東京最終決戦につながる予選第1ラウンド

ライバルはカザフスタン、香港、中国か

 

11月7、8日、香港で女子セブンズ日本代表(サクラセブンズ)が出場する「女子7人制

ラグビーアジア予選 第1戦 香港大会」が行われる。

一発勝負で決まる男子と違い、女子は今回の香港と11月28 、29日に予定されている同・日本大会のポイントを合わせたランキングポイントが多いチームがリオデジャネイロオリンピック出場権を獲得。

もちろん、サクラセブンズとしては両大会を連覇して、完全なるアジア王者としてリオ行きキップを自分たちのものにするつもりだ。

 

当初、参加が予定されていたタイと韓国が辞退。

香港大会、日本大会ともに6チームによる総当たり戦(プールC)の後、順位決定戦の3試合(プールCの5位対6位、同3位対4位、同1位対2位)が行われる大会フォーマットとなる。

日本は大会初日にカザフスタン、スリランカ、香港と対戦。2日目はグアム、中国とプール戦を戦った後、順位決定戦に進むスケジュールとなっている。

 

対戦する5チームのうち、浅見敬子ヘッドコーチが特に警戒するのは、カザフスタン、香港、中国。

「サイズがあって、ストライドが長いので、ボールを持たせて走らせてしまうとスピードに乗って止めるのが大変」(同HC)というカザフスタンは今季のアジアシリーズ初戦の中国セブンズ(9月5、6日)で10—12で敗れている相手でもある。

「ディフェンスでの出足を早くして、プレッシャーをかけて、スピードに乗る前に止める。パワープレーヤーがほとんどなので、後半、運動量が落ちてくる。前半から走り回って、疲れさせて、後半しっかり取っていく」というのが、浅見HCが語るカザフスタン対策だ。

 

大会第1日の最後の試合で対戦する香港にはカザフスタン同様、中国セブンズで敗れている。

「香港はプロ化して、身体を作って、運動量も上げてきている。日本に近いスタイル。小さい選手が多いのにしっかりボールキープしてくる。ボール争奪では苦戦するケースもある。判断をしっかりして、我慢するところは我慢して、争奪に行けるところは、怖がらずにボールをしっかり取りに行きたい」(同HC)というのがポイントとなる。

 

大会第2日のプール最終戦での対戦となる中国に対しては、今季はアジアシリーズの第2戦のスリランカ大会カップ決勝戦で33—12で快勝している。

「サイズもスピードもある。パスも速い。抜きん出ているところは結構ある。ただ、プレッシャーをかければ、エラーもすごく多いチーム。プレッシャーのかけ方もかなりスピードアップして早く止めたい。

フィジカルファイトも中国も最近やりだしたが、ストレングスの部分では、我々の方がラグビーとリンクしてやり切っている。自信を持って行きたい」(同HC)

 

香港スタジアムを経験している点も

サクラセブンズのアドバンテージに

 

前述の通り、今季のアジアシリーズ初戦の中国大会では、プール戦でカザフスタン、カップ準決勝で香港に敗れ、3位という結果に甘んじるかたちになったサクラセブンズだが、同・2戦目のスリランカ大会(10月10、11日)では香港を2度倒し、中国にも快勝して優勝(カザフスタンとは対戦なし)。

調子を上げて香港入りしているのは間違いないところ。

もっとも、中国セブンズに関しても、来季のセブンズワールドシリーズ入りを決めた昇格大会(8月22、23日、アイルランド)の直後で「ガス欠状態だった」(浅見HC)のも確か。

昇格大会でのパフォーマンス・結果も含め、今季最大の目標である五輪出場権獲得に向けて順調な強化がなされ、チームが確実に力をつけているのは間違いない。

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落ち着いた雰囲気でチームを引っ張る中村知春主将は「普通にいい感じ」のチーム状態を強調する

photo by Kenji Demura

「(五輪予選へ向けての仕上がり状態は)悪くない。大事な試合だからと言って、意識しすぎているわけではない。普段通り、仕上がっている。一番いい状態だと思います」

香港での決戦第1ラウンドを前に、中村知春キャプテンは実に落ち着いた表情と声でそう語ってくれた。

その事実は、ここまで重ねてきたハードトレーニング、そして前述のワールドシリーズ昇格大会やアジアセブンズで出してきた結果からくる自信に裏打ちされたものでもあるだろう。

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3月の香港セブンズ時に香港スタジアムでプレーした経験も生かしたいサクラセブンズ
photo by Kenji Demura

 

そして、その経験の中には今年3月の香港セブンズ時に女子大会のカップファイナリストとして、日本女子としては初となる香港スタジアムで試合をしたことも含まれる。

大観衆にのまれて、カナダに12—24で敗れたが、香港スタジアムで試合ができたことも「あそこでやっておいてよかった。香港スタジアムの芝の滑り具合はやった選手じゃないとわからないくらい滑る。やっていなければ、かなりのまれちゃう感じになる可能性もあった。1回やっておいてよかった」(浅見HC)と、大きなプラスであることは確かだろう。

 

「すべてはセットプレーの安定。キックオフ、スクラムで最初に身体を当てるのはFW。そこはFWの責任」(冨田真紀子)

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FWリーダーの冨田真紀子(右から2人目)はセットプレーへのこだわりを強調する

photo by Kenji Demura

「私たちの得意な、前に出るという部分で、BKを中心に少しでもゲインを取っていく」(山口真理恵)

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「前に出る」ことの重要性を強調するBKリーダーの山口真理恵

photo by Kenji Demura

 

それぞれFWリーダー、BKリーダーが語るポイントを意識しつつ、最終的にはサクラセブンズらしく、ひたむきに走り勝つラグビーを披露して香港スタジアムでの戦いを制し、最後の勝負の場である東京に凱旋帰国するつもりだ。

 

text by Kenji Demura

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中村主将と共にキープレーヤーに挙げる大黒田裕芽。コンディションもよくなり、香港で大暴れするか

photo by Kenji Demura