RWC2015プールD展望
欧州組勝ち抜くのはアイルランドとフランス?
- ・フランス(前回準優勝)
- ・アイルランド(同ベスト8)
- ・イタリア(同プール戦敗退)
- ・カナダ(同プール戦敗退)
- ・ルーマニア(同プール戦敗退)
ヨーロッパ選手権。
そんな言い方さえできそうなくらい、欧州の国で固められたのがD組。
アイルランド(6位)、フランス(7位)、イタリア(14位)の6カ国対抗組にルーマニア(17位)を加えた欧州勢4ヶ国が集結。残り1ヶ国もしっかりとしたセットプレーをべ—スに欧州以外の国では最も欧州的なスタイルのチームと言っていいカナダ(18位)。
重いグラウンドが特徴のイングランドで、泥臭い内容の試合が続きそうだ。
5ヶ国の中で、最も準々決勝進出の可能性が高そうなのはアイルランド。
昨秋はホームで南アフリカ、豪州の南半球勢を連破。
今年の6ヶ国対抗ラグビーでは、ウェールズとのアウェー戦は競り負けたものの、他の4チームにはしっかり勝ち切って2連覇を成し遂げた。
8月8、15日に行われたW杯準備試合でも全く異なるチーム構成でウェールズとスコットランド相手に連勝するなど、どのポジションにも好選手が揃う。
安定度抜群の指令塔SOジョナサン・セクストン、104キャップを誇る鉄人LOポール・オコネルも健在。
不安があるとすれば、6ヶ国対抗時5試合で相手に与えたトライがわずかに3という完璧と言っていいディフェンスを見せていたのが、9月5日のRWC前最後のテストマッチとなったイングランド戦で守りの不安定さが露呈。試合にも13—21で敗れ、世界ランキングも2位から一気に6位まで順位を落としている。
前回準優勝のフランスは低空飛行のシーズンが続いている。
今年の6ヶ国対抗ではスコットランド、イタリアには勝ったものの、上位陣には完敗しての4位。ことにイングランドに55失点を喫しての大敗はフランスのラグビー関係者に大きなショックを与えた。
8月に行われたイングランドとの2試合では何とか1勝1敗をキープしたが、2試合ともトライ数では下回るなど、浮上のきっかけにはなっていない。
復帰したベテランSOフレデリク・ミシャラクのゲームメイク、突破力はあるものの、パスで外側を使うのは苦手な全くフランスらしくないCTB陣マチュー・バスタロー、ウェスリー・フォファナをどう使うかなどもポイントか。
前回フランスを準優勝に導いたFLティエリー・デュソトワール主将のハードかつ献身的なプレーは健在だ。
3点差でスコットランドを破り、今年の6ヶ国対抗で最下位を免れたイタリアだが、その他の試合はウェールズに61失点、イングランドに47失点など、大量失点で敗れる試合が続いた。
8月22日にスコットランドと戦った試合では相手に1トライしか与えなかったものの、こちらはトライを奪えず12—16で敗戦するなど、調子は上がっていない印象。
ただ、13年の6ヶ国対抗で23–18で勝利を収めているとおり、フランスに対して相性は悪くなく、9月19日の初戦で当たる11年大会準優勝チームに対して同国出身のジャック・ブリュネル監督がどんなプランで勝ちにくるかも注目される。
ルーマニアは昨秋、日本を苦しめたように強力スクラム前面に出した戦い方で6ヶ国対抗組にチャレンジ。
7月のパシフィック・ネーションズカップでは日本に6—20で敗れたカナダ。
8月22日に地元オタワで戦ったアメリカ戦も41—23で落とすなど、厳しい戦いが続いている。
アイルランドが1位通過を果たす可能性が高く、2位の座をフランス、イタリアで争うことになりそうだ。
text by Kenij Demura
photo by Kenji Demura
※()内は9月14日付のワールドラグビー世界ランキング