップ(RWC)の歴史をひも解いても、ここまでの “死のプール”は過去なかったかもしれない。
4ヶ国しかないRWC優勝国のうち2ヶ国が集まり、さらに前回ベスト4、そして過去の最高成績こそ8強どまりではあるものの、RWCにおけるセンセーションという意味では、その3ヶ国を上回る名声を獲得してきた国まで。
世界ランキングで言うなら、2位、4位、5位、9位、そして19位(9月14日時点)。
例えば、日本が入ったプールBを見てみると、 3位、10位、12位、13位、15位。
この数字だけ見ても、プールAがいかに厳しい組み分けとなったかがわかる。

今年のラグビー・チャンピオンシップ(南半球4カ国対抗)でニュージーランドを倒して優勝を果たしたオーストラリア(2位)、地元開催W杯での王者奪還を目指すイングランド(4位)、前回4強のウェールズ(5位)、パシフィック・ネーションズカップ王者のフィジー(9位)。

どのチームが2強に勝ち残るか、全く予断を許さない。

8月15日にシドニーでニュージーランドに27—19で勝利したオーストラリア。実に、ワラビーズにとっては4年ぶりとなるオールブラックスに対する勝利だった。
デビッド・ポーコック、マイケル・フーパーという2人の世界最高峰のオープンサイドFLを同時起用したことでFWの密集周辺でのワークレートが一気に上がり、RWC2015後にリコーブラックラムズに加入予定のSOバーナード・フォーリー、CTBマット・ギタウのダブル指令塔も機能。フォーリー同様RWC2015後は日本でプレーすることになる(NTTドコモレッドハリケーンズに加入)FBイズラエル・フォラウなど才能溢れる若手BKの存在もある。

母国に歓喜をもたらすことを使命とするイングランドも9月5日に行われRWC2015前の最終調整試合で今年の6ヶ国対抗王者のアイルランドに21-13で快勝。
自信を持ってプレッシャーのかかる地元開催RWCに臨む。

攻守に骨惜しみのないプレーをし続けるFLクリス・ロブショー主将、元トンガ代表主将を父に持ち豪州生まれながらイングランド代表としてプレーするPRマコ、NO8ビリーの若きブニポラ兄弟などパワフルなFWを前面に出した戦いは安定感がある。
堅守を誇るアイルランドからBK陣がラインブレイクを重ねるなど、攻守バランスの取れたチームになってきているのは間違いないところ。
実際、アイルランド戦で挙げたトライもジョニー・メイ、アンソニー・ワトソンという新鋭・両WTBが記録したものだった。
03年大会初優勝時のSOジョニー・ウィルキンソンのような絶対的な指令塔がいない点をどう補うかもポイントとなる。

イングランドがアイルランドを破った同じ日にウェールズはイタリアと最後の調整試合を戦ったが、こちらは23—19と辛勝こそしたものの、キープレーヤーをケガで失う最悪の事態となった。
キッカーでもあり、ウェールズのカウンターアタックのキーマンともなるFBリー・ハーフペニーが左足を痛めて、RWC2015スコッドから外れた。
サム・ウォーバートン主将、トンガ出身のタウルペ・ファレタウなどのFW第3列の働き、SOダン・ビガーのゲームコントロール力、WTBジョージ・ノースの決定力が死のプールを抜け出すための鍵となりそうだ。

フィジーは、イングランドと対戦する開幕戦が4強進出のためのキーか。
唯一無比と言っていい、パワーとスキルを伴ったランニングラグビーで大会を盛り上げることは間違いないだろう。
日本のトップリーグでトライ王になったWTBネマニ・ナドロもW杯メンバー入り。

8月に日本と2試合を戦ったウルグアイ(19位)はFW中心の戦いで強豪国にチャレンジする。

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前回は準々決勝でフランスに敗れて8強止まりだったイングランド。03年以来のRWC制覇を地元で狙う
photo by Kenji Demura

※()内は9月14日付のワールドラグビー世界ランキング